ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1)) (創元推理文庫 523-1)
- 東京創元社 (1974年12月13日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488523015
感想・レビュー・書評
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クトゥルフ神話は、日本人が書いてる小説やゲーム等々で知識はあったのですが、やはりラヴクラフトの作品を読んでみたいなー、と思っていたので初挑戦。
恐怖小説、コズミックホラー、楽しいです。何か大きな謎が明かされそうになるけれど、そこに手が届かず登場人物が破滅し、モヤモヤしたまま恐怖感だけ煽るゾクゾク感。これはハマりそうです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
クラシックな怪奇な世界で素敵です。
怪奇小説の中ではポーに続き江戸川乱歩と並ぶ。
全集の1しか入手していないのだけど、
是非続きも購入したい。
装丁が変わらないうちに(これ大事)。
特徴としてはやはり怪奇と幻想の作家、
正気と狂気の不確かさ、
ですか。
人の認識なんて曖昧なもの。
強いて言えば『闇に囁くもの』の前提が、
ハードSF好きの私にすればやや陳腐、かも。
アインシュタイン後とは言え。 -
内容は面白いが読みにくい
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読みづらさは古い本だからか。
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1974年初版で,今年までに55版を重ねている影の名作に,今さらながら初挑戦です。
影の名作なのですが,ラヴクラフトという名前や,彼の作り出した「クトゥルフ神話」「ネクロノミコン」という言葉は,知っている人はくわしく知っている,知らない人は聞いたこともない,と二極分化してます。言っちゃ難ですが,健全な人は知らない,不健全な人は知っている,というような雰囲気の本で,怪しげな本屋に並んでいたりするのを見かけます。私もご多分にもれず不健全な?人のようで,学生時代からラヴクラフトの名は知ってはいましたが,今日まで手に取る機会がないままきていました。
どんな小説か説明するのは難しいのですが,一言で言うなら「怪奇小説」です。創元推理文庫から出ていますが,推理小説ではありません。怪奇小説ですので,怪奇なもの,怪奇な事件を描いており,読むと怖い感じのする小説です。が,「ホラー小説」とはちょっと違う感じです。
作品の多くに共通しているのは,人間が現れる前に地上を支配していた「旧支配者」なる種族がいて,その種族が事件に何か関与しているらしいというところです。『全集1』に収録されている短編のうち「インスマウスの影」「闇に囁くもの」はその感じが強く,作品としてはまったく別個ですが地名などにも共通のものが見られます。「闇に囁くもの」を読むと,その「旧支配者」は宇宙を飛び越え,時空のかなたからやって来たのか?というSFチックなところもあり,単なるホラーというよりもやはり「怪奇小説」という呼び名が正しいように思われます。
恐怖が主要なテーマであるらしく,作品の中で描かれている事件の全貌がどうであったかは二の次になっている場合が多いです。要するに,事件が解決されてめでたしめでたしとか,事の真相が全て明らかにされてすっきりするとか,そういったことは期待しない方が良いです。例えば「インスマウスの影」では,謎のさびれた町を支配する〈ダゴン秘密教団〉の恐ろしい企みについてはついに明らかにされず,主人公は奇怪な姿に変貌した町の人々から逃げ回ることに終始します。人々の姿が具体的にどう奇怪なのかがなかなかはっきりと書かれず,ただ生臭い匂いがすることだけがはっきりと述べられていてそっちの方が印象に残ります。翻訳も英文に忠実なようで,日本語ではおよそ使わないような構文が多くあって,書かれていることを理解するのにやや骨が折れますが,人間の本能に刻み込まれた恐怖の根源を宇宙的な規模で描いたスケールの大きさがすごいと思いますので,興味を持たれた方は是非どうぞ。ただ,表紙を見てわかるように,読み終えて愉快な気分になる本ではありませんので,その辺はご承知おきください。
ちなみに私は,「死体安置所にて」のような,クトゥルフ神話とも宇宙的スケールともまるで無縁の,ちょっとしたブラック・ユーモアのある作品も結構好きでした。 -
多くの人の恐怖心と興味を掴んでやまない“クトゥルフ”神話はここから始まった。「インスマウスの影」「闇に囁くもの」そしてブラックユーモアな「死体安置所にて」を収録した全集第1巻。文庫だけど全集。全集は全集。文字ポイントが小さくてぎっしりでも全集は全集! 時代がかったまどろっこしい訳文でも暗黒神話が私を呼んでいるのよ…! というわけで、インスマウス~だけ読むつもりがちゃんと全部読んでしまいました。
クトゥルフものはデモンベインと、あとライアーソフトのスチームパンクシリーズをやったくらいの知識しかないのですが、本家ラヴクラフトの作品を読んだところでやっぱりわかるわけがないというw そこはかとなく暗示される人間、いや地球上のどの生物とも異なる生物の恐怖、というものを描き出しているなと。すっごいぼかして書かれてるけど、それが狙いなんだという。なぜか思い出すのはすごいよ!マサルさんの「めそ」w
同時に、恐怖っていうのは興味や好奇心と絶対に表裏一体なんだ、とも感じるナド。とくに「闇に囁くもの」を読んでたらそう感じましたね。
じわじわと、そして、ぞわわ~とくる怖さなのですが、なにが私的に怖かったというと、恐怖を感じていた人間が一転して正常に戻ったけど、いきすぎて逆に狂気に陥っている、っていうことでした。インスマウスの影の主人公でも、闇に囁くもののエイクリーでも。それこそが一番忌避すべきもののような気がするのだ。
ランドルフの話が読みたいから今度は彼の話が入ってる方の全集をよもうかなーと思います。 -
クトゥルフを知ったのはもう何年も前。
世界観の知識だけあっても本家を読んだことが無かったのだが。
『邪神宮』の影響で読み始めるにいたったわけです。
この作品に限らず、昔のホラーやミステリーは回りくどくて読むのが難しい。
しかし面白い。そしてぞっとする。
結局のところ。巡り合ったが最後、逃げられないんだなと。捕らえられて堕ちて行くしかないのかなと・・・
ところで『死体安置所にて』はブラックユーモアらしいが、どこで笑えば良かったのかが未だに分からない。何ギャップのせい?ひょえーって怖かっただけっ。 -
「名状しがたい」「冒涜的な」小説群。日本の中2の総元締め。