自分の仕事をつくる (ちくま文庫 に 8-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • / ISBN・EAN: 9784480425577

感想・レビュー・書評

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  • 西村佳哲さんのことをこの本で初めて知った。西村さんが、さまざまなプロフェッショナルに会いに行くインタビュー集。

    たぶん、読むたびに意味が変わり、読むたびに喚起される本。(最初に読んだのは1年目)

    以下memo&コメント

    ・変にスケッチを描くよりも、どれだけ良い形で既にあるモノたちに出会って、触って、見ていけるかが大切なんだ。触覚的に作業を進めていくと、本能的な部分がいい形で残っていくんですよ。たとえば桃の果実をスタッフに手渡しながら、「このピンクが…」と色指定をすることがあったという。この時、手渡される"桃"には、ピンクという色を越えた情報が含まれている。その質感と手触り、味わい、重さ、儚さ。これらすべてを含んだ情報が、まるごとの経験としてスタッフに伝えられ、共有される。
    →電子機器とか紙の媒体とか、どこからどんな形で探すのかは関係ない。自分の感覚を伝えられるような究極に具体的な例として示せれば何でも良い。

    ・本人の「解像度」の高さが、その人のアウトプットの質を決める。つくり手の観察力が低ければ、なんでもすぐに完成する。完成度の高い仕事には、その仕事の随所に、物事に対する観察力を高め、解像度を上げる工夫があらかじめ含まれている。
    →経験することによって、次はちょっと良い質のものを、ちょっと効率的につくろうとする、っていうのが良くも悪くも自分の癖な気がする。でも本当は、経験することによってアウトプットイメージの解像度がぐーんと高まることにある。最初のアウトプットに固執せず、それを上回るものを出しつづける。

    ・プロジェクトが始まって最初の三ヶ月ほどは、手はあまり動かさず、勉強に集中しました。…そうしているうちに、だんだん何をするべきなのか、何が問題なのか、自分たちに何ができるのかが細かいところまで見えてくる。この勉強の段階が、非常におもしろい!
    →ここまで時間をかけて深くはできていないけど、今、ここを重要視しているチームにいられるのは幸せだなぁ。

    ・映画『グレート・ブルー』の監督リュック・ベッソンと俳優のジャン・レノ、そして音楽を担当したエリック・セラの三人は、撮影が始まる前の二ヶ月間、地中海の海をめぐりながら毎日ダイビングを繰り返したという。主人公はどんな気持ちで海に潜るのか、自分たちはなぜこの映画をつくるのか、なぜつくらなければならないのか。これらについて、語り合い、感じ、体験を深く共有する時間を重ねたそうだ。
    →明文化することが難しい、「何か」を共通認識として仲間が持てると強い。

    ≪IDEO ボイル氏≫
    ・大切なのは、本当の問題を発見していく能力です。表面的に目につく問題点は、より根本的な問題が引き起こしている現象のひとつにすぎないことが多い。では、問題に深くアプローチしていく方法とは何でしょうか。それは、机の上で頭を捻って問題を予測することではない。早い段階からトライ&エラーを重ねていくこと。これに尽きます。私たちは、小さな失敗をできるだけ多く、具体的に重ねることに注力しています。プロトタイプをつくっても、そのテストが上手くないと駄目だ。どう上手くいったのか、駄目だったのかが判断できなければ話にならない。

    ≪佐藤雅彦氏≫
    ・世の中でいちばん難しいのは、問題をつくることです。
    ⇒先日のfab learn asiaでも、これから求められるのは「正しい問を立てられる人」という話が出ていた。

    ≪ワイアード 小林弘人氏≫
    ・コンセプトや編集方針よりも、小さくて具体的な工夫の積み重ねが、このメディアを成立させている

    ≪ドラフト 宮田氏≫
    ・自分がしっくりこないことや疑問に思うことを素通りせずに、つねに意識しつづけること。自分を大事にすること、自分らしさを模索しつづけること。やめずにつづけていれば、その時にはまだわからなくても、五年とか十年とか経った時に形になるはずです。
    →すべてが初体験かつ、調子に乗ってる一年目が一番実践しやすい。色々経験して自分の無能さを嫌という程実感したあと、できるかどうか。(2年目が終わる…)

