政治学の名著30 (ちくま新書 655)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480063557

感想・レビュー・書評

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  • [ 内容 ]
    人間が集団の中で生活することのあり方や異なる集団同士のもつれ合いと闘争…。
    そこには一定の解はなく、その都度の考察を必要とする。
    政治学の名著が扱ってきたのはまさにそのことに他ならず、現実がますます混迷を深めているいまだからこそ、それらを繙くことは千鈞の重みを持つにちがいない。
    厳選された三〇冊の世界へ政治学の第一人者が案内する。

    [ 目次 ]
    1 政治の意味
    2 政治権力
    3 政治と徳
    4 政治と宗教
    5 政治と戦略・平和
    6 政治と経済
    7 民主政論
    8 歴史の衝撃の中で

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  •  政治学の古典30冊の概要を解説した本。その本の大まかな内容の紹介だけでなく、書かれた時代背景と意義があるからありがたい。
     でも、まあ本書を読んだだけで古典を読んだ気になっちゃうとまずいですので、気になる古典があれば実際に読んでみましょう。笑
     

  • 紹介されているのは『君主論』『リヴァイアサン』『法の精神』『論語』『社会契約論』といった古来の名著。難しそうでなかなか読もうって気が起きないのだけど、少しは読んだほうがいいのかな。理解できるかどうかあやしいが…さんてん。とりあえず、紹介されている本のうち『孫子』は既読、『論語』と『戦争論』は積んでいるから読まないとな。

  • その名のとおり、政治学における名著のガイド本。この分野に興味を持ったが、右も左もわからない人をやさしくナビゲートしてくれます。とりあえずこのへんの本を読めば大まかな流れはつかめるでしょう。もちろん大まかですのでその隙間をどんどん埋めていく作業は抜かりなくしていきましょう、私も含めて。

  • 権力は制度や方法から派生するものではなく、制度や法は権力によって初めて可能になるのである。p27

    ポリス→強者による弱者の支配ではなく、勝れた人間(金銀を内に持つ人間)によるより劣った人間(鉄と銅を内に持つ人間)に対する支配。p69

  • NDC分類: 310.31.

  • 読みたい。

  • 元・東京大学学長、現・学習院大学法学部教授の佐々木毅による政治学の「古典」紹介。

    【構成】
    まえがき
    Ⅰ 政治の意味
     プラトン『ゴルギアス』-「魂への配慮」としての政治
     マキアヴェッリ『君主論』-全ては権力から始まる
     ヴェーバー『職業としての政治』-燃えるような情熱と冷静な判断
    Ⅱ 政治権力
     アリストテレス『政治学』-政治権力とは
     ホッブズ『リヴァイアサン』-絶対的自由と絶対的権力
     ロック『政府論』-社会契約による政治権力の構成
     モンテスキュー『法の精神』-権力の制限と制度へのまなざし
     バーク『フランス革命についての考察』-保守主義のバイブル
    Ⅲ 政治と徳
     プラトン『国家(ポリティア)』
       -魂を改善し、徳を実現するポリスを求めて
     孔子『論語』-仁の政治
    Ⅳ 政治と宗教
     アウグスティヌス『神の国』-真の正義とは神への服従である
     カルヴァン『キリスト教綱要』-政治権力の宗教的使命
     ロック『寛容書簡』-政治社会と教会の機能分化
    Ⅴ 政治と戦争・平和
     トゥーキディデース『戦史』-ポリスの悲劇的実像
     孫武『孫子』-「兵とは国の大事なり」
     カント『永遠平和のために』-平和のための条件とは
     クラウゼヴィッツ『戦争論』-絶対的戦争と政治
    Ⅵ 政治と経済
     アダム・スミス『国富論』-「良い統治」と経済活動
     ヘーゲル『法の哲学』-政治と経済の体系化
     マルクス、エンゲルス『共産党宣言』
      -プロレタリアートの勝利と政治の終焉
     ロールズ『正義論』-リベラリズムの哲学的基礎づけ
    Ⅶ 民主政論
     ルソー『社会契約論』-人民主権論の魅力と魔力
     ジェイ、ハミルトン、マディソン『フェデラリスト』-連邦制と権力分立体制
     トクヴィル『アメリカにおけるデモクラシー』-民主政のリスクと可能性
     J・S・ミル『代議政体論』-政治参加の作用と副作用
    Ⅷ 歴史の衝撃の中で
     福沢諭吉『文明論之概略』-「一国の人心風俗」の改革を求めて
     孫文『三民主義』-救国の思想
     ハイエク『隷従への道』-計画化反対論と自由な社会の擁護
     アレント『全体主義の起源』-20世紀とはいかなる時代か
     丸山真男『(増補版)現代政治の思想と行動』-政治権力についてどう論じるか

