樹上の銀 (fantasy classics 闇の戦い 4)

  • 評論社
3.75
  • (8)
  • (9)
  • (8)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 84
感想 : 10
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (406ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784566015050

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 読みにくかった……!
    アーサー王伝説はそこそこ知ってるけど、当然のようにイングランドでの地方戦の話とか、有名な海賊とか出てくるし、まあ、日本人が織田信長のエピソードや義経と弁慶を知っているようなものなのだろう。
    そして、仕方ないけど、翻訳も読みづらかった。
    さらに、筋立ては悪くないのに、世界観が急激に大きくなりすぎたところも分かりにくい要素のひとつだったと思う。
    闇と光の対立までは分かりやすい。
    その上に、次元の異なる「上つ魔法」があるのもなんとなく分かる。
    で、失われた国、は、どこに所属しているのか?
    老女は誰もがひれ伏す女神のような存在だけど、最初は光の所属、古老の1人と言われてはいなかったか?実は何者?
    ウィルとブラァンの冒険では、この法則が揺れまくる。
    ここでは光の魔法は使えないとか、ここは上の魔法の管轄だとか、急に変わりすぎ。
    法則が分からないので、作者がご都合主義的に魔法の使える使えないを決めているだけのように読めてしまう。
    しかも、ウィルは、なぜそうなのかは分からないのに、ここでは光の魔法は使えないとか、その場に行ったら分かる、というのは読者への説明を投げ出しすぎだと思う。
    ファンタジーはある程度理不尽な世界観に則るものだが、なぜ理不尽なのか、理不尽なりの説明は必要。
    そこら辺の欠点が、巻を追うごとに目について、これが初期ファンタジーの傑作、というのは納得がいかなかった。

    登場人物ひとりひとりはちゃんとキャラが立っていて、可愛く、応援したくなった。
    主役じゃないのに、ジョン・ローランズがいい味出していた。
    あれほどツラい目に遭ったのに、彼は人間のいいところ、強いところを1人で体現していた。素晴らしくカッコよかった❗

  • 初めから読み返しましたが、どうやら読んでいないのはこの巻だけだったようです。
    アーサー王伝説をよく知らないため、あまりわからなかったので、読めなかったのだろうと思います。

  • 話の内容とか、スジは良かった。

    けど、やっぱり訳した日本語だなーってわかる日本語が…。

    失われた国などの描写など、もっと綺麗にできたんだろうな~。

  • やっと読み終わった
    即返却

  • 荻原規子さんが自著に「樹上のゆりかご」とつけたのはこの本にちなんで、というのは荻原さんがブログで書かれていたんだったか後書きで書かれていたんだったか。ということで闇の戦いシリーズ完結編。

    本来★5つつけたいところだが、あともうちょっと感に★をひとつ削ってしまうところが切ない。この本を初読した時はウィルとそう変わらなかったが、大人になって再読するとまた印象が変わるのだ。

    このシリーズは「子ども達による宝探し」というイギリス児童文学お得意のテーマが第一なのだけど、再読するとそれがあまりに各巻せわしなく、またR.P.G.ゲームのアイテムゲットのような印象をも受ける。
    それに加えて「世界の裏側にはとある超自然的な力を駆使する組織があり、この世界を守るために日夜人知れず戦っている」というヤングアダルトにはたまらない設定と、「古い伝承はただの伝説ではなく全てその組織の活動とつながっている」という伝奇設定まではいっている。

    子どもの頃は夢中で読んだし、よく意味の分からない詩(それも少しずつ明かされていく)を書き抜いたり、作中に登場する伝承について派生読書をしたり、地図帳で地名を調べあげたりと(今でもバッキンガムシャーという地名にはノスタルジーがつきまとう)かなり「嵌った」。
    訳者の浅羽莢子さんによるあとがきで指摘される非情さについても、当時は「だってこれは戦いなんだからしょうがない」と思っていた。

    が、しかし。
    いい大人になった身で読んでみて、浅羽さんの仰ったことがよく分かった。
    「これだけヤングアダルトの心を惹きつける魅力のある作品ならば、もっと人間の善良さ・優しさ・強さについても訴えかけて欲しかった」と今更ながら思うのだ。
    このシリーズではほとんどの箇所で人間を弱く劣ったものとして書いている。とってつけたようなフォローが入るけれど、最終的に物事を決するのは<光>であり<古老>である。ここにはトールキン「指輪物語」にあるような「弱さこそが強さである」という逆転の爽快さもない。ジョン・ローランズのための老婦人の選択にも異論を唱えたい。