    ≪佐藤雅彦氏≫
    ・要素還元。同じように惹かれるものを並べ、そこにどんな要素が含まれているか、自分の中の何が感応しているのかを丁寧に探ってゆく作業だ。きっかけはあくまで、個人的な気づきに過ぎない。だが、そこを掘って掘って、掘り下げてゆくと、深いところでほかの多くの人々の無意識と繋がる層に達する。

    ≪馬場浩史氏≫
    ・自分がどんな場所を気持ちいいと思うか。その判断力がなかったら、気持ちのいい場所を生み出すことなどできない。ものづくりは無数の判断の積み重ねだ。もし、つくり手が自らの判断力に自信を失ったら、一体何がつくれるだろう。
    →自分が心から共感できること。常に研ぎ澄まされていないと、それ感じることはできない。身体が本当に求めていることだけをつくる。

    ---
    ・プロジェッティスタ
    全体を計画し前へ推し進めて行く人。『何をつくるか』を提示し、現実化に向けたリーダーシップを取る。

    ・私たちは本当に、会社に能力を売ることで対価を得ているのか?
    →仕事を自給自足する。ここまできてようやく、この本の意味がわかった。

    ・私たちが会社から仕事を買っているとしたら、そこで支払っている対価はなんだろう。それは「時間」である。そして時間とは、私たちの「いのち」そのものである。
    →当たり前のことだけど、はっとした。

    ・個性的であろうとするよりも、ただ無我夢中でやるほうが、結果としてお互いを満たす。

  • ●読むキッカケ
    ・藤野さん・濱田さんがいなくなるにあたって、
    今後自分が拠るべとすべき、いい仕事をする、とはどういうことなのかを、
    言語化したくなったから

    ●サマリー
    ・この本に込められたメッセージは、色んな所にとんでいて、捉えづらいと思っている。
    それは、きっと読むタイミングによって、どこを捉えられるかが変わってくるものだと思う。
    ・今回感じたのは、人の、特に自身の自尊心を奪わないような、
    決して意味のない、意図のない、こだわりのないモノを創ることは辞めていきたいなということ。
    それは自分を傷つけることになるし、結果生まれるものも人を傷つける。
    ・では何を創るのかといえば、難しいが、少なからず自分の感性と結びついた、
    こだわりのある仕事を増やしていければいいのだろうと思う。
    それは、広義の、WILLに基づく仕事、ということになるのだろうが。

    ●ネクストアクション
    ・特に無し。

    ●メモ
    ・人間は「あなたは大切な存在で、生きている価値が有る」というメッセージを探し求めている生き物。
    とすると、「こんなものでいい」と作られたものは、
    その人の追い求めるイメージと逆の効果を人にもたらし、自尊心を傷つける

    ・この世界は一人一人の小さな仕事の累積で成り立っている。
    目の前にある一つ一つのもの、ことは誰かの仕事の積み重ねで成り立っている。
    とすると、世界を帰るということは、一人一人に委ねられているともいえる。

    ・本人の解像度の高さが、その人のアウトプットの質を決める
    ⇒解像度は、いいものを見極める目だと捉えると、
    その人がいいものを捉える目を持っていないかぎり、
    いいものは作られないだろうということ。

    ・エコロジーとはイデオロギーの問題ではなく、センスの問題である。
    環境問題もトップダウンの理念を押し付けるのではなく、
    何を美しいと思うか、心地よく感じるかという、
    個々人の感性に働きかけるものである必要がありそうだ、ということ。

    ・自分の仕事をしているかどうかについて、
    何を作ろうとも、本人の疎外が無い限りは、それを人間の仕事として捉えるべきでないかということ

    ・個人の自由意志を尊重しようというのは、正しいのかどうか分からない。
    それは価値観を刷り込まれているだけ、とも捉えられる。

    ●読むキッカケ
    ・Amazonのほしい物リストに入っていたのを見つけて
    ・仕事ってなんだろうー、みたいなのを考えたかったのかも

    ●サマリー
    ・いい仕事とは何か、どうしたらそれを実現できるのか、みたいなのがテーマの本
    ・著者の主張を交えつつ、そのテーマを実現している人に、
    自身の仕事について語らせている
    ・何か明確な主張があるわけではないはずなので、詳細を以下記載

