理由(わけ)あって冬に出る (創元推理文庫) (創元推理文庫 M に 1-1)

著者 :
  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488473013

感想・レビュー・書評

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  • だいぶ前に読んだのに、感想書くの忘れてた。

    とある高校の文化部棟の怪談めいた噂から始まる謎解き物。主人公は美術部の男子生徒。

    主人公はワトソン役(+少しの探偵)。ハラハラ感があって面白かったけれど、解かれた謎にはあんまりインパクトはなかったかな。あと、生徒たちがたくさん出てくるのだけれど、キャラの描写が少なかったのか、なんとなく区別がつかないまま終わっちゃった感が…。

    シリーズ物として展開しているみたいだけど、登場人物たちに思い入れができないまま読み終わっちゃったので、続巻を手にする気持ちに、今のところなってない、ってとこ。

  • 僕の通う某市立高校には芸術棟なる建物がある。陰気でボロく用途不明の建物に文化系のクラブが集まり使用しているものだ。
    そこに幽霊が出るという噂が広まった。真相を探るにわか探偵団の活躍やいかに?
    コミカルさのある学園ミステリー。幽霊らしきものを見てしまったり、それを待ちぶせたり
    そういったくだりの部分は面白かった。文化系の彼等にはものすごく親近感を感じますね。

  • 学園もの日常の謎系連作短編風。
    登場人物の魅力というより学校生活の魅力が表に立っている印象。
    オチも想定外のところに話が転んで良かったです。
    後日談もちょっと好み。

  • ライトな学生ミステリーの様相から、結末とプロローグで裏切ってくる。トリックも結構凝ってるし、キャラも悪くない。

  • ふと思い立って読み返し始める。著者のデビュー作。芸術棟に文化系部がごちゃごちゃして,わちゃわちゃしている感じが楽しい。

  • 学園の日常ミステリというのは、提示される謎がささやかすぎて少し退屈だけど、フリーダムな伊神さんと振り回される葉山君のやり取りは楽しかった。壁男の幽霊についての謎解きには、果たしてそんな大掛かりなトリックを弄する必要あったか…??という疑問が残った。
    読み終わった後「理由あって冬に出る」というタイトルの意味を考えて(あとがきに「特に理由はない」って書いてあるけど…)理由あって冬に出たのは壁男の幽霊ではなく、謎解きに一役買った例の黒いアレのことだったんじゃないかと気づいて、勝手に納得した。
    旧表紙版の表紙には葉山君らしき男の子とメガネの女の子が描かれているのですが、誰だろう。(新表紙の方は台本らしきものを持っているので、柳瀬さんかな?)

  • 〇 概要
     丘の上にある某私立高校には,文化部が集まる「芸術棟」と呼ばれる校舎がある。その校舎には,フルートを吹く幽霊が出るらしい。幽霊の噂に怯えた部員が練習に来なくなってしまったので,幽霊を否定する必要に迫られた吹奏楽部部長に協力を求められ,主人公,美術部の葉山は演劇部の三野とともに,芸術棟に足を運ぶ。予想に反して,幽霊が本当に現れてしまい…文芸部の伊神は真相を究明するために捜査を始める。にわか高校生探偵団が解明した幽霊騒ぎの真相とは?

    〇 総合評価 ★★★☆☆
     青春ミステリ。殺人は起こらず,芸術棟という文化部が集まっている校舎での幽霊騒ぎが中心。そこに「立花」という学生の失踪と,消費者金融からお金を借り,自殺を偽装しているという「豊中浩一」という男を絡ませ,ほどよく読者をだます構成になっている。
     学校を舞台とした青春ミステリといえば,「文化祭オクロック」や「体育館の殺人」など,いくつか読んでいるが,その肌触りに近い。社会人になって10年以上経ってから,学校を舞台にしたミステリを読むと,もはやファンタジーというか,リアリティを感じない。なんとなく,懐かしい感じはある。
     ミステリとしては,幽霊騒動のトリックが物理トリックで,「ふーん」としか感じられないのがマイナス。立花さんがちょい役と思っていた美術部講師の百目鬼と結婚するというくだりや,三野が幽霊騒ぎまで起こして匿っていた豊中浩一が,実は犯罪者だったというオチはなかなか驚ける。しかし,伏線がそれほど張られていないので,やられたとまでは思わない。
     全体の雰囲気と読みやすさは評価できるので,佳作という感じ。似鳥鶏の作品らしい作品といえると思う。

