- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569654300
感想・レビュー・書評
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1冊の本に対して、時間をかけてゆっくり読むというスロー・リーディング。
その中で、より深く作品を理解(解釈)し、作者の意図を考えていくことで、さらに読書が楽しいものになると言う話。
著者自身が(優れた)作家であるため、どのような基準・考え・方法などで作品を作っていくかということをよく理解しており、上手く説明してある。
必ずしも、その捉え方が全ての作家に当てはまるわけでは無いかもしれないが、(優れた)作家の読書の方法の一つを解説している点としては有意義な内容である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最近早く読むほうに傾倒していたので、均衡を保つために少し再読。
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中小企業診断士の資格学校講師が薦めていた本。確かに2次試験対策にも役立つかもしれないが、速読ばやりの読書法に一石を投じ、速読コンプレックスから開放される良書だと思う。やはり本は味わって読みたいものだ。
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気になる小説家、平野啓一郎の読書法に触れてみたいと思い
手に取った一冊。
実際の文学小説などの一部を使い
平野氏なりの読み方が解説されており
少なからず、自分の読書法を、深いものにすることが
出来そうだった。 -
楽しみのために本を読むのっていいよねという大前提を共有できることが少ない最近なので、読んでいてうれしかった。
平野さんが言っていることを実践できるかどうかはともかくも。 -
作者の意図を探って読む一方で、自由で創造的な誤読を楽しむという二本立てで読む事が推奨されている。
他に勧められている読書のポイントは、
・書き手の視点で読む、書き手になったつもりで読むこと
・分からない単語があったら必ず辞書をひくこと
・常に「なぜ?」という疑問を持って読むこと
・読後に誰かに説明することを想定して読むこと
・別の本と現在読んでいる本を比較し、類似点、相違点を考えて読むこと
など。 -
他の人がどんなふうに本を読むかがこんなに興味深いものだとは思いませんでした。書評を読んだりネットで感想を見ることはあるけれど、「面白そうか否か」の判断材料にするくらい。読んだ後にその感想を書いた人と自分の視点の違いを考えてみたり、比較したりはしたことがなかったので。
「本が少ない頃の方が丁寧な読書ができた」というのは正にその通りだと思います。学生時代には一冊の文庫本を買うにも大変な決心が要りました。そして何度も何度も繰り返し読むたびに、読み飛ばしていた部分に気付いたり、そこに伏線があったのかと驚いたり。それが豊富に本を買えるようになってからはほぼ読み捨て。よっぽど気に入った本でなければ読み返さないし場合によっては古本屋行き。確かに色々ともったいない。スローリーディングを勧めるのも速読の洗脳と似たようなものじゃ、とか、二種類の誤読の違いは誰が判断するの、とか反論もあるけれど、その主張には頷けるところが多かったです。
著者の文章の書き方が上手いのも魅力です。話の進め方が読者の考えを読んでる。こう書いたらこう思うだろうからこう返そう、といった流れがきちんと出来ています。比喩も分かりやすくて適切。実践編の「葬送」を読んで、この作品読んで見たくなりました。 -
アンチ速読の立場で、読書の実践についてまとめた書。
レビュアー自身は速読のスキルを好む立場で、
速読に対する批判としてどのようなものがあるか、
それを知りたくてこの書を読んだ。
この本では、
「本を速く読む」ということに囚われることなく
読書の価値や方法を述べているため、
従来で言う「精読」に近い読書の方法論を学べた。
精読のための方法論をまとめた本も意外と少ないので
その点では希少価値の高い一冊かもしれない。
ただし、筆者が小説家であるためか、
取り上げられる文献のほとんどは文学作品。
善く言えば、本書のテーマにぴったりのジャンル、
悪く言えば、時間が限られた中で本を読みたい人の
ニーズには応えにくいジャンルが並んでいる印象は否めない。
余暇として読書をしたい人には向くと思うが、
仕事のために本を読みたい人、
文学作品が好きでない人には合わないかもしれない。
さらに問題なのは、
本書で速読を問題視する根拠は
「自分がやってみてダメだった」という事実のみ。
アンチ速読の根拠のいい加減さには愕然とさせられた。
そんなわけで、
得るべきものはあるにはあるが、
読者の好みによって賛否が分かれる一冊だといえる。
個人的には、やや不満の残る一冊であった。 -
巷の本屋に並んでいる速読系ノウハウ本に喧嘩を売った本。
このころは「あらすじで読む〜」系の本が人気があって、そんな時代の潮流に真っ向から立ち向かった著者の頑固さに敬意を表したい。
小説とは、けっして内容(あらすじ)だけじゃないんだってこと。読んでいく過程にこそ、小説のエッセンスがあって、そこは時間をかけて読まなきゃ分かんないんだってこと。 -
速読本がもてはやされる中、作者は敢えてじっくり読むことを薦めます。
十冊の本を速読して分かったような気になるよりも、一冊の本を熟読した方が
得られるものは多いと作者は述べます。
ただゆっくり読めというのではなく、スロー・リーディングのコツを
丁寧に解説してくれる一冊です。
【覚え書き】
・「量」の読書から「質」の読書へ。
・細部にも目を凝らして作者の意図を読みとる力は、「相手の主張は何か?」を
汲み取るコミュニケーション能力を高める。
・創造的な誤読。
・人に説明することを前提に読む。