Nのために

著者 :
  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488024550

感想・レビュー・書評

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  • それぞれの大切なNのために、嘘をついた。少しずつかみ合わなくなった歯がこぼれる。すべては愛情の連鎖なのに。

  • ドラマ化の前に再読

    《事件》
    野口貴弘さん宅で会社員の野口さんと妻奈央子さんが死亡していると通報が入った。
    警察では現場に居合わせた四名から詳しく事情を聞いている。

    6人のN
    野口貴弘・奈央子・杉下希美・安藤望・西崎真人・成瀬慎司

    亡くなった二人を除いた四人のNの独白形式で、過去と現在を交錯させながら
    事件の真実が浮かび上がってくる。
    それぞれのNの事件当時の回想
    それぞれのNの過去の回想……そして、十年後

    それぞれのNが、誰かを想いその人の為なら自分を犠牲にしてもかまわない。
    その人の為ならどんな嘘でもつける。
    皆一番大切な人のことだけ考えた。

    究極の愛……それは罪の共有

    再読なのに『母性』に続いて読んだせいか以前と違った読了感
    Nの母親たち…愛してると言いながら虐待を繰り返す母
    お嬢様育ちのまま母になり夫に捨てられた後も嘆き悲しむばかりで現実をみない母
    誰かに依存しないと生きていけない女…。

    これは、自己を犠牲にしても想う人を助けたい純愛なのか
    歪んだ環境で育ったN達のひとりよがりな想いの結果なのか
    何とも言えない重い気持ちになってしまった。

    でも、ドラマ楽しみです。

  • 2016年1月29日、出版から5年経過して読んだ。ドラマは見てないがドラマ化されていることを知っていて、タイトルに興味があり、いつか読みたいと思っていた。
    希美が語りかけてくる中で、設定時間が現在・10年前、幼少期と舞台装置が切り替わるように変化していく中で
    ドンドン物語の展開に引き込まれていく。
    アパートに住む3人、それぞれの過去が理不尽で、救い出してあげたい気持ちが高まるが、逃げられない現実。
    最後の最後にも変えがたい現実が突きつけられ、静寂ととともに幕が降りる。

  • Nのために。このタイトルに惹かれて告白に続いて購入した湊さんの本。そしてそのまま積読になっていた一冊。
    沖縄でのスキューバダイビングで同じツアーに参加していた一組の夫婦と、その出会いから親しくなった杉下希美と安藤望はその後も夫婦と親睦を深め、そして事件へとかかわっていく。
    始まりはそれぞれに警察での事情聴取で、それぞれからの視点で知っている経緯を話していく。
    夫婦と連絡が遠のいて心配した杉下は夫の野口氏に奈央子さんの具合でも悪いのかと電話をする。野口氏の話では少し体調を崩しているが今は状態が少しいいからまた安藤と一緒に遊びに来てほしいという話になった。その招待で知った奈央子さんの流産の事実と夫婦の住む高級マンションのドアに外側からかけられた安物のチェーン。彼女は流産のショックで自殺をしかけたことから仕方なくつけているという話を聞き、何とか元気づけようと昔夫婦が記念日を祝ったことのある高級レストランの出張給仕を頼む計画を立てる。その会食の日、奥さんの不倫相手が彼女を連れ出そうとやってきたところを野口氏が鉢合わせし、激昂した野口氏が奈央子さんを刺し、目の前で彼女を殺された復讐に不倫相手は野口氏を刺した。これは単純な事件のはずだった。
    杉下希美、彼女の同郷で同級生だったレストランで給仕を勤めている成瀬慎司、杉下の隣に住む小説家志望の男西崎真人、そして二人の上に住む安藤望。彼らはそれぞれの過去から植えつけられた自分にとっての大切なものを守るために事件の真相をそれぞれに隠した。小さな嘘と物語で。
    Nのために。そこにある確かに誰かを想った事実が唯一の希望だった。

    相変わらず読みやすく、感情移入しにくそうな人の心情をすんなり理解させてくれる文章の組み立て方をする作家だと思った。告白を読み、映像で贖罪を見た。この作家は物語の中の人物を愛していないのだろうかと思った。そういう作家が苦手だったから、この小説を長く読まなかった。でもこの物語を読んでそうではないのだろうと感じた。人間をどうしようもない生き物だと感じながら愛しているから小説を書くのかもしれない。次は文庫化のときを狙って“母性”を読んでみよう。

