宿命の囁き 下 (創元推理文庫 F ラ 3-7 ヴァルデマールの風 第 1部)
- 東京創元社 (2003年12月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488577070
感想・レビュー・書評
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ついに、「本編」の始まりです。
といっても、今までの作品がそうでなかった、というわけではないのですけれどもね。
本作が、とうとう<ヴァルデマール>を舞台にした作品である、という意味です。
もっとも、<a href="http://mediamarker.net/u/ikedas/?asin=4390113682">女王の矢</a>という作品がそれより前に出てはいるのですけれど。
リンク先に書いた内容の通り、そちらの方が「外伝」なので。今のところは。
本作では、<a href="http://mediamarker.net/u/ikedas/?asin=4390113682">女王の矢</a>にも出ていた「暴君」が主人公です。
そう、第一王座継承者であるエルスペスその人。
本3部作は、彼女が主人公となるのです。
かつてない危機に見舞われたヴァルデマールを救うため、彼女は旅に出ます。
そして、本作にはもう一人の主人公が登場します。
<鷹の兄弟>ク=シェイイナ族の<暗き風>です。
そう、タルマとケスリーがかつて出会った、謎めいた一族です。
神秘的な彼ら一族にも、その存続を脅かすような危機が迫っています。
本書は、二人の視点を交互に入れ替わりながら進んでいきます。
上巻は、ちょっと退屈に感じられるほど、全体的な盛り上がりに欠けています。
エルスペスの道程も、<暗き風>の日常も、心躍るようなものではありません。
全体的に憂鬱で、やるせない無力感が物語を覆っているかのようです。
けれど、下巻に入ると、それが一変します。
一気に物語は速度を上げ、ぐんぐんと読者を引きずり込んでいきます。
まさに、Lackeyの真骨頂である、巧みな展開で畳みかけてくるのです。
多くの新事実や衝撃の展開が続き、目を離すことが出来なくなっていることに気付くはず。
本作で印象に残っているのは、この台詞です。<blockquote>善きことが誰の名においてなされるかがそんなに問題だろうか?<善き力>の名においてなされた悪は、やはり悪だ。そして<悪しき力>の名においてなされた善は、やはり善なのだ。問題なのはその行為であって、何の<名>においてなされるかではない。</blockquote>真理だな、と思います。
誰が行ったかではなく、何を行ったか、ということ。
再読するたびに、こういうハッとさせられる出会いがあります。
最終的に、<ヴァルデマール年代記>はどのようになっていくのか?
すべて完全に山口さんが邦訳し、それを読める日が来ることを祈っております。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
表紙の暗き風がカッコいいですね〜(〃ヮ〃)←
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再読ー。
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二人の主人公の進む道がやっと交差。いつか出会うんだろうなと思ったが、ずいぶん遅い邂逅だった。ナイアラはともかくスキップそんなに惚れっぽくていいの?
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エルスペスは目的に辿りついたのか。アンカー王の邪悪な陰謀から逃げ切れるか。ヴァルデマールの世界に捉えられてしまったようです。
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やっと二人が出会った。
どうなるか -
2009年3月12日読了。
上巻あんなに辛かったのに、下巻は一気に読めました。
鷲獅子がいいです。
しかしいまだにこの物語全体の世界観が見えません。
人間関係にしても、あんなにかっこよく登場したスキッフが途中でただの尻軽兄ちゃんになっちゃって・・・。
次に進む前に、一つ戻って「運命の剣」から読みます。 -
2007.11.28。
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日本では、
漆黒の戦士タルマと白の魔法使いケスリー、女性傭兵コンビの作品から翻訳されて(ホントは違うけど)有名だけど、
もともとタルマ&ケスリーは〈ヴァルデマール年代記〉の外伝に過ぎない。
そして、ついにヴァルデマール国が舞台となる物語が翻訳。
ヴァルデマールには魔法使いが存在せず、バリヤーのようなものが国を守っていた。
しかし、宮廷内にいたエルスペスが刺客に襲われたことから、その力が弱まっているのでないか?
一刻も早く強い魔法使いを連れてきて、新たな防御策を立てなければならない、と
エルスペスとスキッフは魔法使いを探すために旅に出る。
一方、ペラジールの森を守る〈鷹の兄弟〉ク=シェイイナ族。
以前の事故で、一族の半分はどこかへ飛ばされてしまい、彼らの住む谷も活気がなくなっていた。
その事故を自分の責任と感じている元魔法使いの〈暗き風〉は族長の父とも対立し、
今は見張りとなって暮らしていた。
その谷にも、何か怪しい魔の手が迫っていた。
ある日、迷い込んできたエルスペスたちを〈暗き風〉は見つける……
今回は珍しく男の主人公〈暗き風〉が登場。
今まで、台詞の中だけしか出てこなかった〈鷹の兄弟〉の暮らしや、
魔剣〈もとめ〉の正体も明かされる。
初めて読んだシリーズからずっと〈もとめ〉が出てきてたから当たり前だと思っていたけど、
本当にこれは外伝アイテムなのね。
ケスリーはまだ生きてそう。出てくるのかな?
〈ダークホルム〉シリーズもそうだったけど、
海外のファンタジーだと、グリフォンって怪物じゃなくて、誇り高き種族なんだよね。
欧米人は好きなんだろうね。ロンメルの愛車もそうだったし。
ちなみに、三部作なんで、話は終わってない。
先の話だろうけど、これが終わったら、魔法戦争編かな?
個人的には『女王の矢』の続きを出して欲しいんだけどね。