- Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
- / ISBN・EAN: 9784560092644
作品紹介・あらすじ
亡命作家との奇妙な友情、刑事たちの対話、ポルノ女優の独白、ある米国人女性の半生……名もなき彼らの「声」に耳を傾ける14の物語。短篇の名手でもあったボラーニョの戦慄の第一短篇集。
感想・レビュー・書評
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多分自分より熱狂的に好きな人が大勢いて、自分なんかそこまで陶酔してないから大っぴらに「ファンです」と言いにくい、ウディアレンのような、要するにめんどくさい作家の1人。共通して自分だけの世界を持ってる。この作家のイメージ→「君に見せたい物があるから午後来てくれ」と言われ、夕食のご迷惑にならないように三時半頃伺う。お母さんに出迎えられ、帰ってきてないから待っててくれ、と。結局本人は現れないが、彼の寝起きしてる空間にて、家族とご飯を食べ「彼という人間」に触れる。こちらの思惑一切無視だが、こういう無防備さがある。
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文学ラジオ空飛び猫たち第25回紹介本。
ラジオはこちらから→https://anchor.fm/lajv6cf1ikg/episodes/25-eno311
ダイチ
短編集はどれも個人的な感情が深く描かれているのに、しつこくなくて読みやすいです。しかもユーモアを忘れていない。小説を読んでいると自分にも結びつくところがあって、例えば『文学の冒険』の売れない作家の主人公Bが売れっ子作家のAを嫉妬してしまう気持ちとかは自分の中にもある感情だと思えました。好きなタイプの作家だったので、今度は長編『2666』を読みたくなりました。
短編はかなり読みやすくて短いので、興味持った人はとりあえず読んでみてほしいです。
ミエ
『通話』の登場人物はだいたい詩人か作家か批評家、もしくは人生に没落した人間が出てくる傾向にあるけど、ストーリーも人物描写も巧みでぐいぐい引き込まれてしまいます。ユーモア満載で笑える描写もたくさんあります。『通話』は軽めに読めるのでボラーニョの入り口としておすすめの短編集です。
ボラーニョは引き出しの多い作家で、2つの長編やボラーニョ・コレクションで重たい小説も書いています。『通話』をきっかけにボラーニョを知っていくと魅力的な文学の世界に浸れると思います。 -
横浜市民ギャラリーの展示2020/9/30 地主麻衣子さんの展示を観てロベルト・ボラーニョを知る。
南米の作家で、読んだことがあるのはパウロ・コエーリョだけ。
スペイン、チリ、メキシコにいたことのある作家。
三流作家という言葉頻出。
アゴタ・クリストフの短編を読んでいるときに覚えた感覚に近いものを感じる。
散歩者が出てくる。
へぇ、そう、だから何!って思うけれど、それでも読む。 -
いい本でした。南米文学だからマジック・リアリズムかと安直に思って読んだら、ずいぶん雰囲気が違いました。書かれてる対象に距離を感じるところだけは、(私がもつ)ラテン文学のイメージに近いですが。なんか不思議な文体。
人は、言葉を交わしても肌を重ねても、孤独で、哀しくて可笑しい。体温は寂しい。そんな感じの作品でした。 -
エクスビブリス版に続き再読。改訳とあるが大きな直しはないようです。
改めて「通話」はボラーニョの魅力が詰まった短編集だと思いました。
注意深く読み進めていくに連れ明らかになる人物同士の関係性と過去、意外性、最後に読む者をポンと突き放す感じ。読書の快楽とはこういう小説を読むことだよなぁと幸せな気持ちにさせてくれる。 -
貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784560092644 -
短篇集。どれか一つを選べと言われたら「センシニ」でしょうか。それ以外の作品も、誰かから伝え聞いた話、という体裁でほぼ語られています。波瀾万丈の人生を送ったわけではないけれど、かといって平凡でありきたりな人生でもない、フツーじゃない人なりのフツーの人生というストーリーがさまざまに繰り出されてきます。でも、どの作品も何か淋しげなんですよね。そこがたまりません。