MM9

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 91
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488018122

感想・レビュー・書評

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  • 何気なく手にとったのだが、すごくおもしろかった!怪獣サイズではそもそも生物の骨格では体を支えられないという解説本はいくつかあるようですが、この本では、多重人間原理で筋を通してしまう。コミカルな文書なので、なんとなく設定の妙だなぁと丸め込まれた感じがするのですが、シリアスなSF話や、ファンタジー漫画ともその前提の置き方は変わらない。ちゃんと一見理屈が通るように書き込んでいるだけに、よりその世界観で楽しむことができるという。5話中の最終話は神話も登場し、すばらしいスペクタクルの展開です。映像化はむり

  • あまりにも現実離れしている割にはリアルなので、
    時々違和感を感じることはあったけれど 妖怪とかいう類が好きな私は純粋に楽しめた。ここぞ!という盛り上がりがあったわけでもないけれど、こういうテンションは嫌いじゃない^^

  • 怪獣が自然に存在する世界で、怪獣に立ち向かう人たちのお話。

    色々とSF関係だったり、軍事関係だったり、架空の理論だったり、少し難しい事が出てきたり、
    とっつきにくいイメージはありますが、概ね、面白いです。
    ただ、消化不良の部分が残ってたりするので、爽快感には少し欠けてしまうかもしれません。

    続編が現在、連載中だというので、そちらも含めないと楽しみきれないのかもしれません。

  • 【地震、台風などと同じく自然災害の一種として“怪獣災害”が存在する現代。有数の怪獣大国である日本では、怪獣対策のスペシャリスト集団「気象庁特異生物対策部」、略して「気特対」が日夜を問わず日本の防衛に駆け回っていた。多種多様な怪獣たちの出現予測に正体の特定、そして自衛隊と連携するべく直接現場で作戦行動を執る。世論の非難を浴びることも度々で、誰かがやらなければならないこととはいえ、苛酷で割に合わない任務だ。それぞれの職能を活かして、相次ぐ難局に立ち向かう気特対部員たちの活躍を描く、本格SF+怪獣小説】

    「MM」とは「モンスター・マグニチュード」の略。
    人間界にモンスターが出現し、人間と戦う姿は現実味を帯びていないけど、
    昔からウルトラマン等の特撮ものを見てた日本人には容易に想像できて楽しめるのではないかと思います。
    ちょっと難しい話もできてくるので、大人向けの怪獣小説という感じ。
    人間とモンスターの間に芽生えた友情みたいなものにも注目です!

    2010年7月、ドラマ化決定。
    http://www.mbs.jp/mm9/

  • 「アイ~」からのファンです。
    これもすごいSF。

    ありえないことなのにありそう!って思ってしまう。
    SF小説、もっと読みたい。

  • 地震や台風などの自然災害に加え、怪獣災害というものがある世界(っていう設定を見た段階でシムシティ2000を思い出した)。世界有数の怪獣大国日本。だが甚大な被害をもたらす可能性がある怪獣に立ち向かうのは、アメコミ的ヒーローでもなく、宇宙から来た正義の使者でもなく、カラフルな五人組戦隊でもなく、怪獣対策のスペシャリスト「気象庁特異生物対策部」通称「気特対」、つまりは国家公務員である。怪獣の早期発見、データ収集・観測、被害規模の予測、警報の発令、そしてその撃退方法のアドバイスが主な任務である。気特対は怪獣を迎撃する攻撃手段を持ち合わせていないので、直接怪獣と戦うのは自衛隊ではあるが。

    "
    怪獣はその規模にあわせてMM0からMM9までで評価される。MMはモンスター・マグニチュードの略だ。
    「怪獣の体積が2.5倍になれば、人口密集地に及ぼす最大の被害は四倍になる」とガスリーは唱えた。怪獣の皮膚の厚さは体積の立方根に比例し、厚くなるほど弾丸は貫通しにくくなる。怪獣を殺すのに必要な累積ダメージは体積に比例する。単位断面積あたりの骨や筋肉の強度は体積の三分の二乗に比例し、地上での移動速度は体積の六分の一乗に比例する。建造物に加えられるダメージの大きさは体積の四分の一乗に関係する……といった要素すべて加味すると、怪獣が人口密集地に侵入した場合、軍に倒されるまでに最大どれだけの破壊を繰り広げるかが求められるというのだ。

