橋本治と内田樹 (ちくま文庫 は 6-19)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480428486

感想・レビュー・書評

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  •  橋本治って知らなかったのだが、いつも上から目線の内田樹を軽くいなし、叩いていくところが痛快。
     橋本治著、「窯変 源氏物語」も面白い(第一巻で挫折中)

  • あとがき(by橋本治)より
    「今をときめく内田樹が橋本治と対談をしているのである。なにも知らない人がこれを聞いたら、「きっと、すごく重要なことを縦横無尽に語っているのだ」と勘違いしてしまうかもしれないが、この本には「重要なこと」なんかろくにない。なにしろ、この対談集の主たるテーマは、「橋本治」だからである。」

    まさにそう、そう勘違いしてしまっていました。
    基本的には、橋本治の盛大な自分語りの本。橋本治を大好きな内田樹に促されるままに、語る語る。そのための本だから良いんだけど、これを享受できるだけの橋本治愛は、いまの私にはまだなかった。読んだことのあるいくつかの本は全てとても面白かったのだけれどね。

    それでも随所随所、私が少なからず興味をもっている「なにか」について、たとえば戦後の民主主義教育のことや、小津映画のこと、おしゃれについて、神仏混こうについて、、、語っている箇所は、それぞれへ~と思えて楽しかった。

  • 賢い人って世の中にはいるんだなあと実感。
    でも、あの窯変源氏を書き上げる人が
    まともなはずないの(笑)
    でも、気張りすぎてないので、
    電車の中で読むのにちょうど良かったです。

  • 橋本治さんの公共性への感覚が、わかる!!って思いました。私もなによりも公共的でいることが憧れだとよく思ってました。

  • 橋本治の書いたものをたくさん読みたくなる本

  • 天才橋本治について、内田センセイが尋常ならざる興味を持って切り込んでいく、という体の対談。したがってこのタイトルはちょっとヘンだな、と思う。内田樹ミーツ橋本治なのである。どちらも世の常識からすると相当ヘンな人なのだが、やはり橋本治という人はどこか超越してしまっているような風格がある。人を食ったような、でもこれ天然なのかな?とかよくわからない。それでいてその言葉がしばしば本質を鋭く突いているように感じるから始末が悪い。データで説得しない説得力の最たるものではないだろうか。

  • 201205

  •  書名のとおり、橋本治と内田樹の対談本。

     読んでいて、いつもの内田氏らしくないという印象を受けました。内田氏は、どちらかというと対談相手に合わせつつ話を展開されるのが上手い印象があるのですが、今回はちょっと調子が出てない感じでした。

     推測するに、内田氏が橋本氏の大ファンということで、橋本氏に少し"居着いて"しまってたんじゃないでしょうか。橋本治という稀代の変わり者を前にして、何度も想定(話の流れ)を外されていました。
     ただ、内田氏も、養老孟司さんとのトークであれば「暴走老人を必死でなだめるおばさん」役に徹し(?)、ハチャメチャアリで楽しく対談を回されます。
     が、今回はあこがれの橋本治と中身の濃い対談にしよう、という気負いみたいなものがどこかにあったんじゃないでしょうか。読み進めながら何となくそう感じました。
     この点、橋本氏の方はフリーダムです。本文中でも後書きでも「こんなの本になるのかな?」という疑問を呈されていましたが、さりとて本になるように気遣う様子もなく、本当に自由に話されています。

     読んだ印象ばかりを書いてしまいましたが、内容としては随所に興味深い指摘があり、面白かったです。
     特に覚えているのが、「共同体には呼ばれないと参加できない」というくだりで、共同体のドアはこじ開けようとしても入れなくて、中から「お入り」と招いてくれる、その承認のプロセスを現代の人は理解できなくなっている、というものです。
     これは確かにそうで、共同体(といって大胆ならあるグループ)に呼ばれる人って、その内部の空気を察し、雰囲気を壊さないようにする気遣いができる人です。逆にこれが出来ない人は共同体に呼ばれませんし、何かの間違いで共同体内部に入ってくると見事に場がぶち壊されます。
     私の体験でも、サークルに仲間面して入ってきたときからでかい顔をしていた人がいましたが、その人は遂に仲間たり得ないまま去って行きました。喩えて言えば、適温の風呂に入っているところに、いきなり湯の温度も見ずに水をザバーッと入れ、ぬるま湯にしてしまうような感じです。
     空気を読む、ということに関しては昨今否定的な局面で登場する概念になりがちですが、そのせいで逆に空気を読むべき大事な場面で空気を読んだり察したりすることがなおざりにされているように思います。

