とりつくしま (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
3.47
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本棚登録 : 2104
感想 : 221
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480428295

感想・レビュー・書評

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  • これは、死者と生者(読者)のための物語。

    この世に未練がある。自分の死に納得がいかない。どうしても会いたい人がいる。見ておきたいものがある。そんな思いを抱える死者を瞬時に見分けるとりつくしま係。なんといってもその風貌がユニークだ。

    とりつくしま係はそんな死者のために、とりつくしまを一つ用意してくれる。
    死者は、とりつくしまとして、この世にあるなにかのモノにとりつくことができる。ただし、とりつくしまは非生命体でなければならない。などルールもある。とりつくしまになっても、生者には話しかけることはできないので、せいぜい見守ることしかできない。でも、時間を共有することならできる。

    どの話も良かったが、とりわけ「日記」は最後に向かうにつれ、涙が止まらなかった。
    遺された家族には幸せになってもらいたい。いつまでも悲しい、と泣いたり暗い顔をして生きてほしくはない。けれど、新しい一歩を踏み出すために、自分とのことがすべて過去として葬られるのは、やはり相当なショックだろう。肉体は失ってしまっても、魂は傷つく。心から愛していたならば、それも当然のこと。だからこそ夫の最後の言葉は、ああ、愛だなあと思った。

    もしかしたらわたしたちの周りにも、とりつくしまになって戻ってきた死者がいるかもしれない、と思うとどんなものでも大事にしたくなる。

  • イマイチ。。。

  • 死後の世界で思い残しがあった人が
    とりつくしま
    としてモノに取り憑き
    現世を体感する物語。
    短編が1つの箱に閉じ込められたような作品集。
    どれから読んでも楽しめ
    また一気に読むのはもったいない
    そんな時間をあたえてくれる

    2017.3.12

  • 死んだ後の心残りを何か生き物以外にとりつくことにより亡くなった方のその後を少しだけ描いている。とりつくしま…結局その時間は短い。そういう分からない面を上手く書いてあると思う。
    歌人として大好きだけど、物語も上手いことに驚いた。

  • とりつくしまは共通の短編集。 読みやすくそれぞれの物語が良かった。図書館の話はリアル

  • すっぴん!高橋元一郎さんの コーナーで紹介されていた。
    藤井綾子アナウンサーの朗読でロジンを聴いた。洗濯物干しながらだったのに不覚にも涙が、ワタシは何になりたいのか?
    読みたい。

  • ことばが美しいなあと思う。朗読に使われるのがよくわかる。

  • 「ロージン」が一番好き。

  • 漢字では‘取りつく島’と書くのか。結構大きくなるまで‘とりつく暇’だと思ってた(^^;;。死んじゃってから大切な人の近くのモノになれたら少し嬉しいかも。最初の短篇「ロージン」は電車で読んでたら泣きそうになってヤバかった。

  • 亡くなった両親も、もしかしたら何かに宿って、じっと見守っていてくれるのでは… と信じさせてくれるようなお話でした。

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著者プロフィール

歌人、作家。第7回歌壇賞、第31回坪田譲治文学賞(『いとの森の家』)を受賞。歌集に『春原さんのリコーダー』『青卵』、小説に『とりつくしま』『ひとっこひとり』、エッセイ集に『一緒に生きる』『レモン石鹼泡立てる』、歌書に『短歌の時間』『現代短歌版百人一首』、絵本に『わたしのマントはぼうしつき』(絵・町田尚子)などがある。「東京新聞」などの選歌欄担当。近刊にくどうれいんとの共著『水歌通信』がある。鳥好き。

「2023年 『朝、空が見えます』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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