- Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
- / ISBN・EAN: 9784560081518
感想・レビュー・書評
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すごすぎる。こんなの初めて読んだ。
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主人公とか時間軸とか当たり前だと思っている前提を、ちゃぶ台ごと引っくり返すかつてない小説。
登場人物に神話とか何かの寓意があるのかどうかは分からないけど、それぞれの行動に何か意味があるのか考えながら読むとものすごい時間かかる。
だけどもいくら考えたところで、最終的にはぜんぶ『土星』のさじ加減。
表紙と一体化になってる帯の詳細は見ないほうがいい。前知識一切なしで読んだほうが衝撃度はきっと高い。 -
「紙の民」読んだ。http://tinyurl.com/85xluyh なんじゃこりゃ笑!!折り紙外科医が創った紙人間、土星/神(運命)/作者と登場人物の闘い、作者の失恋とラブライフ、ベビーノストラダムス、プロレス、リタヘイワース。。メタフィクションというか群像劇というか(つづく
メタを同時進行するための頁レイアウトがおもしろい。見開き3〜5段、縦横、文字のフェイドアウトは、筒井康隆か映画の分割スクリーンみたい。作者に抵抗する登場人物が思考を黒塗りしたり。ベビーノストラダムスは最後まで黒塗りなのね笑。土星の弱体化(笑)につれて頁レイアウトは混迷する(つづく
で、何故にリタヘイワース?何故にタイガーマスク?何故に土星?ライム、蜂、二進法でしゃべるキカイガメとか、小道具も一風変わっている。今の社会かと思うとSFや神話みたいになったり作中作が登場したり。時々すごく可笑しいところもあって物語も強くて楽しいけど、よく判んなかった。。笑(終わり
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白水社のこのエクスリブリスシリーズは本のデザインがとても美しい。新潮クレストみたいに統一されてはいないけれど、本を手に取ることを楽しめる良い装丁だと思う。
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「紙の民」の表紙に何やらあるらしいので、本屋さんで確認してみた(読んだ借本はシーリングされてて判らず) なるほど。。読むだけの電子書籍じゃ味わえない、本を手に取る楽しみも。紙質もいい。この本は書籍として本当に凝った作りになっているんだなあ。 -
ヨメに逃げられた主人公が、残されたムスメとともに移民して悲しみを乗り越えようとする過程で、常に感じる誰かの視線に苛まされつづけ、その視線が「土星」のものであることに気づいたとき、ついに「土星」に対して戦争をおっぱじめるワケですが、そもそも「土星」っていうのはこのハナシの作者で、要は登場人物が「ヒトの生活をのぞき見てんじゃねえよ」って、自由を求めて作者に反旗を翻した。というスットンキョーなハナシです。
この本の表現方法が風変わりで、たとえば1ページの文章が三段組になっていて、3人の登場人物の心理が同時に描かれていたりとか、眠っている赤ん坊の思考は真っ黒に塗りつぶされて表現されているとか、けっこうオモシロく読むことができました。
そんなカンジでワリとめちゃくちゃなのですが、作品ちゅうにたくさん登場する“さえないオトコ”どもの哀愁がしっかり描かれていたり、作品の虚構世界と願望世界と現実世界で絡み合う作者の感情が伝わってきたりして、ストーリーとかがアレでも「表現」で楽しませることができるっていうのは素直にすげえなー。って思いました。
読みおわった直後は「なんじゃこりゃあ!?」ってカンジでしたが、あとからじわじわくる、そんな作品でした。
いまおもえば、なかなかであった。
http://blueskyblog.blog3.fc2.com/blog-entry-1714.html -
振られ男たちの悲しみが張りぼての空に反響する話。第一部の哀しいけどほやんとした感じがブローティガンっぽい。個々のエピソードが喚起する詩情が独特で多彩で、そこは楽しめた。
ただし基本の旋律は「○○子~帰ってきてくれ~」であり、自分が○○子だったら悪いけど彼らの元には帰りたくない。男の側ばっかりがまずかったとは言わないけれど、駄目になった理由を全然わかっていない感じが情けなくて。
複数の人物が同時に語っていく独特のレイアウトや、作者と登場人物がお話の枠を超えて相互作用するところが、日本の漫画(手塚治虫や吾妻ひでお)を思い出させる。男たちのじぶんことだけでいっぱいな感じも合わせて、若い人が書いた感じを強く受けた。プラセンシアがこの後どのような作品を書いていくのか、興味をひかれる。 -
カーネーション摘みを主な活動内容とするギャング団EMFが、おねしょのせいで妻に捨てられた男を司令官として、行動を監視する全能の存在である土星=作者からの解放を目指して戦争を挑む。
あらすじ書くと一昔前に流行ったポストモダン小説のようだけど、そうでもない 。つまるところはいつまでも失恋の悲しみからから抜け出せないもじもじ君=土星の情けなくも悲しい物語な訳で。好きだなー。この感じパワーズの三人の農夫以来かも。
妻は逃げたけど、今は後悔して謝罪の意を込めて一歩ごとに膝をついて祈りながら家に向かっている途中なんじゃないかと空想した男がせめてこれ以上膝をすりむかないように自宅の周囲に柔らかい芝生を植えるとことか特にいい。
紙の民、というのは紙で臓器を作って治療する天才外科医が、現代医学の登場によって時代遅れの技術になり、最後に作ったすべてが紙でできた女の人。世界中では、もうその子しかいない。
触れたりキスしたりすると、相手が紙で切れてしまうので、血だらけになってしまうんだとか。 -
悲しみに続編は存在しないのである。
土星=作者 から独立すべく立ち上がる登場人物たち。メタフィクション。実験的な技巧が凝らされていてわくわくする。
全編通して物悲しい。
ラテンアメリカの文化に明るければもう少し面白さが分かっただろうか。
訳するの大変だっただろうなと思いながら読む。 -
文学
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マジックリアリズム+メタフィクション+実験小説。
これでもかとてんこ盛りの設定と、どばどば出てくる登場人物と、読んでるものを混乱させるレイアウト。
うーん正直お腹いっぱいです…。
というか、(まだ二作くらいしかそれらしいものを読んでないんだけど)いわゆる「マジックリアリズム」ってヤツが、どうも自分は苦手かもしれない。その奇想をあんまり楽しむことができない人間なのかも…。マルケスは読むつもりなので、そこでわかるかな。
今作も土星=作者との戦争をするメタフィクション、という設定では非常に盛り上がったんですが、いざ蓋を開けてみるとなんだかすごく中途半端というか。もっとラディカルになるべきなんじゃないかなあ。
冒頭の三語ですごい期待していたので、ちょっと期待外れ感がありました。残念。 -
ヤベーやつに手ぇだしちゃったな、
そんな衝撃。