コーヒーと恋愛 (ちくま文庫 し 39-1)

著者 :
  • 筑摩書房
3.48
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本棚登録 : 2098
感想 : 210
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480430496

感想・レビュー・書評

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  • 阪神古書ノ市で友と選書のし合いっこをした際にプレゼントしてもらった本。
    古書ノ市楽しかったなぁ!

    戦後の昭和が舞台の物語。
    昭和らしい独特な言葉回しを最初は読みづらく感じたけれど、だんだんクセになって楽しく読み進める事が出来たし、なんなら脳内で口癖がうつッちまったわ…。

    ハイカラでユーモアがたっぷりなお話。
    登場人物みんながカラッと明るくてサッパリしているのは時代ならではなのかな?
    とんでもないクソ女であるアンナですらカラッとしていて憎めない。良い!

    コーヒーとタイトルに入っているだけに、コーヒーの蘊蓄も沢山でコーヒーを飲みたくなる。
    昔からあるような古い喫茶店でコーヒーをのみながら読みたいなぁ。
    可否道には何度も笑ってしまった。なんやねんコーヒー道の家元て!本人は大真面目なのも憎めなくて良い。


    最後の方の展開は「やァ、モエ子女史、ほだされちゃァ、いけないよ…」とハラハラしたけれど大笑いしてスッキリ気持ちの良い締めくくり。

    そこまで皆を夢中にさせるモエ子女史のコーヒー、味わってみたいもんだなぁ。


    あとがきもユーモアたっぷりで良い。それ、コーヒーによる胃もたれでは…?!
    昭和の作品がこんなに読みやすく、面白いだなんて。
    自分じゃ絶対に選んでいないタイプの本なので出会えて嬉しい一冊。


    実写化しても面白そうだなー、と色々想像しながら読んだ。
    ベンちゃんは田中圭さんなんかどうだろう!



  • 軽妙洒脱ってこういうことかのお手本みたいなスッキリでした。スルスル読めて面白かったです。
    モエ子女史、格好良い。落ち込み悩むし、苛々したり舞い上がったりもしたけれど、潔いです。ベンちゃんへの啖呵、スッとしました。こうでなくちゃ!
    ベンちゃんとアンナは、仕様が無いナア〜となります。呆れ返る。
    形式なんて固いこと言わず、蘊蓄も垂れずに美味しいものは美味しい、で良かろうと思います。可否道って!ダサい。誰が、その手に乗るもんか!でも、コーヒーよりお茶のほうが好き。

  • 昭和の、テレビが家庭に普及し国民がテレビドラマを最大の娯楽としていた時代のお話。
    書かれたのも1960年代と60年近くも前で、読み始めは時代の背景や話し方などが読みにくかったけど、慣れてくるとスーッとストーリーに入り込めて楽しめた。
    特に何か劇的なことが起きるわけでもないけど、脇役女優のモエ子さんの日常が癖になる面白さ。
    そして、違和感に感じた昔風の話し言葉や考え方も一周回ってオシャレでハイソに感じる。ただ43歳のモエ子さんが自分の事を「おばあさん」というのはショックを受けた。

    ラストのモエ子女史、かっこよかった。今も昔も女性の方が潔い。

  • ★3.4(おもしろかったけれど4はいかないかな)

    ■モエ子女子の喜怒哀楽が一番おもしろかった。ちょっとしたことで喜んだり怒ったり悲しんだり楽しんだりと感情表現が豊か。それを表すセリフ回しは今とは言葉遣いが違うので新鮮。昭和37~38年の新聞連載ってことは当時の少なくとも東京ではこういう言葉遣いがされていたのだろうか?