    またキャラ設定もいまいち弱い。特にドルー三兄弟。にぎやかしのようにあっちこっち走り回ったり脅されたり助けられたりするけど、「コーンウォールの聖杯」一冊だけならともかくとして、この三人のソロパートが弱い。(まあウィルとブラァンだけでは特殊すぎる設定から読者である少年少女の共感を呼びにくいとか、元々シリーズにするつもりじゃなかったとか、そのあたりの事情もあるだろうとは思うけど。)
    対してブラァンは普通さと対極にあるものの、ウィルや自分の過去とぶつかって成長していく「灰色の王」での姿が、人間の弱さ・どうしようもなさの先にある何か言葉にできない感情をかきたてる。ブラァンのキャラが立ちすぎてシリーズ主役であるウィルを食ってるが、話としては「灰色の王」が一番深みがある。
    ウィルは、初読時に一番共感して読んだキャラクターでもあるのだけど、今となってはそれが「ごく普通の子どもであると思っていた自分が、実は特殊な力を持つ選ばれた人間で使命を帯びていて、周囲にはそれを知られることがない」という子どもらしい願望をくすぐる設定であることが見えて、素直に共感しながら読めなくなった。(んで、大人目線で「もっと子どもらしくてもいいのにな」などと勝手なことを思う。)
    浅羽さんはメリマンの良さを捜すのに苦労した、と書かれていたけれど、メリマンは魅力があってもなくても多分子どもにとっては関係ないんじゃないかと思う。子どもの頃も、大人になって読んでも、メリマンはメリマンで、あるがままでいいと思った。神話の登場人物のように、こちらには分からない理屈で動いている人物だという印象。

    ――だらだらと書いてきたけれど、それでもなお、このシリーズに(特にヤングアダルト向けの)魅力があることは間違いない。
    今回の再読で、このシリーズをきっかけにイギリス伝承やケルトについて調べたり、実際にイギリスを訪れたという仲間が多くいることを知って嬉しかった。人生のいい時期にこのシリーズに出会えたことを幸運に思う。

    蛇足になるけど、初読の謎は今回も解けなかった。
    ・結局、老婦人ってブリタニアとは違うのか?(しかしイギリスを擬人化した女神ブリタニアにスーザンと似た異名はない)
    ・あの青緑色の石は何だったんだ?

    この本に出てきた「夏の晩になると海の中で鳴るっていう、アベルダヴィの幽霊鐘」の話は、先日読んだ「中世の窓から」に出てきた『湖や地中に沈んだ鐘のモチーフは古伝説のなかに数多く残る』というエピソードと関連していると思われる。

  • “我らは悪から救いはした。だが人の心にある悪は今度こそ人の手で抑えられねばならぬ。責任も希望も約束も、全ておまえたちの手にあるのだ (中略) この世を破壊する力を人間が得た今、世界を生かし続け、その美とすばらしい歓喜のすべてを保つことこそ人間の務めなのだ”
    私たちはその務めを果たせているのだろうか。2008/5/30


  • 映画化するんでしたっけ。新装版、出てたんだね……。
    私が持ってるのは古い方。装丁が可愛くなってるっぽくて悔しいぜ……!

    児童書の中では断とつに好き。メリマンとウィルが大好きで、ウィルとブラァンも大好き。
    本当に映画化されるなら、是非四部作ぐらいでちゃんと全部の話しをやって欲しいんだけど……無理、だろうなぁ……。

    今は亡き浅羽莢子さんの名訳。
    大好き。

  • 最終巻。まあ、それなりに…
    展開は例によって唐突だが
    ブラァンの設定すごいw
    主役かすむね
    そして三兄弟あまり活躍せずww
    慣れちゃえば楽しいってんで、この作家さんの本を引き続き読んでみることにした

  • シリーズ最終巻。

全10件中 1 - 10件を表示

スーザン・クーパーの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ラルフ・イーザウ
上橋 菜穂子
ラルフ・イーザウ
上橋 菜穂子
ジョナサン・スト...
上橋 菜穂子
アーシュラ・K....
アーシュラ・K....
上橋 菜穂子
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×