    • フーミンさん
      こんにちわ~。
      「物語の中の人物を愛していないのだろうか…」確かに湊かなえさんの小説に出てくる人物はどこか冷たく感情の起伏もないような印象...
      こんにちわ~。
      「物語の中の人物を愛していないのだろうか…」確かに湊かなえさんの小説に出てくる人物はどこか冷たく感情の起伏もないような印象を受けますもんね。
      ところで、『少女』は読まれた事ありますか?今のところ湊かなえさんの小説で、私の中では断トツに大好きなお話です!相変わらず独特の暗さはありますが、このお話は珍しく愛を感じて感動しちゃうんです。
      ラストはあ~、結局はそうなるのか、と湊節満載な感じなんですけど…^^;
      機会があれば是非読んでみてください☆
      2014/09/03
    • akitukiyukaさん
      コメントありがとうございます。感情の起伏もなんですが、告白の犯人二人の内面や贖罪の女の子を殺した犯人の動機と殺し方とかが…。
      少女はまだ読...
      コメントありがとうございます。感情の起伏もなんですが、告白の犯人二人の内面や贖罪の女の子を殺した犯人の動機と殺し方とかが…。
      少女はまだ読んだことないですね。表紙はすごく好みだったんですが、あらすじを読んで夏の庭を思い出していいやとか思ってました。でもこれはそんな先入観は横に置いておいて読んでみたくなりました。明日ちょうど本屋さんに行くので買って読んでみようと思います。
      2014/09/04
  • 西崎も、成瀬も、奈央子も、そして杉下もそれぞれにトラウマと曲折があって、小説だから1人1人に感情移入してしまって、なんてことの無い彼らの会話であっても読むのが苦しかった。

    愛がほしくて、寂しくて、愛をくれない人でも愛そうとした彼らの苦しさと葛藤が迫ってきたみたいだった。

    『俺はかつて、ある人を見殺しにした。この世で1番愛され、愛している唯一無二の人だと思っていた。その人との愛を永遠にするために見殺しにした。....そう自分に暗示をかけるため、愛などなかったその人との世界に、愛があったことにしようとした』

  • 話の進め方が今までどおりなのでまたか・・と思ったけど、告白は別格として、それ以降の作品からはパワーアップしてるように思います。

    それぞれが誰かのために、自分のしあわせのために生きているだけなのに、なんかせつない。
    起こった出来事の真相はそれぞれの視点からすこしずつ見えてくる・・相変わらず読みだすと止まらなくっておもしろかった。

  • 登場人物の名前全員にNが入る。最初は全員が一個人のために何かするという展開かと思いきや、登場人物それぞれが、それぞれ大切に思うNのために何かをする。という話。その何かのために悲劇を招いてしまうのだけど、そこにあるのは紛れも無い純粋な愛。異性に対する、友達に対する、同じ属性の仲間に対する。
    いろんな形の愛が見て取れました。
    湊さん作品の中では種明かしは見事ですがインパクト的には落ち着いた印象。しっとり終わった感じ。

  • 先が気になってどんどん読み進められた作品。でも珍しく原作よりドラマの方がよかったな~という印象。究極の愛=罪の共有という言葉のとおり、それぞれのNが自分の大切なNのために嘘をつく。まっすぐな愛にいくつもの綻びがあって、ハッピーエンドにならないところが湊さんらしくて好き◎

  • 各章ごとに視点を変えて、同じ事件を何度も繰り返し語っていくやり方は、飽きる。途中でタイトルの意味も分かってしまい、ラストもだらだらと終わった感じで、結局何を伝えたかったのか、意味不明。
    伏線も全部空回り気味。

  • 歪んだ愛情表現。漢字にするとただの虐待。
    だけど、当人たちの中ではする人される人という構図だけではない複雑な感情が混ざってるんだなと。
    でもやっぱり、それは愛じゃないよと私は思う。

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著者プロフィール

1973年広島県生まれ。2007年『聖職者』で「小説推理新人賞」を受賞。翌年、同作を収録した『告白』でデビューする。2012年『望郷、海の星』(『望郷』に収録)で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞する。主な著書は、『ユートピア』『贖罪』『Nのために』『母性』『落日』『カケラ』等。23年、デビュー15周年書き下ろし作『人間標本』を発表する。

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