- Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480803993
感想・レビュー・書評
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主人公2人が生きるところは、とても人間くさくて、現代社会の見えないところの汚れというか淀みというか、そういったものを強く感じさせた。そんなところでただ生きているだけのひとびと。毎日が同じことの繰り返しで、ひどい絶望感に苛まされているわけではないけれど、どうしようもないやるせなさや憤りが慢性的に目の前に広がっていて。
女性の境遇がものすごくつらくて、というかあれだけ重いのもどうなんだとは思ったけど、とにかく身をつんざくようなさびしさがじわじわと広がってきて、何回か読むのをやめたくなった。自分がこうやって泣きたくなるほどさびしいことを気付いてくれるひとはいない、圧倒的な孤独感。けれど、あのつらさは最後の展開を際立たせるためにあったのかなあと。
西さんの書く話を読むと、自分の人生になんら関係のないひとにでもすこしだけいとおしさを感じる。人間って無限大なんだなあって思う。これってすごいな、ほんとに。
(203P)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
通天閣周辺の、雑多な薄汚い感じが伝わってくる。
…実際行ったことはないのだが。
現在の生活をどこか諦めている男と女。
単調で退屈な毎日だが、なんとも皮肉っぽさと笑いがある。
クライマックスで感動と思いきや笑いでおとすあたり、西小説っぽい。 -
★★★★☆
遠くにいった恋人を、キャバレーのマネージャーの仕事をしながら待つ女の子。
もう二度と人とは関わるまいと同じような毎日を頑なにおくる男性。
うまくいかないことがあってもいいやん、のたうちまわるほど恥ずかしいことがあっても、明日はやってくる。
かなしくて、おかしくて、読んだあとは、ちみっと元気になれそう。
(まっきー) -
かなり暗い雰囲気で読み続けるのが、ちょっとなぁとくじけそうになりました。サラッと読むということはできませんでした。あのゴミゴミした世界から抜け出すのでしょうか。抜け出さなくても気持ちの持ち方で人生は変わるのかな。
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「おもしろいよ」と言ってすすめられて読み始めたので、つらかった。人生が痛・重すぎて、受け止めきれない。ラストもとても笑えなかった。時々コーヒーの粉が混じっているビターチョコレートの味。
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西さんの本はこれがはじめて。
ダ・ヴィンチで又吉さんが紹介していて読みたいと思っていたのですが、
ようやく、読めました。
人間くさくて暗ーい話なのかなと思いきや、
ラスト心にずっしりきます。
西さんは、こうふく…を途中で諦めてしまったので
合わないのかなーと敬遠していたけれど、
これは驚くほどすんなり読めたな。
ダ・ヴィンチの連載もすきなのでエッセイも読んでみたい。
おもしろかったです。読んでよかった。 -
いやーええなぁ。
最後こう繋がるのか、と。
くだらんけど愛しくてたまらん。
これは大阪弁やからこそできることやと。
くだらんけど愛しい。人間臭い。大好物。
私もそろそろ、人を愛そう。 -
笑かされた。
最初は、なんだこの変な感じの物語。
なんか繋がりそうやけど、この話繋がると?とか思ってたが、なんと面白い展開!!
最後の追い込みは早かった!
感動に、持ち込むのかと思いきや、
なんとなんと、そんか一筋縄じゃーあ、いきませんよ。
くっだらなー!
とか、なんでやねん!みたいな
ツッコミを入れたくなる
なんか幸せになれる物語でした。
そうだ、西加奈子の物語は
幸せな気持ちになれるんやった! -
読みやすかったけど少し退屈。
主人公の男の人、実は良い人やん。
生きていくのは辛いけど、でも悪いことばかりでもないよね。 -
どうしようもない人たちの地味な日常の話なのに、くすくす笑えるから暗さもじとじと感じず、読み易くて面白かった。特に主人公それぞれの心のつっこみのような語り口が素敵だ。2人の主人公のつながりも出来すぎてなくて良かった。すっごく感動するわけではないんだけど、ちょっとほっこりするような暖かい小説。