何のために生まれてきたの? 希望のありか (100年インタビュー)

  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (118ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569783000

感想・レビュー・書評

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  • お父さんを30歳代の若さで、そして、弟さんを戦争で亡くされたりしながら、そして、戦争に駆り出されながらも、長生きをされて、しっかりこの世での使命を果たされたやなせたかしさん。「何のために生まれてきたの?」、この問いに余りある答えを出され、そして逝かれました。やなせ作品をもっと読んで行こうと思います。

  • 心が柔らかくなる。心が透明になる。悲しくて優しくなる。

  • 本書は、インタビュー番組で語られた漫画家・やなせたかし先生の言葉をもとに原稿を作成し、単行本化したものだそうです。

    先生の代表作『アンパンマン』誕生秘話、その根底にある戦争体験。
    老いてなおマンガと向き合い続ける姿勢、震災復興への思い…等々。
    齢93歳(当時)にして現役漫画家として輝き続ける先生の、現在と未来を見つめて語られた珠玉のメッセージが胸に響きます。

    尊敬する著名人を挙げるとしたら、私は迷いなくやなせ先生を挙げると思います。
    先生の代表作である『アンパンマン』のヒーロー像には、先生の正義に対する一貫した信念が生きていると思います。
    先生が作詞した『アンパンマンのマーチ』は、人間の永遠のテーマとも言える難しい命題を、子どもにも分かる言葉で真っ直ぐ突きつけていて…そこに“生命”を感じずにはいられません。
    とにかく『アンパンマン』は、先生の生き様そのものだなと思うのです。

    印象的だったのは、正義を行う覚悟――〝正義を行う人は、自分が傷つく覚悟をしなくちゃいけない。〟(49頁)という言葉でした。
    アンパンマンは、まさにこの覚悟があるヒーローだなと。だからこそ、ヒーローなんだなと。

    子供向けの本以外で先生の著書を読むのはこれが初めてですけど、どこかで聞きかじった話もいくつかあり、それでも先生の生い立ちやらデビュー前の話など知らなかったこともたくさんあって、貴重なお話がたくさん聞けてよかったです。
    震災復興に対しても、自分が出来ることを出来る範囲で実行していく~ということで、ここでもやはりブレない先生の芯の通った生き方が素晴らしいなと思いました。

  • やなせたかしさんの晩年のインタビュー本。
    生い立ちから、100年後の世界に向けてのメッセージ。
    中にあるのは一貫した人生観。
    戦争を通じて得た、
    「それぞれの立場を言い合う。言い合っている限りは戦争は終わらないし、なくならない」といった言葉は非常に重い。
    また
    「楽にお金を稼ぐということばかりを考えているのではなく、自分のやっていることが世間にどういった影響を与えていくのか、ということを考えること」が重要とも。
    児童文学に最初は志向がなかったものの、次第に天職とかんがえるようになる経緯などは非常に参考になりました。
    文末、自分の人生の晩年を夕暮れに例えた「夕日の歌」という詩が掲載されているのですが、これは必読。
    夕暮れの中を飛んでくるアンパンマン。
    アンパンマンを知っている方は、一度は読んでおいたほうがいい本かと思います。

  • アンパンマンがやなせさんの哲学を具現化したものであることが分かる一冊。

    あの国民総マインドコントロール状態にあった時に、このような普遍的で先進的な考えを持って我が道を進んだやなせさんは本当に稀有な存在だった。

    戦争の真実を語らない人が多い中、自らの体験を元に見出した思想を、アニメという媒体を通して子ども達に伝えた功績は凄まじく大きい。

  • 戦争を経験され、「飢えを助けるのがヒーロー」という思いで作られたアンパンマン。
    やなせさんの言葉が心に響く。
    ●正義を行う人は、自分が傷つくことを覚悟しなくちゃいけない。
    ●戦争というのは、絶対にやっちゃいけないということです。勝っても、負けても。
    ●自分のやっていることが世間にどういう影響を与えるか、ということを考えれば、やるべきことは自ずときまっていくと思う。
    ●幸せの中にいる時は「幸せ」はわかりません。不幸せになった時、「幸せだった」とわかるもんなんです。

  • どの本を読んでも、やなせさんの発言はブレない。

    簡潔でユニークでわかりやすい。
    でも、当たり前に生きてると、なかなかこんなこと言えないっていう厳しさもある。

    手のひらを太陽にという歌で、なぜ「生きているから悲しいんだ」という歌詞が最初なのかと言う話は、生きていくことの傷みと向き合っていることが伝わってくるようでした。

    たくさんやるべきことがあるときほど、根気よく一つずつ片付けていくと、加速度が増すと言う話も興味深かった。

  •  やなせ語録

     どんな時代も希望はある。それを信じて生きていく。

     絶望せずに、一歩ずつ進む。その気力をあふれさせるためにはちゃんと食べる。

     僕は、難しいものは好まない。わかりやすく、誰もが楽しめる物を創作したい。

     人生にムダなことは、何一つありません。全部、自分に役立つ、そして、やり続けることが大事。

     幸せになかにいる時は「幸せ」はわかりません。不幸せになった時、「幸せだった」とわかるもんなんです。
     
     自分が全く傷つかないままで、正義を行うことは難しい。
     
     困っている人、飢えている人に食べ物を差し出す行為は、立場や国に関係なく、「正しいこと」。これは絶対的な”正義”なんです。

     年をとったら、おしゃれをすることは、とてもいいことです。気持ちがシャンとするから。

     血圧が高いとか、不整脈があると、何かいろいろなことを考えちゃう。夜寝て、明日の朝、目が覚めなかったらどうしようとか。つい悪い方へとね。だからあえて、考えないようにしているの。

     現在と未来しかないの。そうすると、現在とその未来をなるべく楽しく、なるべく面白く、生きたほうがいいんです。過去のことを、いくら考えてもしょうがない。


     至極当然のお言葉胸に染み入ります。
     

  • 哲学者のおじいちゃんが、孫が「なんのために生まれてなにをして生きるのか」というアンパンマンのテーマを歌い始めてびっくりしたというエピソードがおもしろかった。
    どうしてこんな小さい子どもが哲学的な歌を知っているのかということに驚いたようだが、考えてみればこんな深い歌詞をすとんと受け入れてしまう子どもの素直さというか感受性ってすごいよなぁ。
    その子どもの琴線にふれる作品を作り続けているやなせ先生の考え方には、いつも元気をもらってしまう。

  • 「なんのために生まれて なにをして生きるのか」
    とても深い言葉を、子供たちが大きな声で歌う。
    なんだか不思議な感覚。
    でもやなせたかしのエッセンスがつまって、子供たちもそれを理解しているように思う。

    善と悪をパンとバイ菌で表現してるのも、そうか、そんなからくりがあったのか!!と驚いた。
    アンパンマンが頭を取って差し出すのも、むごいのではなくてアンパンマンはパンだから食べてもらうのが自然っていう考えに基づいてて、とっても面白い。
    そして身を犠牲にして頭を差し出すアンパンマン、正義には犠牲がつきものっていうのもとても分かりやすい形に表現されてるんだ~って頷ける。

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著者プロフィール

1919年生まれ、高知県出身。百貨店宣伝部にグラフィックデザイナーとして勤務の後、漫画家・絵本作家として活動を始める。絵本の作品に『やさしいライオン』『チリンのすず』『あんぱんまん』(フレーベル館)など多数。2013年永眠。

「2022年 『アンパンマンかみしばい③』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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