HHhH (プラハ、1942年) (海外文学セレクション)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (393ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488016555

感想・レビュー・書評

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  • ハイドリヒ暗殺計画の顛末とは。
    ナチスの蛮行(などと言えるほど生ぬるいものではない)がこれでもかと描かれていて戦慄した。ノンフィクションとも、歴史小説とも違うスタイルで書かれた独自性がある。単なる小説とも良い意味で違うような。
    冷徹な筆致で淡々と描かれる第二次世界大戦の裏側、圧倒的濃度を持つ一冊である。

  • まったく知らなかった事件の数々を知ることができた。こんなことが起きていたのかと、ちゃんと知ることができたと感じた。
    傑作だと思うしすごい作品だと思った。としか言えない。圧倒されてしまった。
    ナチスの狂気が怖かった。
    たまに日本をナチスに例える言論を見かけるが正気とは思えない。まったく次元が違う。引き合いに出すこと自体ナチスの被害に遭った人々に申し訳がなく思える。
    恐ろしいとしか思えなかった。

  • 小説ともノンフィクションともつかない不思議な作品。ナチの高官暗殺計画についての記録と、膨大な資料にあたりながらそれを執筆する作者の日記のような部分が入れ替わり出てくる。過去のことを読んでいたのに、すぐに現在に引き戻されて、どちらにも入り込めないように思っていたけれど、いつの間にか引き込まれて、作者と一緒にパラシュート部隊員たちの足取りを追いかけている気持ちに、さらには現場に一緒にいるような気持ちになっていた。この感覚はエンデの『はてしない物語』に少し似ている気がする。

  • 『言語の七番目の機能』を読んで、気になっていたのを読んだ。

    小説には可能性がある。小説にはなんでもできる。小説には力がある。
    小説を好んで読む人間にはそういう希望があると思う。
    これはその一つの答え。

    ナチスの高官、金髪の野獣、ヒムラーの頭脳、切れ物の役人、ラインハルト・ハイドリヒ。ナチスの保護量にされたチェコの副総督になった彼を、ロンドンにあるチェコの亡命政府に命じられたパラシュート部隊の二人が暗殺するエンスラポイド作戦。
    その様子を綿密な資料に当たりながら描き、かつ、細切れにされた章には作者ビネ自身の独白も続く。
    「ここをこう書いた。小説としての細工が過剰だろうか?」と自問自答しながら。

    実在する人物を作中に登場させ、虚実入り乱れどこからが創作でどこまでが事実なのか惑乱させられながら読んだのが『言語の七番目の機能』なら、『HHhH』は史実と小説的創作をどこまで切り離し続けながら、ノンフィクションでもなく、歴史小説でもなく、作者の意図する小説を作り出せるのかという執念に心を掴まれる小説だった。プラハの曲がりくねった道をやってくるオープンカーを待ち構える暗殺者、彼らと共にまさにその時に、ビネも私もプラハにいたのだ。

    国内ミステリ好きとしては、作者が小説の中に現れ、虚構と現実が渾然一体となって…という小説といえば竹本健治の『ウロボロスシリーズ』を思い出すのだけれど、そのような手法を歴史小説で実践するとこうなるのかという…素晴らしいものを読んだ。

  • ナチスの指導者や収容所のユダヤ人に焦点が当たりがちな中で、ハイドリヒ暗殺事件の暗殺者の方に焦点を与えた、珍しい作品だと思って手に取ったが、8割くらいはハイドリヒについて書かれていた。
    作者の独白や主観が多くて、少し読みにくかった。

  • 虐殺や戦闘が淡々と描かれているゆえに痛切で緊張感を産む

  • ハイドリヒを撃て!を見て色々調べる内にこの本を知った。(原作になった映画は『ナチス第三の男』だけど)
    私はナチス系の映画をいくつかとwikiで見たりしていたので比較的理解しやすかったと思う
    半ば作者の日記のようでそれが堅苦しくなく面白く(言い方悪いかもだけど)読めた
    大体の映画の出来事が少しずつだけど載ってるので映画と照らし合わせて読み返すのもいいかも

  • ユダヤ人大量虐殺の首謀者、金髪の野獣ハイドリヒ。彼の暗殺計画は、ロンドンに亡命したチェコ政府が送り込んだ2人の青年によってプラハで決行された……。史実を題材にノンフィクション的手法で描いた小説。
    原題:HHhH
    (2010年)

  • 4.09/1549 
    内容(「BOOK」データベースより)
    『ユダヤ人大量虐殺の首謀者、金髪の野獣ハイドリヒ。彼を暗殺すべく、二人の青年はプラハに潜入した。ゴンクール賞最優秀新人賞受賞作、リーヴル・ド・ポッシュ読者大賞受賞作。』


    原書名:『HHhH』
    著者:ローラン・ビネ (Laurent Binet)
    訳者:高橋 啓
    出版社 ‏: ‎東京創元社
    単行本 ‏: ‎393ページ
    受賞:ゴンクール賞最優秀新人賞、本屋大賞翻訳小説部門

  • 第2章からの緊張感、緊迫感は凄まじいものでした。
    第1章から述べているようにいかに著者がこの事件について調査し、資料を集めた上で、著者の文才になせる技だと思う。

    しかし、そこまでに到着するまでが読んでいる自分にかなり混乱をさせる語り口で、著者自身のことを書いてるのか、ストーリー部分を書いているのか、他作品の批評をしているのか、かなり散漫で何度も私の眠気を誘いました。

    ・当時の史実の基礎知識がある人
    ・“文学作品“に造詣が深い人

    上記のような方には強くお勧めしたい作品です。
    この事件におけるストーリー描写は紛れもなく素晴らしかったです。

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