クルーグマン教授の経済入門 (ちくま学芸文庫 ク 17-2)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (410ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480092151

感想・レビュー・書評

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  • 自由貿易と保護貿易の特徴について書いてあった。
    ファイナンスなんて大したことでないことが分かった。

  • タイトルに入門とあるが、馬鹿な私には半分も分からなかった。

  • 現実的な経済の話なのがとてもいい。
    ど素人からすると、経済ってパラメータがたくさんありすぎて訳分かんないんだけど、これとこれが関係あって、これはあまり重要じゃない、これは改善が難しい、といった話はすごく分かりやすくてためになる。

  • 90年代までのアメリカ経済の概要がよくわかる。日本に関する章は興味深い(アメリカにとって日本との貿易の何が問題だったのかなど)。

    この本にないが、最近の話題、特に急激に増えた中国との貿易や交渉中のTPPについては、どのように分析されるのだろうか。

  • 経済成長=生産性の向上
    *総需要を拡大すること

    ・グローバリズムが拡大しても経済単位はナショナル
    ←欧州(c.f.日、米)

    ・金融当局がインフレ期待をおこさせることしか日本のデフレ脱出をおこさせることしか方法なし

    ・ファイナンスの発達≠成長に結びつかず

    ・現在の日本経済=流動性の罠(IS-LMモデル)
    →どんなに規制緩和しても無駄。

  • 「山形浩生が選ぶ 経済がわかる30冊」の1つ。

  • 生産性成長、所得分配、失業率、インフレ、貿易赤字。単体では理解できても関連性となると途端に分かりづらくなる経済要素が簡潔にまとめられた2歩目の経済入門書。経済入門書にしては訳文の語り口はかなりくだけてはいるのだが、抑えるところはキッチリと抑えられ、複雑な事象を分かりやすく伝えようとする姿勢が好印象。原書の初版が97年なだけあって事例が古く、70,80年代の経済情勢と登場人物に馴染みがなくて直感的に理解できない点が少々見られたのが悔しい。変数が増えてくると理解が追いつかない点もあったので、フリードマンとハイエクあたりを回ってから再読しよう。

  • はじめにこの翻訳のあまりにも崩れた「話し言葉」を批判しておく。ここまでやってしまうと、単純に「読みにくい」。昔「言文一致」といって、話し言葉と書き言葉を近づけようという運動があったが、結局この両者は決して「同じ」になるわけがないのだ。「話される言葉」と「書かれる言葉」は、互いに密接につながりながらも、別々の生命をもち、おのずと違った発展をしてゆくものなのである。無理に「話し言葉」を活字化しても、単に「読みにくく」なるだけだ。
    この翻訳は結果的に、原文の内容を理解しにくくしているだけで、さらにそのなれなれしい口調が少々かんに障るという弊害をも起こしている。
    失敗だよ、山形さん。あなたは言語というものを知らなさすぎる。

    さて内容についてだが、「経済入門」とういう邦題にもかかわらず、この本は全然「経済入門」ではない。生産性、貿易赤字、インフレ等々といったトピックを順番に、自由に語っているエッセイふうのものである。
    くだけまくった訳文にもかかわらず、内容はやはり経済学の基礎を知らないとなかなかついて行けないもので、私は苦労した。
    クルーグマンさんの思想はユニークなもので、これが経済学の定見というわけではないだろう。それが正しいのか間違っているのかは、私には決して判断できない。だから最後まで「半信半疑」の宙ぶらりんなスタンスで読み通さざるをえなかった。
    クルーグマンさんが「アベノミクス」の政策を評価し、太鼓判を押したことから、アベノミクスへの日本国内での期待感もいっそう盛り上がってしまったらしい。私は現在の「アベノミクス・ブーム」には直感的に懐疑的なのだが、とにかく経済に関してはよくわかりません。としか言えない。
    「経済入門」のためには、もっとふつうの入門書をおすすめします。
    日米の貿易摩擦のくだりは、なかなか面白かった。

  • 山形さんのあとがきが、またいい。
    もっと山形さん訳、あるいは著作を読みたい。オススメ本も。

    クルーグマンに関していえば、今現在ようやくアベノミクスで、この日本でもその考え方が実践され、信じられない回復?を見せてる。
    真の学問の強さを教えてくれてる。
    一方で、日本の学者は一体何をやってるのか。半分お笑い芸人の森永拓郎なんか、軽いが結構的を得ていたことになる。
    一体、何のために学問をするのか。
    クルーグマンに出会えたことに、改めて感謝。

