他者を感じる社会学 (ちくまプリマー新書 363)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 297
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480683878

作品紹介・あらすじ

他者を理解しつながろうとする中で、生じる摩擦熱のようなものが「差別」の正体だ。「いけない」で断じて終えるのでなく、その内実をつぶさに見つめてみよう。

感想・レビュー・書評

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  • 「差別はいけない」し「自分は差別はしない」で終わってしまいがちだけど、そこから目を逸らさずに掘り下げていくことが大切だと思う。人は、自分とは異なるものや、未知のものに対しては誰でも身構えてしまうもの。

    それは仕方ないことだと認めて、差別しないためにはどうしたらいいのか、被差別者側に立って考える必要性を感じました。

  • 「差別は、それが行われた瞬間、どのように私たちが無効化できるのかが重要なのです」(p244)

    部落差別をはじめとするあらゆる差別の問題について、真摯にまっすぐ向き合っているようすがとてもよく伝わってくる1冊。

    ただ、江戸時代の身分制度のくだりのみ、現在では誤った認識とされる内容で紹介されていたので、その分だけ星を1つ減らしている。

  • 柔よく剛を制す!柔軟に考えることこそが、差別との理想的な向き合い方であることを学べる本です。
    で、「差別をなくそう」ではなく「差別を考えよう」というのが本書の最も言わんとすることではないかと思いました。「差別をなくそう」だと、自分の中にある差別の芽は「人としてありえないこと」ということになる。それだと自分が何を「普通」と感じ、何を「異常」として感じるのかを掘り下げられない。そして、当事者であるという事実から逃避する結果を招いてしまう。そうではなくて、差別は誰でもやっちゃいがちなんだ、だから自分はどんな種類の差別をしちゃいがちなのか考えて、時々、「誰かの足を踏んづけてないかしら?」って気にしながら生きていきたい。
    たぶん、倫理的とか道徳的っていうのは、そういう絶え間ない努力のことなんだろう。
    とりあえず、クレヨンしんちゃんの映画とパッチギ!を観てみよう。

  • 「他者を理解しつながろうとする中で、生じる摩擦熱のようなものが「差別」の正体だ。「いけない」で断じて終えるのでなく、その内実をつぶさに見つめてみよう。」

    目次
    第1章 差別とはどんな行為か
    第2章 差別を考える二つの基本
    第3章 カテゴリー化という問題―他者理解の「歪み」を考える
    第4章 人間に序列はつけられるのだろうか
    第5章 ジェンダーと多様な性
    第6章 障害から日常を見直す
    第7章 異なる人種・民族という存在
    第8章 外見がもつ“危うさ”
    第9章 差別を考えることの“魅力”

    著者等紹介
    好井裕明[ヨシイヒロアキ]
    1956年大阪市生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。日本大学文理学部社会学科教授

  • 差別問題を考える基本的な視点と近年の重要トピックである問題についてざっと知ることができる。「カテゴリー化」について負の側面だけでなくゴッフマンなどを引きながらカテゴリー化は人間が円滑な社会生活を送る上で必要な行為であるといった社会学らしいものの見方を提示しているのが良い。先行研究、事例、メディア分析、そして著者自身の体験談などさまざまな角度から語られ、ちくまプリマーでそれだけ幅広に触れるとそれぞれは薄くならざるを得ないが、バランスの良い本だと思う。個別トピックはジェンダー・多様な性、障害、人種・民族、外見など。

  • 女性教育会館パッケージ貸出図書(テーマ:ダイバーシティ)
    2階 階段前に展示中(10-12月利用可能)

     通常の貸出枠とは別に
     一人 3冊・14日間まで貸出可 (学内者限定)
     通常開館時間中に、1階カウンターで貸出返却手続きしてください

  • 差別問題を社会学的知見で考えられる本。
    私たちが持っている性的マイノリティや障がい者の偏見や決めつけを疑い、その人たちを一人の人間として尊重していくことの重要性がわかる。

  • 東2法経図・6F開架:361.8A/Y88t//K

  • 差別や偏見はいけないという道徳論ではなく、日常生活にある差別や偏見を社会現象として社会学から捉えている。最後に「差別を考える」でクレヨンしんちゃんの映画の「やわらかいこころ」がポイントとは笑った。

  • 今すぐ誰かに読んで欲しい。感想が聞きたい。
    最近はどうしても惹かれる本や気になる出来事がたくさんあって、でもなぜ惹かれるのかが自分で分からなかったけど、その理由を考えるとても良いきっかけになった。

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著者プロフィール

日本大学文理学部社会学科教授

「2023年 『新社会学研究 2023年 第8号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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