    ●メモ
    ・この本で語られている、「いい仕事」とは何かを自分なりに捉える
     −そもそも与えられたものではなく、自分の心発でやるべきと定義されたもの(WHAT)
     −心血が注がれているもの、力を尽くしているもの(HOW)
    と捉えた。そして、それらに納得感は高い。

    ・あとがきで、仕事の性格上WHATが規定されていて、それがHOWにも影響されるような悪条件の中で、
    頑張っている人もいるのでは、そしてそれは間違っていないのでは、という主張があった。
    それに対して著者は、その頑張り自体を真っ向から否定したいわけではなく、
    そういった状況を作り、搾取している何かに対して憤っていると主張していた。
    さらに一方で、その状態に甘んじている側にも問題が在るのではないかと主張していた。
    その環境を最終的には自分で選んでいるのではないか?
    選択によっては、状況を変えられるのではないか?と。

    ある種の強者の理論にも思えるが、妥当な主張のように思える。
    現状、自分も甘んじているものだと思っているから。

    一方で、とはいえ人は何か枠組みに規定された中で仕事をしているはずで、
    それが会社という明確かつ矮小な枠組みであることと、
    もう少し見えにくいものであることと、
    そこに違いは無いんじゃないのかとも思ったり。

    要は程度の問題であって、自分の仕事をしていると思っている人も、
    100%それを実現できているのかというとそうではないのだろうと。
    極で捉えどっちがいいのかを少なからず考えるといいのかも。

    もう1つは、各人がそうして、自分の仕事を勇気を持って選択したとするなら、
    一方で大量生産的な物がなくなって消費する上のコストが跳ね上がるだろうデメリットと、
    もう一方で余計なものは削ぎ落とされた、美しい姿になるんじゃないかという期待とを思った。
    そして、恐らく自分は、後者が実現した世界を見たいと思っているなと。

    だから、著者の主張は辛く難しいが、万人が目指すものなんじゃないかなと考える。

    ・1年半NPで仕事をしていて、もっというと人生レベルで、
    自分はこのHOWとしての力を尽くすことをかなりおざなりにして来て、
    結果自尊心を傷つけまくってきていたんじゃないかなと振り返った。
    そして、その仮説は結構正しく、自分のメンタル構造を捉える上の、
    重要なファクターなんじゃないかと思っている。

    そして、語られているように、力を尽くすことを強く望んでいて、
    もはやそれは無視できないものになっている気がする。
    コンビニでした仕事は、それに近しい物で、だから意味に関係なく、面白みを感じられたのだろう。
    今後のNPでそれが出来るのか、正直不安では在る。
    何故なら、会社内にそういった仕事をしている人が少なく、
    求められてもおらず、それを奮い立たせるようなWHATにも繋がりにくいから。

    さて、どうしたものか。少なからず、やれることからやっていこう。
    明らかにやれないものは、断る勇気も必要そうだ。

    ・一方で、自分はHOWを引き出す上で、WHATも重要なものだとしている気がする。
    当たり前か。両者は密接に結びついているから。
    でも、WHATに関しては、在らねばならぬものなんか無くて、
    どちらかというと、観察して、炙り出すものなんだろうなあと思っている。
    そこを今までは、人工的に創りださねばと、勘違いしていた気がするなあ。

    ・力を尽くさねばならないようなWHATを持つこと、
    WHAT達成のために力を尽くさざるを得ないこと、
    そしてそれは無我的であること、
    なんかそんな感覚のことを連続的にやりたいなあ。

    ・WHATを見つけるには、一朝一夕ではなく、感覚的なことをどれだけ見逃さないか、
    そしてどれだけ捉えられるかに尽きるのだろう。
    つまり、普段から捉えるように心がけ、結果として捉え、過程として解像度を上げる必要があるんだろう。
    その意味では、日々のジャーナリング的な振り返りは、
    かなり効果的な打ち手だと思うので、ちゃんとやらないとなあ。

