タルト・タタンの夢 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488427047

感想・レビュー・書評

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  • 絶品フランス料理と日常の謎を解き明かす連作短編ミステリー。
    気取らないビストロ「パ・マル」で働くぶっきらぼうなシェフと個性的な仲間たち。家庭的な料理が人気で店内の雰囲気もあたたかい。
    相手がどうしたらおいしく食べることができるのか。シェフの鋭い洞察力と推理力、そして豊かな想像力により、お客さんの抱える悩みが謎解きされていく。
    温かい気持ちになり心地よかった。フランス料理にも興味が湧いてくる。ヴァン・ショー飲んでみたいな。

  • カウンターが7席、テーブルが5つだけの小さなフレンチレストラン、ビストロ・パ・マル。
    まるでサムライのような見た目をしたシェフの料理は、気取らず、しかし訪れた客たちの心と舌をつかむものばかり。そんなシェフが、今日も客たちの巻き込まれた事件や不可解な出来事の謎をあざやかに解きあかしていく──

    ※※※

    小さなフレンチレストランを舞台とした、いわゆる日常の謎解きもの。7つの連作短編集の形をとっています。

    本作では、血なまぐさい事件は何ひとつ起きません。起こるのは、ちょっと気持ち悪いな、なんでかな?とひっかかりはするものの、普通ならそのまま見過ごしてしまいそうな小さな出来事ばかり。

    だけど、シェフが謎を解き明かすと、それまで見えていた事象がくるっと色を変え、なんとも鮮やかで温かい希望が持てるようなラストにつながる構成はお見事!の一言。

    また出てくる料理がめっっちゃくちゃ美味しそうなんですよね〜!
    間違いなくこの本を読んだ人は全員、もれなくお腹が空くはず。もちろん私も。

    ちなみに、フロマージュ(ケーキではなく、いわゆるチーズ全般のことをさす)に食べ頃があって、全然味が違ってくるなんて知らなかった…!

    そもそもチーズ専門店みたいなとこでチーズ買ったこともないけども。なんなん、今めっちゃチーズ食べたいやん。ワインとともにー!

  • 商店街の小さなフレンチ・レストラン"ビストロ・パ・マル"が舞台。ミーハーなのでドラマの原作を読んでみたくって。

    すごく読みやすい文章。シェフをはじめキャラクターも魅力的。謎解きも日常系でほっこりあたたかく優しい気持ちになります。
    「ぬけがらのカスレ」で泣けてしまったのには自分でもびっくり。

    赤ワインにシナモン、グローブ、オレンジの皮を入れ温めたヴァンショーという飲み物とビストロの料理がどれも美味しそうなので、空腹時にはご注意。
    続きがあるので楽しみ!

  • シリーズの順番バラバラで読んでしまってるけど全然問題なく楽しめます。
    心穏やかに本を楽しみたい時にピッタリなシリーズ。

  • カジュアルなフランスの家庭料理を提供するお店『パ・マル』で日常にある不思議や謎、時には不穏なお話をシェフがさらっと解き明かしてくれる短編集。
    ミステリーと言うほどの重たさはなく、1話も短いのでスラスラ読める。

    従業員はたったの4名だけど、皆個性も立っていて好感が持てる人たちだった。
    フランス料理店で起こるお話なので、全て料理が関係している。
    色々な料理が出てくるけれど、とっても美味しそう!
    雰囲気も良くて肩肘張らずに美味しい食事ができるこんなお店が近くにあればなぁと思ってしまう。

  • シリーズ第1作目である本作。
    以前誤って最終巻を読んでしまったため(もちろんそれでも楽しめるのですが)、もっと話を深く味わいたいと思い読了。

    主人公、高築智行がギャルソンとして働くビストロ・パ・マルは、その名の意味する「悪くない」の通り、肩肘張らずに気軽に訪れることのできるフレンチレストラン。
    フランスの家庭料理が人気なこの店には、本当にフレンチが好きなお客さんが集まります。
    だからこそ、料理を純粋に味わっている様子がよく伝わってきます。

    無口な料理長・三舟忍。
    三舟を支える温厚な副料理長・志村洋二。
    明るいソムリエ・金子ゆき。
    その4人が働くビストロ・パ・マル。

    登場するのは食べたことのないものばかりですが、描写がとても美味しそうで…
    フレンチを食べに行きたくなりました。
    オレンジの輪切りとスパイスを加えた温かいヴァン・ショーも!
    もちろんそこはデュラレックスのピカルディで。

