- Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488186029
感想・レビュー・書評
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"今年読んだ小説ベストワンに選んでおきたい。短編集だが、どれも読みごたえのある作品ばかり。人間の心理を丁寧に描写している。事件が起こるまでのストーリーの語り口、リズムがなんとも言えない。
この人の他の作品も翻訳されているようなので、読んでみたい。" -
ドラマチックな事件など一つも起こらない、しがない市井の人々の犯罪を弁護士である語り手の目線で綴った短編集。
事件そのものと、人々が犯罪を犯すあるいは巻き込まれるに至る経緯が、簡潔で短いながらも時間と空間を自在に感じさせる文章でこれ以上ない程淡々と語られる。
しかし読めばその人物たちそれぞれの「事情」になぜか得心してしまうのだ。
最後の一編が「エチオピアの男」なのがまた良い。 -
短編集です。
これは犯罪?罰せられている人に本当は責任があるのか?という問いかけをする作品が多く掲載されています。
簡単に読めるので暇なときにオススメです。 -
弁護士がえがく、さまざまなかたちの犯罪。
法をすり抜けるもの、我慢の限界に達しての犯罪など人間模様とともに一つ一つの事件を紹介している。 -
弁護士の「私」が手がけた犯罪事件を描く、短編集。
筆者自身も弁護士であり、事実を基にして書いたというだけあって、フィクションとは思えない内容だった。
読み手を選ぶとは思うが、犯罪行為の悲惨さよりも、人間そのものへの愛しさや哀しさが胸に残る。
犯罪は道を踏み外して起こるのではなく、人生の延長線上にあって、誰もが通り得るものなのだ。
他の著作もぜひ読みたい。 -
著者は弁護士としても活躍するドイツ人。実際の事件に着想を得て、異様な犯罪の機微を描いた短編集。博物館の警備員として働く男が、「棘を抜く少年」という彫刻に魂を奪われ、棘が抜けたのかどうか気になって仕方がなくなる『棘』に、私も魅入られました。最終話の『エチオピアの男』には心を揺さぶられます。犯罪に走った人々の人生に触れる本作は全体的に暗く、えぐいシーンも結構ありますが、洗練された印象。