  • 著者には高校生のときに課外授業で講義を受けたことがあり、その生き方・考え方に強烈に感動した記憶があり、書籍を購入。「やたらに広告項の多い雑誌、10分程度の内容を1時間枠に水増ししたテレビ番組、などなど。様々な仕事が『こんなもんでいいでしょ』という、人を軽くあつかったメッセージを体現している。」という部分に深く感動した。自分もこういう考え方で仕事をするような大人になりたいと思った。

  • 仕事について語ることは、生きる姿勢について語ることなんだな、と思いながら読みました。

    いろんな仕事、いろんな人について知ることができたのでおもしろかったです。

  • 仕事に対してなんとなく疑問に感じていたことを、見事に言語化してくれていた本。

  • 仕事とは何か、自分事に感じていないときに購入した本の再読。「自分の仕事って?」と迷っている人、、こなし仕事をしているな...と感じている人にとって価値ある1冊!

    結局は、好きだな、と思うことが見つけた(見つけようとしている)人が、組織に属せずに自分で立ち上がることが第一歩。言うは易し...

    ・たとえば安売りの家具屋の店頭に並ぶ、カラーボックスのような本棚。化粧板の仕上げは側面まで、裏面はべニア張りの彼らは、「裏は見えないからいいでしょ?」というメッセージを語るともなく語っている。
    →様々な仕事が「こんなもんでいいでしょ」とメッセージを体現している。人は「大切にされているという価値」を求めている。

    ・本人の「解像度」の高さが、その人のアウトプットの質を決める。あるピアノ奏者に「音楽家にとって、もっとも重要な能力とは何か?」と質問したところ、迷うことなく「聞く能力です」と返ってきた。「自分は十分に良い音が出せている」と感じたら、そこがその人の音楽の上限になる。
    →goodはgreatの敵。

    ・「好きなことをやぅても食べていけるんですか?」という社会的価値を巡る約束をあらかじめ取り付けたいような、そんな不安がにじみ出た質問を受けることがある。が、はっきり言って、あらかじめ意味や価値を約束されている仕事などどこにもない。「これをやれば大丈夫」というお墨付きを求める心性は、年齢差に関係なく分布しているようで、これらに出会うと本当に途方に暮れる。

    ・仕事の主体は「働く人」本人。であるにも関わらず、その働きがまるで他人事のようになされてしまう。「本当にポスターが必要ですか?」と逆に問い返されることに、頼まれた仕事を単にこなすのではなく、何が本当に必要なのかを共に考えるところからデザインを始めようとする姿勢を感じることができる。
    →自分がしっくりこないと疑問に思うことを素通りさせずに、つねに意識し続けること。つまりは、自分を大事にすること、自分らしさを模索し続けること。「やめずに続けていれば、その時にはまだわからなくても、5年とか10年とか立った時に形になるものです。」

    ・魅力的な物事に共通するなんらかの法則を見出そうとするとき、好きだけれど理由がわからないものをいくつか並べてみる。自分が感じた、言葉にできない魅力や違和感について、「これはいったいなんだろう?」と掘り下げる。そこを掘って掘って掘って、掘り下げていくと、深いところで他の多くの人々の無意識とつながる層に達することができる。中途半端な掘り下げは自慰行為と評されかねないが、深度を極端に深めていくと、自分という個性を通り越してヒトは何が欲しいのか、何を快く思い、何に喜びを見出す生き物なのかといった本質にたどり着かざるを得ない。
    →自分の感覚が出発点

    ・大事な人が自分のためにつくってくれたものであれば、多少形がいびつでも、それだけの理由で価値が損なわれることはない。作り手との関係性や物語性に欠けるプロダクトは、モノそのものの美しさや機能に評価が集中しがちだ。

    ・1分間マネジャー、はいい仕事がしたいという人々の根源欲求を前提に、マネジャーの仕事は管理ではなく、そうしたワーカーの欲求に応え、サポートすることにあると伝えている
    そもそもいい仕事がしたいのだから、そのための阻害要因を取り除き、力づけるのがマネジャーの仕事なのだ。

