ラスト・ウィンター・マーダー (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (494ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488208059

作品紹介・あらすじ

トランクルームのユニットに閉じこめられたジャズが目を覚ますと、そばにはドッグとFBIの特別捜査官の死体……。これでは自分が殺したと疑われてしまう。一方、コニーは、ニューヨークに潜伏しているビリーの手に落ちていた。ジャズの、コニーの運命は? ハット・ドッグ・キラーの黒幕は? みにくいJは誰か? 謎の言葉〈カラスの王〉の意味は? ジャズはビリーの跡継ぎとなってしまうのか? 驚異の青春ミステリついに完結!

感想・レビュー・書評

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  • シリーズをこんなにも一気読みしたのは久しぶりで、最後まで映画を観ているような感覚で楽しめました。みんな無茶をするのでハラハラしてばかり。でもそこが良い(エンタメ大好き)
    首謀者に関してはやっぱりお前か!になってしまったものの、今回もそこへ辿り着くまでにたっぷりワクワクしました。特にビリーの教育を存分に活かして、ビリーと対決したシーン。やっぱりジャズは人でいたいんだな…

    3作目は、大人たちの存在感がgood。ヒューズ捜査官、G・ウィリアム、そしてコニーのお父さん。ジャズの緊張状態が続いている分、大人たちの選択、冷静さが絶妙に入ってくる。彼らの存在はこれからもジャズの支えになるんだろう。ジャズの人生は続くのだから。

    ハウイーが想像した「田舎に隠棲して時々地元の事件を解決しているジャズ」も見てみたいけど、できるならビリーの青年期の物語を読んでみたいです。

  • ヤングアダルトの分類だが、ヤングが読むのにはちょっと、内容がハードすぎるのではないかと心配?してしまった。
    ハッピーエンドだが、ラストがなんかせつないなー。大人だなー。と。
    ビリーが、この才能?を生かして活躍するシリーズなど、読んでみたいなーと思った。、

  • 青春ミステリーって書いてあるんだけど、、、
    母、、、ビックリ!!

  • 図書館で。
    2巻・3巻一緒の感想です。というか、2巻でコナー(コニーだっけ)が、家族の反対を押し切りNYに行って、さらに人を騙してものを受け取ったあたりで「ナイワ」となってそれからは流し読み。なんで若者はその仕事を専門に行っている大人よりも経験も知識も不足している自分の方がうまくやれると思うんだろう。まぁ物語だからうまくいくんだけどね。
    百歩譲ってジャズは仕方ない。当事者だし、騒動を起こしている張本人が彼の親なんだから。でもコンシエンスは違うだろ。いくらボーイフレンドのためとは言え、家族と決別し自分の命を賭けてまで達成するべきこととは思えない。それを言ったらハウイーもだけど男の子はバカだしな(笑)

    個人的には未成年でなくても、家族でなくても、連続殺人事件にかかわっている恋人のために犯行現場に行くなんて言う人が居たら問答無用で止めておいた方が良いと止めますけどね。

    と言う訳で真犯人もソウデスカーという感じだし、ジャズは大変だったねぇという感想で終わりました。コニーに新しい恋人とかが出来て、ジャズがストーカーにならないことを祈ります。

  • だんだん全貌が見えてきたところでおぉと唸ってしまった。ジャズが強い。
    ...ビリーってもしや優しいんじゃないの。

  • ビリーが息子の親友に電話かけてくるとこ良い
    両親はどうしてる? 親父さんの腰の具合はどうだ?とか世間話の調子で尋ねられるの怖い 携帯番号教えるのイヤすぎる
    原題は創世記の一節をもじったもの

  • 「さよなら、シリアルキラー」シリーズ三部作の完結編。ぶつ切りで終わった前作と違い、今作は最後まで手抜かりなくきっちりと描き切っている。果たして主人公のジャズは殺人を犯すのか?という命題の熱を冷まさずに最後まで引っ張りつつ、誰もが認める大団円にまで持って行ったのには驚嘆に値する。主人公以外に止められない、止めるためには殺すしか無いという難題に対して出した主人公の解答は素晴らしく、よもやすれば漫画的な解決ではあるが、主人公のシリアルキラー設定というスパイスのおかげで成り立った主人公らしい裏技的な解決であろう。非常に小説的でいいと思う。また主人公が罪を背負って生きたり、主人公が死んで終わるパターンにしなかったのは立派である。血脈や人種といった変更不可能な属性というテーマに対して真摯的に取り組んだ結果だろう。クライマックスやエピローグのまとめかたも上手く、少年少女が主役の青春ミステリにおいて、大人がしっかりと大人の役割を果たしたのにも好感が持てる。最後の母との対面や、いつでも殺せるけど人間的で要るためにあえて殺さないという、生殺与奪の権利を持ったまま終わるという締め方も印象深い。設定やキャラクター、シチュエーション、ストーリーテリング、どれも高水準な本作ではあるが、何よりもその風呂敷の畳み方に感動した一冊でした。これぞエンタメ。

