- Amazon.co.jp ・本 (434ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532192020
感想・レビュー・書評
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4回読んだ。この本に出会わなければ、マクロ経済のことなんてひとつも知らぬままに一生を終えるところだった。文章は読みやすいけど、内容は全然ぬるくない。経済ニュースの意味がわからないとき、いつもこの本を開いて参考にしています。
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魑魅魍魎が跋扈する経済学会で信用していい人の一人。まずはこの辺りから読んどけって感じ。
山形浩生の翻訳も小気味良い。 -
経済のこと知りたいならまずこの本からどうぞ。
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「つまりたくさんの人の生活水準を左右するものは---3つしかない。生産性、所得分配、失業、これだけ。これがちゃんとしていれば、ほかのことはまあどうにでもなる。」
う〜ん、この単純化がクルーグマンの魅力。国際競争力なんてのは、経済学では定義できない代物で、議論の俎上にさえあがらない「幻想」の産物である、とのこと。ここは似非の経済学との違いで抑えておく基本だろう、と思う。
だが、この共同幻想が、経済がうまく回らない「不況」期には、どこぞの国の「競争力が上回って、こちらがやばいとか言う「競争力」のデマ議論に結びつきやすいのも、また、「政治」的事実である。
ミクロの経済では、競争力の議論は企業間競争として成立するのだろうから、そこからの推論として国家競争力という議論も生産されるのだろうか。
第一部の所得分配では、日本の格差社会に似た所得分配の格差が扱われている。貧乏なもの達は、さらに貧乏に。富裕層は、さらに所得を得るという「構造」だ。これは自由主義である限り、起きる現象なのだな、ということが分る。米国も難問を抱えていることが理解できる。
第二部 では、クルーグマンは貿易赤字を取り上げて、米国内の貯蓄率の低下が問題であって、他国の貿易障害とか、為替のレートによって解消されるものではないと述べている。
第3部では、政策問題を取り上げて、財政赤字と貿易問題の関連と医療の財政負担について論じている。医療の財政負担では、米国も矛盾に陥っているようである。中央集権的な医療制度でないところが、米国の医療の問題の解決を難しくしているようである。医療は、公共の資材だと考えた方が、ほどほどにうまく処理できるのだろう。
財政赤字が、米国の最大の問題なのだろうということが分る。財政赤字を無くせば、これが貯蓄率の改善、上昇につながるのだが、これをするには選挙で、政治家が落選する政策を打つということに等しく、この「政治」と財政の解決策は提示でき問題のありかが理解できているにもかかわらずその選択が社会が選択できないところに難問が転がっている。
第4部で、ロイズの失敗と住友商事の銅の先物での失敗が、経済学てに取り上げられているが、これは筆者にはよく分らん話題。
最後に欧州の通貨制度での英国のヨーロッパ通貨システム(EMS)からの離脱が採り上げられていて、面白く読めた。話の組み立てが、非常に旨くて素人に理解出来るように仕組んである印象が残った。
デフレの罠に陥った日本経済を疑う構造解改革派の経済専門連中には、クルーグマンの「日本が陥った罠」
を論破してから議論を論破してから「自説」を述べてもらいたいものだわな。 -
おもしろい!フランクな文体だから気楽に読める本。内容も濃くてオススメな一冊。
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良書
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山形浩成を初めて知った本。まず、がっこの図書館にあるような本のくせにめちゃめちゃくだけた文体、でありながら私のような馬鹿にも経済学についてわかりやすく教えてくれます。読めば考え方にいい刺激になりました。