    ・休みは誰のものか?当然会社のものではない、自分のものだ。
    →時間はいのち。

    ・正解が既にあるのか、正解はあなたのなかでこれから生まれるのか、の違いが一人ひとりのセルフエスティーム(自己肯定感)の育みを妨げてしまうだろう。

  • ファシリテート
    └明示的、暗示的でも物事を促進させること。目的をぶれずに伝えることを意識する

    暗黙知
    └重要な情報でも明文化することが難しい事もある。共有知を高めることで解決


    1分間マネージャー
    └仕事の管理ではなくワーカーの欲求に応え、サポートすること

  • ほかの本で紹介されていたから。
    デザインに興味のある人はもちろん、ない人にも、全体性の話などはおもしろいと思う。

    人間は「自分は大切な存在」というメッセージを常に求めている/自分がしっくりこないことに目をつぶらす、模索を続けること/「現在の仕事は、ドロップアウトの延長上」/自分の行動に矛盾があると失感情的な心理状態になり、自分の空洞化を招く/いい仕事とは、嘘のない仕事/自分のものはすべて自分でまかないたい、に同感/浮かんできたイメージを紡いでものをつくったり、図面をひかずにつくったり、いろいろな方法をとっていいことを思い出した/好きなことをするには、会社は7人くらいが適当か/「~馬鹿」のする仕事の素晴らしさは、無償のものということ/企業の依頼を受けてデザインする仕事は、ここ半世紀間の、資本主義経済の過程のもの/空間のリデザインで人々のワークスタイルを変えることができる。しかし、同時にマネジメントを行わないと、それは機能しないし、仕事そのものの意味を醸成しなければ、生き生きと仕事できない

  • 服飾、プロダクトデザイン、建築、パン作りなど分野は異なるが、それぞれの領域で一般的に行われている仕事の進め方を無批判に受け入れるのではなく、本当に大切なこと、自分が納得できるやり方は何かということを考え、それに忠実に働いている人たちが紹介されている。

    そのため、大企業に勤めるのではなく、独立している人が多く、組織の中で働くビジネスマンにとってすぐに真似をできるという話ではない。

    しかし、そこが良いのかもしれない。

    有名なデザイナーや憧れの業界で働いている人のやり方を真似るだけでは、本当に大切なこと、自分が納得できることが何かということを考えるプロセスが抜け落ちてしまう。

    この本では、様々な人が紹介をされているが、それを敢えて少し引いた視点から自分のはたらき方と比べて、そこから考え始めてみることが大切なのだろう。

    ものづくりの仕事をしている方が多いが、作り手と使い手という枠組みだけでなく、作り手も自らの生活の在り方を省みつつ物を作っており、そこに共感を得た人たちがその製品を使っている姿が多く紹介されている。そのため、流通や広告といった中間段階を省き、規模を抑えたものづくりをしている事例が多いと感じた。

    そのこと自体はなかなか現実の仕事の中で実現することは難しいが、自分の作るものに込めるべき考えや想いを盛り込んでいくことの大切さという点で非常に参考になった。

    この本で取り上げられている事例のように製品の製造・流通のプロセスが全体的に自らの目の届く範囲で行われるような環境を作り上げることは現実的には難しいと思うが、大きな枠組みの中で働いている自分のような場合にも、自分が作るものに対して何らかの思いを込めることは可能であり、一人ひとりがそのような働き方をすることによって変わってくるものもあるのだろうと思う。

    それが、「自己疎外の連鎖」を断ち切り、いい仕事をつくり出すことに繋がっていくのだろう。

  • いい仕事とは。
    セルフエスティームを高めてもらうには、その人の存在に対する真剣さの強度を態度と行動で体現する。

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著者プロフィール

1964年、東京生まれ。武蔵野美術大学卒。建築設計の分野を経て、つくること・書くこと・教えることなど、大きく3種類の仕事に携わる。デザインオフィス、リビングワールド代表。多摩美術大学、京都工芸繊維大学非常勤講師。働き方研究家としての著書に『自分の仕事をつくる』(晶文社/ちくま文庫)、『自分をいかして生きる』(ちくま文庫)、『自分の仕事を考える3日間 Ⅰ』『みんな、どんなふうに働いて生きてゆくの?』(以上、弘文堂)、『かか
わり方のまなび方』(筑摩書房)など。

「2011年 『いま、地方で生きるということ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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