乱れからくり (創元推理文庫) (創元推理文庫 M あ 1-2)
- 東京創元社 (1993年9月12日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488402129
作品紹介・あらすじ
玩具会社の部長馬割朋浩は降ってきた隕石に当たり命を落としてしまう。その葬儀も終わらぬうちに彼の幼児が誤って睡眠薬を飲んで死亡する。さらに死に神に魅入られたように馬割家の人々に連続する不可解な死。一族の秘められた謎と、ねじ屋敷と呼ばれる同家の庭に造られた巨大迷路に隠された秘密を巡って、男まさりの女流探偵と新米助手の捜査が始まる。日本推理作家協会賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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序盤の隕石の墜落で、だ、だいじょうぶか?となったが、ラストの一分の隙もない見事な種明かしに一瞬でも不安を感じて申し訳ございません。となった。ミステリー好きなら絶対に外せない一冊。
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初泡坂妻夫。いつか読みたいと思ってた。
タイトル通りに乱れ飛ぶからくりの数々。
からくり作りから始まったおもちゃ会社の一族の次々の変死、元警官の女流探偵に事件当日雇われた新米助手…。テンポよくどんどん起こる事件に、からくりにまつわる大量の蘊蓄の面白さ、新社会人の助手君のなんとも言えない焦ったさと美しい人妻への恋慕と盛りだくさんで楽しかった。そしてトリック!面白かった。さすが奇術師。 -
初の泡坂妻夫作品。
いぶし銀のミステリという印象。とてつもなく大胆で無謀とも言える自動殺人計画や喋りすぎじゃないかと思うほどのからくりに対する蘊蓄など、作品全体に自動人形、からくりに対する執念を感じる。
機械仕掛け、自動殺人は下手をすればミステリとしての興を削いでしまう要素だと思うが、この作品では犯人の死によってその後の殺人の不可解さが増すという仕掛けが面白い。
またとんでもない殺人計画を描きつつ伏線は至る所に散りばめられており、ミステリとして完成している。 -
泡坂さんの本を立て続けに読んでいたので、仄めかし方に慣れ、犯人はだいたい検討がついてたんだけど、複数名殺されたうちの2名ほどはなかなか思いつかなんだ。衒学的な要素もあり、カラクリやおもちゃに関するお話や金沢の歴史など、盛りだくさんで楽しめました!
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ミステリー小説初心者の私ですが、全く予期しない展開に、最後までワクワクしながら読み進めました。
からくり人形にも興味が湧き、いつか博物館を巡ってみたいと思っています。 -
米澤穂信さん推薦の本。探偵がさる男を尾行していると、その男に隕石がぶつかり死ぬ、という紹介。これは読まねばと思い読んでみた。たしかに殺人方法がおもしろく、ぐいぐい読んでしまった。が、昭和52年発表作品だが昭和30年あたりかと錯覚するような時代感覚だった。
ボクサーになることをすっぱりあきらめた若者、勝は求人広告で「宇内経済研究会」の扉をたたくが、そこは探偵事務所だった。所長は豪快な女性、宇内舞子。すぐさま尾行がはじまり、件の事件に遭遇するのだ。
続いて起こる連続殺人。玩具会社一族が都合4人死ぬ。その殺人方法がおもしろい。題名のごとく「乱れからくり」なのだった。
しかし、探偵舞子の口調が「○○さ」「おう、こっちだ」と、昭和30年代前後の日本映画で出てくるはすっぱな女性の時の口調。男女の関係も昭和52年発表とは思えない古めかしさ。文体と人間関係が発表年の20年前の昭和30年前後と錯覚した。泡坂氏は昭和8年生まれとあるから、昭和52年だと44才だ。昭和52年あたりの中堅年令層の価値観はこういう感じだったのかなあ。
1978第31回日本推理作家協会賞
1977.12幻影城ノベルス 発表
1988.2.25第1刷(双葉文庫) 図書館