米露諜報秘録1945-2020:冷戦からプーチンの謀略まで

  • 白水社
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560094365

作品紹介・あらすじ

インターネットとソーシャルメディアを駆使したプーチンの政治戦とは?『CIA秘録』の作家が歴史の深層、諜報活動、サイバー攻撃を究明!

感想・レビュー・書評

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  • ウクライナ戦争の前史 プーチンの謀略に迫る「米露75年間のスパイ合戦」[前篇]|じんぶん堂
    https://book.asahi.com/jinbun/article/14661199

    『米露諜報秘録1945―2020 (原題)THE FOLLY AND THE GLORY 冷戦からプーチンの謀略まで』 ティム・ワイナー著(白水社) 3300円 : 読売新聞オンライン
    https://www.yomiuri.co.jp/culture/book/review/20220802-OYT8T50020/

    ◆プーチンの対米復讐活写[評]名越健郎(拓殖大学特任教授)
    <書評>『米露諜報(ちょうほう)秘録 1945−2020 冷戦からプーチンの謀略まで』ティム・ワイナー 著:東京新聞 TOKYO Web
    https://www.tokyo-np.co.jp/article/199759?rct=book

    米露諜報秘録 1945-2020 - 白水社
    https://www.hakusuisha.co.jp/book/b606300.html

  •  前半は冷戦期、主に米側CIAの活動について。コンゴ動乱で独裁者モブツを支援、冷戦末期の「連帯」支援など。冷戦は米の勝利かと思いきや、著者は、ソ連の情報機関は冷戦の初期と末期には米に圧勝、と述べる。初期には米が東欧の共産化を阻止できなかったことと、末期にはソ連の二重スパイが浸透していたことを指すのだろうか。
     後半は冷戦後、特にプーチン大統領期の露側の活動について。エストニア、グルジア、ウクライナへのサイバー又は実攻撃、2016年米大統領選への介入、偽情報拡散。
     邦題「諜報秘録」はやや誇大かと思う。情報機関以外の一般政治の記述も多く、それ故に冗長にも感じた。また、「秘録」というほどでもない。

  • 7月1日に白水社から発売された『米露諜報秘録1945-2020』を読んだ。
    とにかく内容が濃い。
    近現代史の知見が得られたのはもちろんのこと、民主主義にはらむ脆弱性についても気づかされた。

    本書の主題は第二次大戦後の米ソ・米露関係である。
    語り尽くされたテーマにも思えるが、諜報活動や外交についての膨大な量の機密解除文書にもとづいて書かれているため、歴史の舞台裏を垣間見ることができる。

    前半は冷戦時代をあつかっている。
    諜報の分野では帝政ロシア以来の歴史を持つソ連に対して、アメリカは素人だった。
    アメリカは第二次大戦後にCIAを設立し、ソ連の政治戦に対抗していく。
    コンゴ動乱やインドネシア9・30クーデター、ポーランドの民主化運動について、歴史の教科書で読んで知ってはいた。
    しかし、諜報活動や外交の記録、関係者の証言を積み重ねることで、教科書からは伝わってこなかった立体的な構造が見えてくる。

    後半は冷戦終結後についてである。
    旧ソ連崩壊は民主主義の勝利だと思われたが、アメリカはそこで戦略を間違ってしまう。
    それがロシアを刺激し、プーチンの反撃をまねくことになる。
    クライマックスは2016年のアメリカ大統領選挙だ。
    ロシアが大統領選にどのように介入したか、その影響力は本書を読むまで想像できないほどだった。

    原著は2020年に発売されている。
    アメリカ大統領選の結果が出る前であり、もちろんウクライナ戦争も起きてはいない。
    しかしながら、本書を読むとトランプ前大統領による連邦議会議事堂の襲撃や、ウクライナ戦争は必然であると感じられる。

    著者のティム・ワイナーは、国防総省とCIAの秘密予算にかんする調査報道でピュリッツァー賞を受賞したジャーナリストである。
    日本でも『CIA秘録 その誕生から今日まで』などが出版されている。
    膨大な機密解除文書から歴史を紐解いていく技量は素晴らしかったし、文章も巧みだった。
    謝辞まで秀逸で、ここまで読ませる謝辞は初めて見た。