  • 美味しい料理と日常ミステリーの話。
    こじんまりしたフランス料理屋さんで食べてみたいです。
    どれも温かくなる温かくなる話でした。特に最後の「割り切れないチョコレート」はとてもよかったです。シリーズ化しているようなので次作も期待。

  • お店の四人と店名が秀逸です。
    割り切れないチョコレートの話が特に良かったです。どの話もじんわりと温かくなる話で、寒い時期にはぴったりでした。
    謎解きまではしてくれないけど、暖かくて居心地の良いお店が有ります。
    そんなお店に気を遣わずに行ける日が早く来ます様に心から願います。

  • 物語の舞台は下町にある小さなフレンチ・レストラン。
    美味しいフランス料理を作ってくれるのは三舟シェフと志村さん。
    美味しいワインを薦めてくれるのはソムリエの金子さん。
    お客さんを優しい眼差しで見守ってくれるのはギャルソンの高築さん。

    「パ・マル」の料理の美味しさと、居心地の良さが物語から伝わってくる。
    迎えてくれる4人の人柄もいい。
    読んでいるとだんだんと肩の力が抜けてくる。
    悩みの多い毎日には、美味しい料理と癒しの空間がどうしても必要ということでしょう。
    「パ・マル」を愛してやまない常連さん達にも、悩みや迷いはあって、
    彼らは居心地のいいレストランで美味しい料理を食べることで、一時の癒しを得る。
    そんな気はなかったのにあまりの居心地の良さに、ついつい抱えている悩みや迷いが口をついて出てしまったりするわけですね。
    そうるすと、優しい「パ・マル」のシェフ達は常連さんのそんな言葉を聞き流すことなく、解決の糸口を探してくれるのです。
    美味しい料理を作ることも、さらりと謎を解決してくれることも、どちらもまるで魔法のよう。
    これぞ究極の癒しではないでしょうか?

    私がこの本を手に取ったのは気力が底をついてしまっていた時。
    好きな歌を聴いても全く心が動かされなくて、これはまずいと思った。
    どうしたらいいのか分からなかったけど、とにかく何でもいいから心動かせるものを探さないといけないと思い、本屋に駆け込んで見つけたのがこの本。
    前から存在は知っていたし、興味はあったけど、いつか読めたらいいなくらいだった。
    でもその時は、「これだ」「この本だ」と確信出来た。
    分かるんですね。今自分に必要なものって。
    本屋さんを出てからは歩きながら(というより、信号で止まったりする度に)待ちきれないみたいに読んでいた。
    さっきまでガチガチだったのに、だんだんとほぐれていって、いつの間にかくつろいでいた。
    まるで「パ・マル」で高築さんに見守られながら美味しい料理とワインをいただいているような。
    そうなると今度は常連さん達の持ってきた謎が気になって…。

    なんとかやっと少し落ち着いたみたい。
    私の小さな(?)ピンチを救ってくれたのは「パ・マル」の優しいシェフ達でした。
    心から感謝。
    続編も是非読みたい。

    読みたい本はたくさんあり過ぎて溜まっていってしまう。
    どれから読もうかと考えるのも楽しくはあるのだけど、
    今1番読みたい本を1冊ずつ買って1冊ずつ読むような読み方が、もしかしたら精神衛生上1番良いのかもしれない。
    そんなことを考えてしまった。
    …出来るかどうかは別として。

  • フレンチ・レストランとミステリー!

    無口のシェフが事件を解決しちゃうお話。
    短編で小さな事件が7話。

    ワインが飲みたくなる。
    ヴァン・ショーというホットワイン、いつか飲んでみたいなぁ。

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著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年『凍える島』で「鮎川哲也賞」を受賞し、デビュー。2008年『サクリファイス』で、「大藪春彦賞」を受賞。「ビストロ・パ・マル」シリーズをはじめ、『おはようおかえり』『たまごの旅人』『夜の向こうの蛹たち』『ときどき旅に出るカフェ』『スーツケースの半分は』『岩窟姫』『三つの名を持つ犬』『ホテル・カイザリン』等、多数発表する。

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