- Amazon.co.jp ・本 (173ページ)
- / ISBN・EAN: 9784492233733
感想・レビュー・書評
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ある仕掛けをするだけで、思わずやりたくなるとか、つい試したくなることって世の中にはあるのです。その仕掛けについてアカデミックに考察したのが本書でした。
87ページの図で、表現される仕掛けの仕組みが素晴らしい。
会社の総務部で研究したほうがいいかもしれない。社内のちょっとした仕掛けで、行動に結びつけ、ビジネスの駆動力に活かすことができたらすごいと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
問題を解決するために、その解決につながる行動を誘う仕組みを本書では「仕掛け」と称して、その理論的考察と具体例を紹介している。
具体例として、本書の冒頭で口絵として紹介されているのは、
「問題」
書類が乱雑、整理整頓ができない
「仕掛け」
(書類フォルダーや整理箱等に)斜めの線を引く
「解決」
直線になるように並べたくなる(整理整頓できる)
「問題」
お手洗いをきれいに使ってほしい」
「仕掛け」
(男性用小便器の内側に)的を作る
「解決」
的を狙いたくなる(外にこぼさないのできれいになる)
等々の事例。もちろん本書にはその他にもたくさんの「仕掛け」が紹介されている。
最初ちょっと読んだ感じでは、行動経済学等で紹介される「ナッジ」と同じかなと思ったが、本書では「ナッジはあまり考えずに選ばれるいつもの行動(デフォルトの選択肢)の設計方法、仕掛学はつい選びたくなるもう一つの行動(オルタナティブな選択肢)の設計方法ということができる」として区別している。
ただ、ナッジにしても本書の仕掛けにしても、行動を誘引する仕組みとして根本的な部分は同じだと感じた。
このような仕組みをうまく使えば、問題の大小にかかわらず、仕掛ける方、仕掛けられる方、双方ともに大きな負担なくその解決が図れるのではないかと、大きな可能性を感じた次第。 -
どんなジャンルでも極めれば「オタク」になる。
IT技術が発達し、AIや自動運転5Gまでもが登場するこの時代に、アナログな仕掛けで人々の行動を変える研究をしている著者の本。名づけて「仕掛学」。この「仕掛学」というネーミング自体にも、一般の人の親しんでもらいように、あえて簡単なことばで学問を表現するという仕掛けが隠されているそうです。
ここでいう「仕掛け」とは、例えば(本書の表紙にも描かれているような)ゴミ箱をバスケットゴールに見立てて「入れたい」心理から「ごみを捨てる」という行動を促したり、男子トイレの中心に「的」を据えることで飛散を防止したりする仕組みのこと。本書では、著者が実際にみつけた仕掛けの事例を中心に、仕掛けの種類や効果、その見つけ方から作り方まで、オタク的に掘り下げていった一冊です。(とはいえ文章はとてもシンプルで、仕掛学未経験の私でもスムーズに読み進められました!)
確かに、街にあふれる様々な「注意喚起」の張り紙や、「勉強しなさい!」「手伝いなさい!」など行動を強制させるような言葉では、人(もしくは、人の心)は動かない。そんな「困った」を解決させる方法として、仕掛学の考え方を取り入れてみるのもアリだな、と感じました。 -
1.コンテンツを企画することが多くなったので、プロから学んでみようと思いました。
2.仕掛けとは、いつもの日常に選択肢を増やすものです。単なるゴミ箱にバスケットゴールを追加する、便器にハエのシールを貼るといった一手間を加えることで、人の「したい」という気持ちを誘導します。
著者は仕掛けをする場合は物理的トリガーを設置し、心理的トリガーにヒットさせるという順番で人は動くと述べています。人間の本能を知ることで良い仕掛けが生まれやすくなります。
本書では、人の観察をしたうえで、どのように仕掛けをしていくか、著者の経験を述べています。
3.人間の本能を知るためにはやはり人間観察しかないと思いました。人は合理的な行動ばかりをする生き物ではありません。誰もが考えつかないことをやったりします。その時に考え抜き、みんなが「している」、あるいは「したがる」ようなことであれば、それに誘導するための物理的な要素を加えていけば良いのだと思います。
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非常に面白い仕掛けがたくさん詰まっている。本書で紹介されている事例や考え方は、仕事でも使えると思う。
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人の動きを操るちょっとした仕掛けについて、まとめられた本。男性トイレにおける、的、小便禁止の張り紙よりも、鳥居マークの方が効果的など。ちょっとした心理をつけば変えられる行動の仕掛けについて。内容は軽くて良いが事例はやや少なめ。以下抜粋。
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・背表紙を「並んで一枚の絵」になるようにしておけば自然と順番に並べたがる心理が働く。
・「ついついしたくなる」ように仕向けることは不確実性を含むので遠回りに感じるかもしれないが、正攻法が効かない場合は有望なアプローチになる。
・身だしなみをキにするの自己認識の一つの現れ。実験でチラシスタンドの上に鏡を置いておいただけで、鏡を設置しなかったことに比べ2.5倍ビラをとった数が増えた。
・社会的証明
→ペッドボトルも、キャップを一緒に捨てる方法ではなく、キャップだけ別に入り口を買えると、分けて捨てる人が49→60%に上がった。これは別箱に入っているキャップが社会的証明になったからとかんがえられる。
・アイデアの発生が詰まったときの9つの視点
1.他の使いみちは?
2.他に似たものは?
3.変えてみたら?
4.大きくしてみたら?
5.小さくしてみたら?
6.他のもので代用してみたら?
7.入れ替えてみたら?
8.逆にしてみたら?」
9.組み合わせてみたら? -
タイトルに惹かれて購入。
人を動かすアイディア=「ついしたくなる」仕掛けの数々が紹介されている。
どのようにすれば行動を変化させられるのか。
そんな仕掛けを発見方法から仕組み、原理、発想法まで解説。
しかし難しいことではなく基本原理さえ知ってしまえば誰でもできると思える。
2~3時間で読めるボリュームながら新たな発見の多い著書です。
街やそこら辺を歩きながら仕掛を見つけるのも楽しみになりました。
仕事なんかで人を間接的に伝えて問題を解決する時のアイディア出しに役立ちそうです。
#2017年4冊目 -
やらされている感じが全く出ない、「ついしたくなる」仕掛け。
子どもの様子を観察したり、画像検索で世界の情報を調べるとヒントがある。オズボーンのチェックリストも効果的。
技術屋は、単純な仕掛けですむものを大げさに考えるかもしれない。気をつけよ。 -
大学時代に近い分野の研究をしていて、論文等を読んだことがあった。事例を見ると「なるほど」だが、その事例をもとに「新たにどう生み出すか」に至るのが難しい・・・