     もう一つ、ドキッとしたのが橋本氏の以下の発言。

    《ちゃんとした紹介が最大の批評だと思ってるんです。いまは紹介の仕方が下手。私はこう読みましたというのが紹介になっているけれども、それじゃ感想文じゃん。帯に書いてあることを、ちょっと転載してみたり。「これはこういう本だから読むべきです」というのが、ちゃんとした紹介文なんです。紹介文が書けなくなっているんですよね。紹介文でさえ、感想文になってしまっているということが最大の問題だと思う。》

     これを読んで襟を正しました。とはいえ、ちゃんとした紹介ってのは、これはこれでなかなかに難しいですが、以降は精進しようと思います(汗)。

     とりとめもない対談のようで、だけど読み終わると橋本治という人のことが全体的によくわかる、そんな本でした。

  • 橋本治と内田樹の対談。本書で内田先生が述べている通り、「橋本治とは何者なのか」を橋本フリークの内田先生が対談で解体していくような本。ところが橋本先生は、解体できるような、生半な存在ではなかったとまざまざと思い知らされる本。面白かったです。

  • 大好きな橋本治と、最近興味を持った内田樹の対談集ということで読んでみました。

    橋本治が自信を持ってあちこち話題が飛ぶのを、内田樹が常識でつなぎとめようという感じの対談でした。

    たとえば、橋本治は桃尻娘を書くときに、

      俺が知っている十二年分、彼女が知らないんだな。そういう引き算をしちゃったんです。

    と、主人公のキャラクターのパーソナリティの作り方を明かすと、内田樹が、

      先生は誰でもそういうことができると思ってるんでしょ。引き算が。あえてしないんじゃないんです。「できない」んですよ。引き算なんて。

    と応じてみせる。うん。全般そんな感じのやり取りが続く本です。

    ★★★

    また、内田樹が自身のブログの敷居が高いと言われたけど、敷居の下げ方が分からないとこぼすと、インターネットをしていない橋本治が、

      簡単ですよ。書き手の個性をもろ出しにしてしまえば、敷居は低くなるんですよ。テヘッとか、入れるとか。

      (snip)

      普通に書くということが、偉そうであるということに、もうなってしまったんですよね。

    この回答が内田樹の役に立ったかどうかは分からないけど。ww

    ★★★

    あと、これは大切だって思って思わずツイートしてしまったのだけれど、

      内田 壊すのは簡単なんですよ。物を壊すのって。作るのは壊す百倍くらい手間がかかるから。
      橋本 でも何かを作ると、ちゃんと壊れるんですよ。最大の破壊は建設なりと思っていますから。
      内田 すごい、これは名言! そうか、そういうことを考えるんだ。
      橋本 だって新しいものがあって、古いものあったら、もういらないな、となって、古いものって完全に捨てるじゃないですか。中途半端な捨て方は、捨ててないんですよ。破壊なんかされると、破壊しちゃったけれど、ちょっと惜しかったんじゃない? といわれますから。
      内田 ほんとうにそうですね。批判なんか、あまりしても意味がないんですよね。批判するくらいなら、批判されているものよりもいいものをこっちで作っていれば、自然に不用品は捨てられちゃうんだし。


    ということで、おもしろいですよ。おすすめ。

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著者プロフィール

1948年東京生まれ。東京大学文学部国文科卒。小説、戯曲、舞台演出、評論、古典の現代語訳ほか、ジャンルを越えて活躍。著書に『桃尻娘』(小説現代新人賞佳作)、『宗教なんかこわくない!』(新潮学芸賞)、『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』(小林秀雄賞)、『蝶のゆくえ』(柴田錬三郎賞)、『双調平家物語』(毎日出版文化賞)、『窯変源氏物語』、『巡礼』、『リア家の人々』、『BAcBAHその他』『あなたの苦手な彼女について』『人はなぜ「美しい」がわかるのか』『ちゃんと話すための敬語の本』他多数。

「2019年 『思いつきで世界は進む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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