    ■どういうふうに着地するのか? なんやかんやあっても最後は元の鞘に収まるのでは? と思ってただけに、(タイトルである)コーヒーも恋愛もうっちゃって、自分の夢だった洋行を(スポンサーの力ではなく)自分の力で実現するという潔いラストにはやられた! という感じ。タイトルからするとふつうは「コーヒーが取り持つ恋愛」なのだが、実はベンちゃんも菅も恋愛ではなくコーヒーが目当てだったという逆転の展開。なるほどそうくるのかー! 元のタイトル「可否道」よりもこっちのほうがより作品にあっていると思う(ラストでのどんでん返し的な意味合いも含めて)。

    ■飄々としたベンちゃんと堅物の菅が対照的。同じくテレビドラマに出つつも新劇を忘れられないモエ子と、新劇よりもテレビで売れることを第一とするアンナも対照的。登場人物の配置はわかりやすく、その分モエ子に感情移入しやすい作りになっているのかな。

    ■芸能のなかでテレビの影響力が増していく時代。その様子が垣間見えるのはテレビ史という観点からするとけっこう重要な資料になのでは?

    ■大衆小説? 通俗小説? 新聞連載だから一般大衆が楽しめる内容が求められるわけだが、意外とこれまでにそういう作品って読んでなかったかも。長くて途中やや疲れたがスラスラと読めて、けっこう新鮮だった。

  • めっちゃ面白いというわけじゃないけど読みやすくて好き
    獅子文六のあとがきで「コーヒー飲みすぎて胃を痛めた、コーヒー小説はもうこりごり」と愚痴を書いてるのが何より面白い。

  • 2020.4
    お茶目。昭和のキュート。この世界観がたまらなかった。

  • コーヒーを淹れる名手である脇役女優、坂井モエ子と8歳年下の夫勉ちゃん、恋敵アンナちゃん、コーヒー道を極めんとする菅さんと、色々な登場人物の織りなす恋愛模様が書かれている。
    登場人物がみんな魅力的で驚く。恋敵のアンナちゃんなんて嫌われてもおかしくないような配置なのに悪い子じゃないのよ。野心家で強くてすごく素敵。勉ちゃんもモエ子を置いて出て行っちゃってクソ野郎の誹りを免れないと思いきやいい奴で、最後はハッピー大円団。見事なり獅子文六!

    この作品、私が産まれるより20年以上も前のものだそう。
    なのに古びてない。私たちが考える『昔』と本当の『昔』ってずいぶん違うんだろうなと思いながら読んだ。
    家政婦を雇う余裕が無いなら夫も皿洗い、若しくはそれ以上の事をするんだ的な意味の事を菅さんの息子さんが話していて「この時代から『妻を専業主婦にする余裕が無いなら家事手伝え』って概念あったのね」と。勉ちゃんも家の事いろいろやってるのよね。
    ネットなんかで「昔は女が家事も育児もして〜」なんて言う人よくいるけど「それいつの事?」って聞いてみよう。

  • どっちかとハピエンして欲しかったなあ。
    それだと物語が陳腐ってことなんかなあ。
    いやそんなん関係なくこのキャラに幸せになって欲しい(いやでも彼女の幸せの在り方を自分が理解してないことにもなるよなあ)って思うほど等身大、温かい、親しみやすい、?物語だった。

  • 本屋さんで何気なく手に取ったら、主人公がまさかの同じ名前。しかも同じようなことしてそうだな…という内容で面白かったです。

  • 昭和初期にしてはおしゃれで斬新な物語.
    主人公が迷いながらも決断して生きていくのがいい!

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著者プロフィール

1893─1969年。横浜生まれ。小説家・劇作家・演出家。本名・岩田豊雄。慶應義塾大学文科予科中退。フランスで演劇理論を学び日本の演劇振興に尽力、岸田國士、久保田万太郎らと文学座を結成した。一方、庶民生活の日常をとらえウィットとユーモアに富んだ小説は人気を博し、昭和を代表する作家となる。『コーヒーと恋愛』『てんやわんや』『娘と私』『七時間半』『悦ちゃん』『自由学校』(以上、ちくま文庫)。『娘と私』はNHK連続テレビ小説の1作目となった。『ちんちん電車』『食味歳時記』などエッセイも多く残した。日本芸術院賞受賞、文化勲章受章。


「2017年 『バナナ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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