    〇 サプライズ ★★★☆☆
     幽霊騒ぎは,影絵とプロジェクターという物理トリック。サプライズといえば,美術部顧問の百目鬼と妊娠して学校を辞めていた立花との恋と,三野がかくまっていた豊中浩一が,いい人ではなく犯罪者だったという部分。いずれも,それなりのサプライズはあるが,そもそもサプライズを狙った作品ではないし,伏線も,それほどない。★3かな。
     
    〇 熱中度 ★★★☆☆
     デビュー作らしい無駄のない作りで,中だるみはない。ただし,出てくる事件が幽霊騒ぎで,謎にそれほど魅力がない。熱中度も普通か。

    〇 インパクト ★★☆☆☆
     とって付けたような,豊中浩一の存在くらいしかインパクトに残らない。幽霊騒ぎのトリックが物理トリックなのもマイナス。登場人物も,学園ミステリではありがちなキャラばかり。ということでインパクトは薄い。

    〇 読後感 ★★☆☆☆
     ややビター。三野は豊中に騙されていたわけだし,秋野も東に遊ばれていた感じ。死体が発見されて芸術棟は使えなくなっている。立花も,百目鬼と結婚する予定とはいえ,実の父ではないわけで…。作品全体の雰囲気は軽めの文体なのだが,あらすじはビターという感じ。

    〇 キャラクター ★★☆☆☆
     主人公は,ありがちな等身大で特に才能はないけど,妙に女性に好かれる文化部(美術部)員。探偵役は物知りの先輩。友達役のややひょうきんな演劇部員が,幽霊騒動の黒幕で,おとなしい同級生の女性,そのカレシのちょっと悪い先輩と,どこにでもありそうな青春モノ・学園モノのキャラクターがてんこもり。それなりに個性はあるが,まさに,ステレオタイプ。入り込みやすくはあるが,この作品ならではの魅力的なキャラクターとはいいがたい。
     
    〇 希少価値
     「戦力外捜査官」がテレビドラマ化されるなど,著者の似鳥鶏が割と人気作家になったので,希少価値はあまりない。仮に,似鳥鶏の人気が落ち着いても,創元推理文庫なので,手に入らなくなる可能性は低そう。

    〇 メモ
    〇 プロローグ
     消費者金融から金を借り,返せなくなって自殺を考えている男の手記

    〇 一日目の幽霊
     「壁男」と立花さんの幽霊が出るという噂により,練習ができなくなった吹奏楽部のために,高島(吹奏楽部長),秋野(吹奏楽部),葉山(美術部),三野(演劇部)の四人は,夜,芸術棟に忍び込む。実際に幽霊のような存在を目撃する。

    〇 二日目の幽霊
     一日目の幽霊を,伊神(文芸部長)と葉山が捜査する。邦楽部の捜査,演劇部の捜査,吹奏楽部の捜査を経て,伊神は謎をとき,一日目の幽霊が「影絵」のトリックであったことを見抜く。しかし,トリックを見抜いたのもつかの間,裏方として幽霊のトリックをしこんでいた三野が,別の幽霊を目撃したという。

    〇 三日目の幽霊
     三野がCAI室で幽霊を目撃したので,そのトリックを暴くために,伊神,高島,東,秋野,葉山は,CAI室に忍び込む。この日はCAI室ではなく,芸術棟に「壁男」の幽霊が出る。伊神,葉山が芸術棟に行くと,そこには演劇部の柳瀬がいた。芸術棟には何もなかった。その日は,警備員に見つかるが,柳瀬の演技により,警備員をごまかし,六人は無事帰宅する。