    歴史や国際情勢に関心がある人だけでなく、民主主義や国家のあり方に興味がある人にもおすすめできる本である。

  • 物性研の所内者、柏地区共通事務センター職員の方のみ借りることができます。
    東大OPACには登録されていません。

    貸出:物性研図書室にある借用証へ記入してください
    返却:物性研図書室へ返却してください

  • 普段、自分が持っていない視点でまとめられていて、騒がれてるけど何が問題なのかピンときてなかったことが理解できた気がする。

  • 前半良かったんだけどな。
    良かったと言うか、えげつない。
    大国の、それも、一部の図が高い奴らの思惑でどれほどの人間が不幸になるのか。
    米国もえげつないことをやっていたらしいのだが、露国に対すれば子供みたいなもんだなぁ。C国はどうなんだろう。
    露国を刺激したことが今の情勢を招いているのは間違いないんだろうが、じゃあ、露国が安定する、つまり、露国の圧政が少なくとも、それをよしとしない一部の非圧政を認めることも許されるべきだったのか。

    なんにせよ、世の中って絶望しかないのか。

    後半。言いたいことはここかと思ったが、トランプがロシアの操りで、その思惑通り大統領になったと。
    唾つけて読まないと無理だね。C国という要素が全く抜けているし、そもそもそう言うこと自体がプロパガンダの可能性も否定できない。
    もう、何が何だかわかりませんな。hahaha。

  • 第二次世界大戦終結から冷戦を経た現代に至るまでのアメリカのロシア政策あるいは無策を描く。確かにプーチンが大統領になってからのロシアは冷徹で戦略的な諜報活動によってその姿を保とうとして、それにある程度成功していたのかもしれない。特にトランプ当選に象徴されるSNSでの世論コントロールは改めて恐ろしいものだと思う。とはいえそこにはロシア独特の空虚な大義のなさが強く感じられる。確かにNATOの拡大は元々の話と違うものだ。しかしロシアはあまりにも都合の良い過去に自分自身が惑わされているように感じてならない。そもそも面積以外の面で本質的に大国であったことがないロシアが歴史のいたずらのようなナポレオンに対する勝利やヨーロッパの外縁だからこそ成功した革命、さらにヒトラーの狂気によって第二次世界大戦での戦勝国側に立った巡り合わせで冷戦の東側の名主になったことが亡霊のようにロシアにまとわりついているのではないか。そしてそれがロシアの人々の軛になってしまっているのではないか。その幻想を維持するマシーンの機能として政治戦(積極戦)やサイバー攻撃など手段だけが洗練されていくのが虚しい。先の見えないウクライナの情勢を見るにつけ、そう思ってしまう。

    それにしてもこの本の翻訳は読みづらい。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50304221

  • 衝撃的な内容ばかり。CIAとアメリカの世界の軍隊という発想からの世界への過干渉。そしてプーチンのインテリジェンスのものすごさ。ただ作者のせいか、訳者のせいか読みにくい。覚悟して読みたい。

  • 東2法経図・6F開架:391A/W55b//K

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著者プロフィール

1956年、ニューヨーク州で生まれ、コロンビア大学と大学院で歴史とジャーナリズムを専攻し、《ソーホー・ニュース》紙で記者としての第一歩を踏みだした。《フィラデルフィア・インクワイアラー》紙に移籍後の1988年、国防総省とCIAの秘密予算にかんする調査報道でピュリツァー賞を受賞する1993年から2009年までは《ニューヨーク・タイムズ》で記者をつとめ、1994年には、CIAが50~60年代に日本で自民党に数百万ドルの資金を提供していた事実を暴露した。2007年に刊行した『CIA秘録 その誕生から今日まで』は《ニューヨーク・タイムズ》のベストセラー・リストに名をつらね、全米図書賞を受賞した。2012年には姉妹篇の『FBI秘録 その誕生から今日まで』を上梓、《ウォールストリート・ジャーナル》から、「スパイ事件について書かれた最高の本」と称賛された。本書は6冊目の著書(共著もふくむ)で最新作にあたる。また、プリンストン大学とコロンビア大学で歴史と文章術を教えたこともある。本書は、辛口で知られる老舗書評専門誌《カーカス・レヴュー》の2020年度のベスト・ノンフィクションに選ばれた。

「2022年 『米露諜報秘録1945-2020』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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