  • ぶっちゃけ黒幕の正体は読めなかった。
    中盤以降(看護師が登場するとこ)で漸く「ん??もしかして……」となるけど、ジャズを襲う試練は想像以上に過酷で残酷。なのでビリーとの直接対決からの怒涛の展開は、作中の言葉を借りるとアドレナリンでっぱなしで大興奮。

    裏切られ続けたジャズの心情を思うと痛々しいですが、そんな彼を心から愛し案じ続けたコニ―と、剽軽な軽口を絶やさず支え続けたハウイー、思慮深く分別ある周囲の大人たちの存在が救い。

    一巻は田舎町ロボズノットが舞台の青春ミステリ、二巻はNY舞台のサスペンスだが、最終巻でまた青春ミステリの様相が濃くなった。
    父親が全米1のシリアルキラーであり、殺人の英才教育を施されたという生い立ち自体は他に類を見ない特殊さだが、「父親を乗り越える息子の物語」だと思えば、少年の成長ものとしては普遍的なテーマである。

    だがこの話は単純にビリーを悪者にして終わらない。
    ジャズが見る二つの夢が根底で繋がっているとわかった時はぞくぞくした。
    みにくいJの「みにくい」はなるほどそういう意味も含んでたのね!と、真相を知った後ならすとんと腑に落ちる。

    それにしてもこんなにイカレた黒幕は久しぶり……。
    物語の黒幕として登場する狂気的な人物は、数多のフィクションで腐るほど見てきたが、終盤ジャズと対峙した黒幕が語る内容とその思考回路は本当にグロテスク。

    「ジャズの人生にはビリーしかいなかったわけじゃない。ほかにもいろんな人がいて、いろんなものがあった。テレビも映画も、本も。ほかの子も、ほかの家族も。学校も。たくさんの見本があったし、お手本もたくさんいた。史上最高にお馬鹿な白人少年と、地球一セクシーなガールフレンドもね」

    コニ―のこの言葉と、ジャズが「共通する部分以上に、それぞれ違ってる部分が大事だ」と語るくだりには涙ぐんでしまった……。

    育った環境が人を作る。
    だが環境以上に人を作るのは、人の心だ。

    ジャズの生い立ちは過酷だし、親に与えられたトラウマは一生涯消えないだろうが、タナ―やコニ―、ハウイーなど、彼のことを心底案じ、手をさしのべてくれる他者に恵まれているので未来は明るい。
    ラストシーンはグッドエンディングかバッドエンディングか賛否両論分かれる。
    それは読んだ人がそれぞれ判断すればいいことだが、私はよい終わり方だと思った(完全なハッピーエンドとは言いにくい蛾……)

    ジャズはあの人が死ぬその日まで、殺す選択はしないのだろうと確信した。
    できることとすることは別である。
    ましてや人が物じゃない、人は大事だと知ったジャズにとって、できることとしたいことには大いなる隔たりがある。
    そしてもしジャズ自身が人は大事だと思えなくとも、ジャズを大事と、ジャスが大事だと思い続ける人々が近くにいる限り、彼は父親の二の舞にならないはずだ。
    それに殺そうと思い続けるだけでシリアルキラーと同じと断定するなら、私達もシリアルキラー予備軍なのでは?
    ムカツク上司にうざい同僚や同級生、うるさい家族……私達の周囲にいる、大事だと思いたくても、そう思いにくい人たち。よっぽどの聖人を除いて一度もヒトを殺したいと思った事がない者は稀だし、「いつでも殺せるんだから今日は殺さないでおこう」と自分を宥めてやり過ごす普通の人たちが、世の中なんて多いことか。
    そして彼らは間違ってもビリーのような狂人でも異常者でもない。
    ジャズが愛おしく踏ん張り続ける、こちら側の人間である。その大前提を忘れ、ジャズの葛藤を切り捨てた時に、私たちは本当のソシオパスに堕ちてしまうのではないか?

    余談だが、タイトルは現代の方が良かった。
    現在のタイトルも哀愁漂うし悪くはないのだが、原題(「血の血」)のインパクトが強すぎた。
    黒幕がクライマックスで放つせりふだが、この一言にシリーズ通してのテーマ「逃れ得ぬ宿業」が集約されていて、非常に印象深い。

  • 壮絶な生い立ちと真実に読んでる私が苦しかったです。ただ、ジャズにはジャズを見守る友人や恋人、恋人の父親……が居ることが救いでした。一作目、二作目は仲間と事件を追いかける『青春ミステリー』なのかも?知れないけど、シリーズ三作目は辛いだけでした。人は大事……ジャズの未来が平和で静かな日常であるように願いました。最後、母親の耳元で囁く台詞にニヤリとしてしまいました。。。シリーズ通して良かったです。

  • 終焉に向けて息苦しくなってきた。ジャスパーどうなっちゃうんだよ!ハラハラさせるぜ!面白かった!

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