     ちくま新書の「○○学の名著30」シリーズの政治学編である。同じ著者が編集した同様の文献紹介に『現代政治学の名著』(中公新書)があるが、本書は現代に限らずプラトン・アリストテレスのギリシア哲学から現代までの古典となった文献を8のテーマに分けて幅広く扱っている。
     面白いのは単純に時代順に紹介するのでなく、テーマに分けることで、政治学が各命題をどのように論じてきたのかということが見えてくるという点である。これは著者と編集者の工夫が光っていると言えるだろう。しかも、難解な政治学の文献を平易な言葉で紹介してくれているので、非常にわかりやすく読めるのもありがたいところ。

     『歴史学の名著30』の時もそう感じたが、やはり「古典」は学生時代に読んでおくべきだったと改めて感じさせられた。

  • 激情に駆りたてられて軍事力を行使するのは論外であるとしても、孫氏にはぞくに戦闘に勝って、戦争に負けることになりかねない愚かな行為への警告が数多くみられる。
    クラウゼヴィッツの絶対的戦争という概念は国民国家の時代における戦争の現実に立脚した概念であり、敵の戦闘力の撃滅が戦争の目標として登場する。戦争計画としての軍事力の重心の確認とそれへの攻撃と粉砕などがあげられる。
    国家のもうひとつの役割はその対外関係にある。ナポレオン戦争と体験し、統一国家を欠いたドイツにとってこの問題は国家の大きな課題になった。

  • 名著を8頁程度で紹介できるのか?との疑問と退屈を抱きつつ、前半部分を読み進めた。しかし、バークの著作にいたって、本書の私の読み方が間違っていたことに気づく。各著は時代とその支配思想に向き合うことによって、いくばくかの普遍性を獲得したのであり、ただちに現代に応用できる部分を求めてはいけないのだ、と。

    気になった記述。

    ・バークにはフランス革命は「人間の権利」という抽象的原理に基づく革命であり、それは先入観と社会的紐帯の中でのみ自由が可能になるという人間的現実を無視し、実際には人間を「野生の自然状態」に戻してしまうものに他ならないものと映った。(中略)そして革命はアナーキーに行き着くという診断を下した。

    ・ロックのまとめた政治と宗教に関する「寛容」「寛容の例外」の扱い方の鮮やかさ(99~100P)

    ・スミスの「国富論」は単著ではなく、法学講義の一部分だった。

    ・ミルが怖れたのは「階級立法」の出現であり、商工業階級と労働者階級の正面衝突の悪夢に見られる「多数者の専制」であった。

    ・経済統制は単にわれわれにとって二次的なものの統制にのみ関わるわけではなく、われわれの目的のための手段を統制することになるからで、それは結果として満たされるべき目的についての判断をするに等しい。従って、経済的事柄の統制はわれわれの目的の統制につながり、全生活の「意識的な統制」へと変貌することになる。

    ・アレントによれば、全体主義体制の直面する難問は安定化への転落であり、これを防ぐためには「永久革命」を説き、不安定性を持続させる必要がある。この前代未聞の新しい政治体制を特徴づけるのがテロルとイデオロギーである。

    ・(日本では)道義と国家活動は不可分。そこから倫理は内面化せず、権力の倫理化が歯止め無くすすむ。

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著者プロフィール

1942年、秋田県に生れる。東京大学法学部卒業。東京大学法学部教授、東大総長を歴任。東京大学名誉教授。専攻、政治学史。著書『プラトンと政治』『近代政治思想の誕生』『現代アメリカの保守主義』など。

「2014年 『情念の政治経済学 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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