    (中略)現在は同体積の水の重量に換算したトン数を基準にMMが算出されている。MM0は1トンの水に等しい体積の小型怪獣で、MMが1上がるごとに体積は2.5倍になる。

    兵器の殺傷能力が100年前よりも増大したこと、堅牢な高層ビルが増えたことなどにより、現在ではガスリーの法則は成り立たなくなっている。それでもMMは怪獣の脅威を予測する目安として使われ続けている。
    "


    数字が一つ上がるにつれ、被害規模は格段に大きくなる、というところは地震のマグニチュードと同じ。怪獣の予想進路等発表しながら警報を出していく様はさながら台風。

    数百トンを超える体重の巨大生物は、科学に照らし合わせると己の体重を支えきれないはず。それなのにMM5を超える怪獣達は地上に現れ、二本足で闊歩したりする。怪獣には人類が知っている物理学は通用しない。というのも、怪獣は人間が属する「ビックバン宇宙」とは異なる「神話宇宙」の法則に支配される存在だからである。

    そんな人知の及ばない怪獣相手に日々奮戦する気特対。彼らの前に、一糸まとわぬ少女の姿をした怪獣(テレビ中継はモザイク付き)が現れたり、怪獣を使ったテロを企てる組織の存在が明らかになっていったり……。そして観測史上最大、伝説級のMM9怪獣が日本で目覚めてしまう。

    怪獣に有効な必殺技を持つわけでもなく、ヒーローのような華々しい活躍をするわけでもなく、愛と勇気だけで人類が救えるわけでもなく。マスコミからの批難にさらされながらも、懸命に仕事をこなす命がけの現場、責任という重圧に耐える本部。SF的理屈付けに人間ドラマをおり混ぜたリアリティあふれる怪獣モノ。災害を扱った作品をエンターテイメント小説と称するのにいささか抵抗はあるが、己らの力の限界を知りつつも、人を助けるため困難に立ち向かう隊員たちの姿には励まされるものがある。そしてラストに示唆されるこの世界のひとつの可能性。なんかもうわくわくが止まらない。

  • 「アイの物語」はとても良かったけれど、これはちょっと…。懐かしいSFの匂いがするし、お茶目なところもあって悪くないはずなのに、楽しくない。「人間原理」の持ち込み方にも納得がいかない。やっぱり自分は「SFというジャンルが好き」ではないのかなとあらためて思う。とても好きな作品のなかにSFもあるっていうだけなのかなあ。

  • と学会会長さんの怪獣SF小説。色々ぶっ飛んでます。(どんきぃ)

  • 「怪獣災害」のある世界。
    「日本は密集しているので被害も大きい」というのに納得。トクサツの世界が本当にあるなら、こうなるんだよなあ、と妙に感心しながら読みました。面白かったです。
    だけど民俗学は難しい…。

  •  地震や台風と同じように、自然災害の一種として"怪獣"が日常的に出現する現代を描いたSF。例えるなら、ウルトラマンがいない地球で怪獣が現れたら、人間はこう対処するだろう、という設定。
     気象庁の職員たちが、怪獣出現の予測や対策、現場での作戦指揮に奔走する様はコミカルで、ちょっとリアル。

     MMとは「モンスター・マグニチュード」の略で怪獣の規模を表す単位のこと。日本ではこれまでMM8の怪獣が最大だったが、終盤になってとうとうMM9の怪獣が登場する。
     このほか、人間原理とか神話宇宙とか、現代に怪獣が存在するもっともらしい理由づけがなされているが、著者が楽しみながら書いているのがわかるし、こちらも完全にリラックスモードで読めた。

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著者プロフィール

元神戸大学教授

「2023年 『民事訴訟法〔第4版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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