  • 経済で大事なこと(生活水準を左右するもの)は生産性、所得分配、失業。

    長期的にみて、ある国の生活が豊かになるかどうかは、生産性(GDP)成長できるかどうかがほとんど全ての問題。しかしそれについて何か(政策)をする気はない。

    所得分配が上手くいっても、経済そのものが良くなる訳ではないが貧富の差が小さくなる。差が小さくなれば労働意欲がわいて生産性成長に期待ができる。貧困層を増やさないためには負の所得税などがあり、富裕層を抑えるには課税があるが完璧に操作することは難しい。

    失業率を下げることは簡単だが、失業率が下がるとインフレが起きるのである程度の失業率は必要だ。失業率6%を下回るとインフレ傾向になる。(でも日本はずっと5%以下なのにデフレなんだよなぁ)

    貿易赤字が増えたのは為替レートでも国際競争力でもなく、財政赤字のせい。財政赤字で貯蓄が低下→外貨による穴埋めが入る→外貨を使う(輸入する)→貿易赤字になる。

    インフレは10%以下で安定的なら全く問題ではない。しかし加速するインフレを退治するには多大なコストがかかる。インフレを抑えるためには失業率を上げ、GNPを極端に減らす必要がある。
    カーター政権末期79~'80にGNPを2割減らし、'81以降レーガン政権時代にインフレ抑制&失業率低下という成果を手に入れた。

    アメリカの医療問題。
    医療費が保険から支払われる(患者も医者もコストを気にしない)なら、期待の薄い高額治療であっても患者はやって欲しがるし、医者も少しでも可能性があるなら治療してあげたい良心に駆られる。
    医療技術が高度化するほど保険から支払われる医療費が高額になり、ひいては保険料が高くなる。
    高い保険料を払えない貧困層からは「限られた治療に限定した安い保険が欲しい」と要望されるが、適用範囲を限定した保険は保険屋にはリスクが高い。(患者が死んだ後に本当に適用外だったのか?と訴訟されると大変な目にあう)
    つまり保険料はこれ以上金をかけても治療の効果が期待できないというところまで高くなり、その保険料を払えない人は無保険になるしかない。
    日本の医療費は世界でも低水準で、それでいて長寿国。だが高齢化による医療費の伸びが生産性成長を上回っている。
    日本の医療費が比較的低水準に抑えられている理由は医師の給料(技術料)を厚生省が低く抑えているから。

    国の総貯蓄=国内外の純投資合計
    サラリーマンの平均貯蓄額が減ったイコール国の総貯蓄が減ったではない。

    連邦政府とは労働世代から税金を絞り取って、引退世代に年金を渡す装置。
    連邦予算の半分が年金と医療費に使われている。他には国防費などの国民に必要な予算があって、ほんの僅かな割合で海外援助や貧困者向け手当がある。
    不必要そうなところを削っても財政赤字はほとんど影響無い。

    ドルレートについて
    ブラザ合意前の高いドルでもアメリカ製品が売れていたのは技術力が高かったから。以降はヨーロッパやアジアでも技術力が向上し、製品価格が低下した。それでもアメリカ製品が売れ続けたのはドルレートを下げ続けたから。貿易赤字を2%減らすには、ドルレートを20%減らすことが必要。

    FRBによる金融政策
    70年代の加熱したインフレを抑えるために'79からマネタリーベースを減らした。GNPをマイナスに転じさせるとともにインフレを押さえ込んだ。80年代半ばにはマネタリーベースを増減させながら、緩やかなGNP成長(4〜5%)に上手く調整した。


    自由貿易しない(保護貿易する)コストは極わずか。じゃあなぜやるのかと言ったら世界規模での経済効率化のため。また、自由貿易で輸出が増えれば貿易赤字減少になる。

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著者プロフィール

NY市立大学教授。2008年、ノーベル経済学賞受賞。
イェール大学で学士号を、MITで博士号を取得。イェール大学、スタンフォード大学、MITで教鞭をとったのち、プリンストン大学経済学部教授。1982~83年には1年間大統領経済諮問委員会(CEA)のスタッフも務めた。主な研究分野は国際貿易。収穫逓増と不完全競争に焦点を置いた「新しい貿易理論」の創始者の1人である。国際金融、特に通貨危機の問題にも取り組む。1991年、アメリカ経済学会のジョンベイツクラーク賞受賞。日本語への翻訳書多数。

「2019年 『未完の資本主義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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