インド夜想曲 (白水Uブックス 99 海外小説の誘惑)

  • 白水社
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  • Amazon.co.jp ・本 (163ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560070994

感想・レビュー・書評

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  • インドに行ってからもう一度読んでみたい。
    友人シャビエルを探す主人公に、ジャイナ教の占い師が、ātmanがないと言うシーンで、そうか、と分かる。全体的に夢を見ているような感じ。

  • インドの匂いが感じ取れる幻想的な本。

  • 夜を現存させんとする幻影のガイドブック。眠れない暑過ぎるホテルでの夜の夢を誰かが見ていて、それを垣間見てるような感じ。

  • 二十数年前に池澤夏樹さんの書評を読んだ。その内容と同じように紹介してあったアレキサンドリア四重奏の印象もあったのか、結構な長編だと思っていた。
    先日、小川洋子さんと平松洋子さんの「洋子の本棚」でも本書の話題があり、読んでみる気になった。
    本屋で見つけてみると、意外な薄さ。

    失踪した友人を捜しにインドを彷徨う。しかし、目的自体は言い訳のよう。時間の止まったような病院の医師、列車の中の同乗者、カソリック系の協会会長、未来を見通す少年達との邂逅と奇妙な会話。一編は短いが、次々に読み続けられない。ゆっくり読み進める。
    そして、メタ小説というのだろうか、鮮やかに、この小説の最後に相応しい奇妙さを残して物語は終わる。

    映画化されているらしい。見てみたいような、やめておいたほうがいいような、決め兼ねる読後感。

  • もっと難解な本かと思ったら以外とすらすら読み進められた。さらっとしたちょっと不思議なほのめかしに満ちた旅行記のように読んでしまっては間違っているのだろうか。

  • なんかすごく好きだ、と読み終えてから思った。
    まあそれは当然といえば当然なんだけど、途中まではそれほど思い入れのない本になりそうだと思っていた。
    昔の友人を探す、とりとめのない旅を描いた作品で、好みではあるけどインパクトが弱いかな…なんて。
    でも終わり方がすごく好きで、読んで良かった本になった。
    ふわりとインドの夜を想う。

  • インドに旅したことがあるせいかも知れないが、読んでいてかの地の熱気や湿度、ニオイを感じた。
    ジャンルとしては、ゆるめの幻想小説短編集に入るのだろうか。軽快に夢と現実の狭間をたゆたうような気分でさらっと読み終えた。
    表現がくどすぎず、重たく感じないのは、著者の力か、訳者である須賀氏の力か。
    イタリアの作家がインドを舞台に描く、という点でも、イギリスや日本の作家が描くインドとは違った印象が感じられて興味深かった。

  • (駄々猫さん)

  • “「ファイルがあるでしょう」僕は言った。
    (…)
    「ファイルねぇ」彼は低い声で言い、一瞬、表情を硬くして、緊張した、きびしい、ほとんど軽蔑のまじった目で僕を見つめた。
    「ここはボンベイの病院ですよ。ヨーロッパ人の分類癖を押しつけないでください。あれは高慢な贅沢です。」”

    “「この肉体の中で、われわれはいったいなにをしてるのですか」僕のそばのベッドで横になる支度をしていた紳士が言った。
    (…)
    「これに入って旅をしてるのではないでしょうか」と僕は言った。”

  • 手紙だけを残して失踪した友人を求めてインドを遍歴する物語。

    主人公は旅の途中で、インドの不思議な現実を目の当りにします。
    神に捧げられた巨大なペニスをもつ老人、
    ポルトガルの詩人ペソアを巡る会長との対話、
    そして、主人公を"マーヤー"(幻影)にすぎないと言う奇形の占い師…。

    そして、読み進むにつれて、この旅は友人を探しているようで、じつは主人公の実存の探索の過程であることが少しずつ明らかになります。

    しかし、謎が解けたかと思われる最終章において、またしても虚構と現実の転倒が起こります。最後の最後で、語り手は夢見る男なのか、はたまた、夢見られている男なのか、彼の実存は闇の帳のなかで曖昧となってしまう…。

    まさに夜に属する夢のような不思議な物語でした。

    不可解なエピソードがたくさんあって、一度通読しただけでは理解が及ばなかったです。
    船のなかでの聞こえてくるジャイナ教徒の嘆きの声やホテルの部屋に押し入ってくる謎の婦人…。
    謎めいていて魅かれる逸話んだけれど、なんなのだろ?
    まだまだ推理小説のように楽しめそうだ。

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著者プロフィール

1943年イタリア生まれ。現代イタリアを代表する作家。主な作品に『インド夜想曲』『遠い水平線』『レクイエム』『逆さまゲーム』(以上、白水社)、『時は老いをいそぐ』(河出書房新社)など。2012年没。

「2018年 『島とクジラと女をめぐる断片』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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