ニックとグリマング

  • 筑摩書房
3.52
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本棚登録 : 79
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480831170

作品紹介・あらすじ

グリマング、ウーブ、オトウサンモドキ、フクセイetc.ディックおなじみの奇妙な「動物たち」が大活躍するキッチュな預言の物語。待望の本邦初訳。

感想・レビュー・書評

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  • あのP.K.ディックによる児童文学。

    ニックの家族は地球を離れることに。ホレースという飼い猫が居るのだが、いかなる動物も飼育禁止という法律が施行。「 ペット取締官 」に見つかりはしないかとビクビクすることになったからだ。そこで「植民星 」である『農夫の星』に移住する。

    だがそこはディックの作品なので、ちょっとした屈折があり、ひねくれた感じもある。「 ペット取締法 」も「 植民星 」もディックらしい。
    そして植民星では奇妙なクリーチャーの数々が待ち受けていた。とりわけニックモドキやオトウサンモドキという異星植物が面白い。人間そっくりに似せて成長してその本人になりすましてしまうのだ。ディックらしい。というか他のディック作品よりも発想がぶっ飛んでいるかも。

  • ディック唯一の児童文学だそうだ。ポール・ディマイヤーによる挿絵が付いている。かわいいようでもあり、ちょっと不気味でもある異星生物は、吾妻ひでおに描かせたらぴったりという気がしたが、これはもう叶わない夢になってしまった。もっとも、それでは不健康な話になりそうだから、主人公を女の子に変えて、竹本泉の絵でどうだ。解説を読むと、どんな物体でも複製することができる異星生物「フクセイ」に、「プリンター」とルビが振ってある。これは、原文では"printer"と表記されているという意味だろう。つまり、ディックは、三次元プリンターの出現を予見していたのだね。菊池誠訳。一九九一年八月二十五日初版第一刷発行。定価1600円(本体1553円)。
    収録作品:「ニックとグリマング」、「解説 ディックパーク・マラソン」(巽孝之)、「訳者あとがき」

  • ディックの唯一のジュブナイル。ところどころ、ディックらしいストーリーを感じた。登場する生物などもディックの小説と思えば違和感はない。将来、映画化があっても不思議ではない。

  • ディックの児童文学!

  • 2012/8/23購入

  • この人の他のSFを読んでから読むと納得できる世界だが、おとぎ話として最初にこれを読んだ人はびっくりするかも。

  • 児童文学のジャンルではあるけれど、ディックの世界観が色濃く出ているので大人が読んでも充分に面白い。
    訥々とした不思議な展開にちょっと面食らう部分もあるので、ディックの作品を読んだ上でこの本を読んだ方がより楽しめると思う。

  • あいかわらずPKD著作のご案内 本書はハードカバーで現在も書店で手に入る

    PKD唯一のジュヴナイル 登場人物など、「銀河の壺直し(サンリオ文庫)」と共通するところが多く、子供向けでありながら、一筋縄ではいかない宇宙人や怪しいものが多数登場する 装丁、イラストともに雰囲気が最高にかわいい 小学校の図書室に必須!!!


    内容(「BOOK」データベースより)
    グリマング、ウーブ、オトウサンモドキ、フクセイetc.ディックおなじみの奇妙な「動物たち」が大活躍するキッチュな預言の物語。待望の本邦初訳。

  • 「60分で読めるけれど、一生あなたを離さない本」
    —広告の仕事に携わる人間なら、一度は手にしたことがあるはずのジェームス・W・ヤング『アイデアのつくり方』の腰巻に書かれた、あまりにも有名なキャッチフレーズ。じつは60分どころか30分で読めちゃうんだけど、広告制作に限らず、すべてのものづくりに応用できる方法がまとまっていて、あらゆるビジネス系ライフハック本は結局、これに集約されちゃうような気がするんだな。でもってソーシャライズなら『ティファニーのテーブルマナー』。姪が高校生になるときにこれを、社会人になるときは『アイデアのつくり方』を贈ろうと思ってる。短い本、すぐに読める本あなどるべからず、ということなのですよ。

    この本も60分か、せいぜい90分くらいで読めるはず。なにせ児童書だから。それでいてディック作品群に共通する世界観をもち、ある設定やキャラクターは発表した作品にすでに登場していたり、後の作品に引き継がれたりしているので、ある意味でディック要素のエッセンスがつまってる感じ。じつはディックの作品て、そんなに読んでないんですけど、これを読んでディックがなぜ同業の作家のみならず、ポップカルチャーから哲学にいたるまで幅広い分野に影響を与えたか、ちょっとわかる気がしました。なんていうのかな、たとえ完結した作品であっても、どこか未完のようなところがあって、読者としては想像でそれを完結させてしまいたい衝動に駆られちゃうところがあるのね。この本も児童書らしく少年ニックの活躍で農夫の星には“とりあえずの”平和がもたらされるわけだけれど、ホレースの最期であるとか、その後のニックたちについて、実際“読むたびに中身が変化する”本のとおりになるのか、とってもとっても気がかり。
     ディックには続編の構想、なかったのかな。残念ながら生前、続編はおろか本作も出版されなかったので、それは彼の子どもたちだけが膝の上で聞いただけかもしれないな。

     もうね、しょうがないので、ハリウッドで映画化したらいいとおもうのよ。おそらくナルニア国ばりの壮大なファンタジーになるんじゃないかな。フクセイがプリンのようにくずれていくところなんて、現代のCG技術ならとてもおもしろいものになりそう。映画をベースにゲームソフトを開発すれば、AppStoreでも売れるんじゃない?個人的には『ファントム・ワージ』『グリマングの逆襲』『地球への帰還』の三部作で完結かな。スピンアウトとして『スピッドル・アドベンチャー』がTVシリーズ化したりしてね、しないかな、したらいいなぁ・・・なーんてどっかで聞いたようなタイトルしか浮かんでこないから、そろそろ『アイデアのつくり方』も読み直したほうがよさそうね。

  • 猫の出番は少ないけど、猫を中心に話が動いていて、猫のすばらしさがよくわかる本。ディックの他作品に出てくるオトウサンモドキやフクセイも登場します。全体的に諦めムードが漂うのに何か希望がある。これを読める子供は幸せ。

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