HHhH (プラハ、1942年) (海外文学セレクション)

  • 東京創元社
4.10
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感想 : 191
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  • Amazon.co.jp ・本 (393ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488016555

感想・レビュー・書評

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  • 「ハイドリヒ暗殺に関わる二人の戦士の話」と、「それを忠実に描ききろうとする著者本人の話」を同時に描いた小説。著者の想像が入る余地を極力減らそうとする純粋さが、時折傲慢さにすら感じた。それに拍車をかけるのが、他のナチスに関する資料や同じ題材を扱った書籍を評価(大体こき下ろす)するところだと思う。

    そういうところが鼻につく反面、歴史をそのまま語ることにどれだけ潔癖になろうと他人というフィルタを通る時点で意図や真意は曲っていくもの、ということに自覚的になれるかもしれない本。

    ハイドリヒ暗殺に関する話をさわりだけ知りたいのであれば別の本が良いと思う。より詳細な描写を求めるならいいかもしれない。

  • 幾分しゃしゃりですぎな気もするけど、手法としてはまってる。
    いい作品や。

  • オーストリアは第三帝国の最初の獲物だ。この国は一夜にしてドイツの州になり、15万人のユダヤ系オーストリア人はたちまちヒトラーの意のままにされた。1938年の時点では、ユダヤ人を皆殺しにするというようなことは、当然ながら誰も考えていない。せいぜい移民を促す程度に収まっていた。アイヒマンが収容・殲滅制作全体の基本構想を思いついたのはウィーンだった。それは当の犠牲者たちに積極的な協力を強いるもので、実際、ユダヤ人たちはあくまでも自らドイツの当局に出頭することが求められていた。1938年時点での移民申請にせよ、1943年時点での取れブリン化やアウシュビッツの収容所への移送にしても、ほとんどの場合、ユダヤ人は自分たちの敵の召喚に応じているだ。そうでなければ住民調査にまつわる様々な解決不能の問題に直面して、集団殺戮の政策など現実的には頓挫していただろう。言い換えれば、表に出ない無数の犯罪ははびこったかもしれないが、どう考えても、大ぴらなら大量虐殺などという事態には発展しなかったのではなかろうか。

  • 入れ子構造を読み終わったら、いつの間にかもうひとつ入れ子に入ってたのに気づく

  • ふー、やっと読み終わった、毎日毎日側にあったのに、読み進めるのにとっても時間がかかった。前評判がとっても良かったので期待しながら読んだけど、出てくる地名人名歴史背景が多少は知識としてないと、なかなか厳しい本でした。それは私の勉強不足です。どれ位知らないかというとヒムラーがヒトラーの書き間違いだと思っていたからね、序盤終わりまで。恥ずかしい。その位の知識の人は、少し勉強してから挑んだほうが、何百倍も楽しめると思います。あと、人名、地名をすこしメモしながら進めたりしたら尚良いのではないでしょうか。

  • 151018読了。
    実は、数年前に大学時代のある科目を開講していたせんせーが読んだらしいとの情報を受け、ブクログに登録したものの、駅前の本屋には売っていないし(ちょっと高いし)、あっためてしまったものです。
    いつだか、思い立って図書館で予約し、読み終わるまで3週間かかりました。
    まず、この本が何を書いているかも知らなかったし、ましてや作者も聞いたことがなかったのですが、これは戦時下でナチスドイツにいた高官ハイドリヒの生い立ちから暗殺までを追った、ちょっと面白い小説です。
    各場面の描写と並行して、作者が見た場所、調べた膨大な資料、恋人の感想から過去の小説・映画の批評まで、結末までの小説の過程が全て筒抜けなのです。
    メルセデスの色が黒か緑かの議論は、けっこう面白かった。
    最後の百ページは駆け足でどんどん読めました。暗殺計画は、失敗したのに、不覚にも成し遂げられ、実行者たちは口を開かぬまま舞台から去ってゆきます。
    これ、10年前に読んでたら、人生は変わらぬまでも、せめて大学4年間くらいはちょっと変わってたかもしれない、なんて短く遠吠え、したくなる。

  • 絶対悪とそれを暗殺した救国の英雄たちの話。
    作者の肩入れだとか熱意とか、本製作の苦労や舞台裏をも明かしながら歴史が進む。
    そうすることで読みやすく、歴史を学んでいる感じ。時折時間が後戻ったりして混乱してしまうことはあった。
    作者は史実に忠実でありたい、またはあろうと切望しており、この本は小説と言うより、ドキュメンタリーであると思う。

  • 教科書に載らない事でもこんな壮絶ドラマがある。歴史って奥が深い。そして人間って恐ろしい…

  • ハイドリヒ襲撃事件は、著者にとって語るべき意義の非常に大きな出来事だった。だからこそ、「歴史上のイベントを物語る」という行為のあり方を問いながら語るというスタイルをとったのだろうか。

    同時に、どれだけの事実を知っていれば語ることができるのか、という問題にも取り組んでいる。

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