- Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480423344
作品紹介・あらすじ
時は明治の末。開化思想への反発と泰西心霊学の影響下に高まりゆく「怪談復興」の大波は、文壇画壇へと波及し、名だたる文人墨客を集めた百物語怪談会が、幾度となく開催されていた。本書に収録した「怪談会」は、そうした集いの熱気と霊気を如実に伝える、史上初の文豪怪談実話ドキュメンタリーである。続篇ともいうべき「怪談百物語」を併録。怪談ファン垂涎の稀覯書、待望の完全復刻が実現。
感想・レビュー・書評
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百物語をしている体で、短いお話がたくさん載ってます。そんな怖いものもなく、同じような話が多いですが、妖怪もあったりしたら面白かった。
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明治四十二年(1909年)に上梓された『怪談会』(当時の怪談会の実録集)の復刻し、『怪談百物語』(新小説・明治四十四年)を編纂収録したもの。
怪談会での語りである故、一つ一つの話は小粒ですが、実録モノだと思うと中々に興味深い(参加している人達の顔ぶれも、小説家に歌舞伎俳優、彫刻家に画家芸妓と、当時の文化人の間でのブームっぷりがわかります)
面白かったのは、鏑木清方が語った、芳年が女郎の幽霊を見た話。これは毎年8月に全生庵で公開される幽霊画の中に入ってる、芳年の「アレ」の話だな、と。
なるほど、実際に芳年が見たモノを描いてたわけなんですね。
巻末付録『不思議譚』では馬場孤蝶、小栗風葉、与謝野寛といった面々も怪談話をしていてこちらも面白かった。 -
明治の実話怪談集。古い時代の風情が感じられる。怖いと言うより哀れな話が多い。女性が生きていくのが大変な時代だったんだなぁとしみじみ思う。「お山へいく」といって時々姿が消えてしまう子供の話が面白かった。
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気になる話もあったけど、全体的に満足度では同シリーズの鏡花百物語の方が上という印象。
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明治の文壇画壇の著名人の体験談などが語られて居ます。
1つ1つの話は短いですが、百物語というだけあって話数が多いので読み応えがあります。
死者がたずねてくる話や怨念が残っている話は現代にもありそうですが、狐や狸に化かされた話などは、あの時代ならではだと思います。
現代の感覚では狐や狸の話などはピンときにくいのですが、体験談ならではの臨場感が「そのような事もあったのだろう」と思わせます。 -
江戸末期から明治末期の著名人による怖い話聞き語り及び伝聞集。
この本で一番多かった「お題」は、知人が亡くなる前に自分に会いに来たという話。○○さんが自分に会いに来た時刻は、実は○○さんが亡くなった時刻だったというもの。
亡くなった方はお別れに来たのですね。
でも、生きている人にとってそれは洒落にならないようで。
次に多いのは、化け物屋敷、自縛霊など、情念や恨みに関するお話。
狐や妖怪に騙されたというお話は、現代からすれば幻想的で、ほんわかとした気分になりました。 -
松谷みよ子の現代民話考と同じ怖さ。
同じような話が日本中に沢山あって、それを語り部が真面目に信じて本当のことだとして語る。話云々ではなく、その大勢が口を揃えて同じ話を信じているのが怖い。