    〇 幕間
     「豊中浩一」という男が入水自殺をしたという情報

    〇 四日目の幽霊
     伊神は「ウイリアム・ジェームズの法則」を引き合いにだし,前日の幽霊もトリックだと主張する。葉山は柳瀬のお見舞いにいく(このとき,伊神は葉山に花束を持たせる。花はアネモネ(=君を愛す),リンゴ(=誘惑),キンギョソウ(=欲望),アイリス(=私は燃えている),折れているアザリア(自制心)というもの。柳瀬は,偽のメール(送り主が葉山だと思った)により,芸術棟に呼び出されていた。

    〇 五日目の幽霊
     東が幽霊騒ぎの犯人の1人だと推理した伊神は,東を呼び出し,自白を迫る。東は壁男の幽霊の共犯者だった。東は立花が好きだったので,急に行方不明になったことを疑問に思い,居場所を知るために「立花が壁男に殺されて幽霊になった」との噂を広めていた。
     立花が登場する。立花は妊娠し,学校を辞めていた。立花は美術部の顧問の百目鬼と結婚するという(立花の子どもの父親は百目鬼ではない。)。
     伊神は壁男の幽霊のトリックを解く。これはプロジェクターの映像だった。プロジェクターの映像を,スモークマシンの煙に映していたのだ。煙はエアコンで排気した(エアコンが急に作動し,死亡したゴキブリの脚から推理)。
     三野が見た幽霊はトリックではない。ここから三野は嘘をついており,真犯人は三野だということが分かる。
     三野は,消費者金融から身を隠すために自殺したことになっていた男に寝る場所として芸術棟を貸していた。そしてそのことがばれないように,幽霊の噂を流していた。
     伊神は,人を遠ざけるには怪談にとどめておくべきで,怪奇現象にしてしまったのが間違いだったと指摘する。
     芸術棟にいたのは「豊中浩一」だった。しかし,豊中は嘘をついていた。豊中は業務上横領及び詐欺未遂の容疑で逮捕される。
     プロローグや幕間を使ったミスディレクションで,三野だけでなく読者までだますトリック
     エピローグでは,芸術棟から白骨死体が発見され,芸術棟が使えなくなるというオチ

  • そこそこ面白い。事件も重大な感じでなくて、平和で良かった。

  • とある高校を舞台に、「学校の怪談」を軸に
    「放課後探偵」の活躍を描く軽めの作品。

    プロローグと「本編の話」との間に
    何の関連もないなぁ...と思いつつ読んでいたら、
    最後で意外な展開を見せる(^ ^;

    さらに最後の最後、え、まさかというような展開(^ ^;
    最後の方はドトーのどんでん返しラッシュ(^ ^;
    何というか「反則」な気がしないでもないが、
    面白いからエンタテインメントとしてはありかな(^ ^

    登場人物のほとんどがフツーの高校生で、
    今ひとつキャラが立ってなくてやや読みづらし。
    逆に探偵役の先輩が、尻上がりに超人過ぎて(^ ^;
    マンガっぽい現実味の無さ(^ ^;

    登場人物は多いんだから、もっと他のみんなが
    活躍した方が「青春っぽくて」良いのでは...
    と思いましたとさ(^ ^;

  • 友人から勧られ読みました。
    最後のとあるキャラの心理には❓となる部分はありましたが、全体的にはキャラクターが個性的でとても楽しく読むことができました。

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著者プロフィール

1981年千葉県生まれ。2006年『理由あって冬に出る』で第16回鮎川哲也賞に佳作入選しデビュー。「市立高校」シリーズ、「戦力外捜査官」シリーズ、「楓ヶ丘動物園」シリーズなどの人気シリーズの他に『難事件カフェ』『迫りくる自分』『きみのために青く光る』『シャーロック・ホームズの不均衡』『レジまでの推理~本屋さんの名探偵~』『101教室』『彼女の色に届くまで』『100億人のヨリコさん』『名探偵誕生』『叙述トリック短編集』『そこにいるのに』『目を見て話せない』『生まれつきの花 警視庁花人犯罪対策班』などがある。

「2023年 『育休刑事 (諸事情により育休延長中)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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