平気で他人をいじめる大人たち (PHP新書)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569850245

作品紹介・あらすじ

20年以上、カウンセラーとして職場の「嫌がらせ」やいじめなどの問題を扱ってきた著者によると、他人をいじめる大人はおおよそ3種類に分けられるという。自分の感情をコントロールできない「感情型」、自己愛が強い「自己愛型」、他者が自分にとって使える人間かどうかでしか判断しない「他者利用型」である。
では彼らによるいじめにどのように対抗すればいいのか。敵愾心を持つのは逆効果。本書では大人としてもっとふさわしい対抗策を解説するとともに、長い目で見て最も有効な解決策として、他者と本当の信頼関係を作り上げる「傾聴」のスキルを紹介する。
(内容例)
「自分が正しい」と思い込んでいる人の怖さ/自分たちと違うからいじめるという同調圧力/「そんな発注は受けていない」と言うCさん/上司から大量の本を読むことを強要されたBさん/人の噂に尾ひれをつけて拡散する人たち/公園デビューで仲間外れにされたOさん/自分自身を楽にする「傾聴」の本質

感想・レビュー・書評

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  • 私は自己啓発的な本はあまり読まない。理由はさまざまだが、一番はタイトルを読んだだけで自己完結できることが多そうだなと判断してしまうからだろう(私は聖人なのではなく、自分の中に答えがあるのだと思って必要としないタイプ)。
    そういうわけで、あまり手にしない本のジャンルではあるのだがある日、ふと他者が私にとる態度が気になって、ある記事からこの本を読むに至った。どうも本によると、自己愛型のタイプらしい。
    わかったからと言って距離を置くしか答えはないのだが、この本の真髄はいじめる側にならないための『傾聴』という行為だという記述だろう。いじめる人の心理の本じゃないの?と思いながら最後まで読むと、納得する。相手をわからせるのはもはや無理、自分が「あっち側」に行かないためにとても有用だと思ったのだ。
    傾聴する人が増えてくれば、いじめ人口が減る。
    実はこれまで、傾聴に似たことは実践していた。感情で怒ることを反省し始めた頃からだ。相手が何故そう行動したのか、尋ねることから始めてなるほど、そう考えたんだね、というと相手が内省し始める。「反省しろ!」というよりも、自分でもうすでにわかっている至らなかったポイントを整理し始め、解決法も探せるようになる。聞く力はすごい。傾聴は相手の気持ちを知ろうとするから疲れることがない、というのも目から鱗だった。

  • 大人のいじめが起こる原因、加害者の3タイプ(「感情型」「自己愛型」「他者利用型」)、いじめの辛さを軽減するための傾聴について書いてある。
    実例がリアル。加害者は変わらないことがよくわかる。
    被害者は傾聴スキルを上げて自分を守ったり味方を増やしたり、それでも耐えられなければ転職しかないんだろうか。
    人生を数十年スパンで見たときに良い気づきや学びがあればそれもいいんだろうけどなあ。決定打はなかなかないんだろうなあ。

    ・いじめを行う人たちの共通した問題点は「他者に対して思いを馳せることができない」
    ・自分の将来のビジョンのためにエネルギーを使っている人は、人をいじめることにエネルギーを注がない
    ・傾聴の最終的な目標は強烈な気づきを得ること

  • いじめの例で出てくるものとしてはとても理不尽なものであり、容易に抵抗することができるものではないと思いました。
    筆者の立場としては、法的に争うという手前の関係性の修復やいじめ主の望む対応を取ることにより結果的に穏便にうまくいくことをメインの対策に据えているように見えました。この辺が別の本「大人のいじめ」とは違う点と思いましたが、個人的には人間関係でストレスを抱えてる状況は常にストレスにさらされ心を病むものであり、ここに出てくるような対応ができるのはよほど心に余裕がないと出来ないように、個人的には思いました。
    争わなくて済むなら争わないほうが面倒も負担も少ない、というのは僕自身も思うのですが。

  • 本書の一番の効用は、「職場での自分を客観的に見れるようになること」だと思う。
    本書には様々な実例が出てくるが、それらを見て、自分が被害者・加害者にならないようにするには有用と思う。

  • ■最近は「自分が正しい」と主張してそれに従わない人をいじめる人が増えている。誰かの借り物ではない「自分の意見」とは自分の頭で考え抜いた後にようやく出てくるもの。
     他者を思いやることができず、いじめても良心の呵責を感じない人たちが本当の意味での自分の意見を持っているのか、はなはだ疑問。なぜなら自分の頭で考えることができるのであれば当然自分のことだけでなく他者に思いを馳せることができるはずだからだ。
    ■権力者の言うことや世間の常識を自分の意見だと思い込んで、そこから外れた人を許さないと考える人が増えてしまったのはなぜか。その背景には面と向かって議論することが少なくなったことが関係する。
     多くの人はお互いの意見を面と向かってぶつけ合う経験を重ねることで相手の意見を尊重することや、お互いに落としどころを見つけることの大切さを学んでいくもの。しかし昨今面と向かって議論をする経験が乏しくなり、自分の意見が否定されたり相手の意見を受け入れなければならなくなることに慣れていない人が増えている。
    ■いじめをする人は大まかに分けて三つのタイプに分類できる。
    ・感情型
    ・自己愛型
    ・他者利用型
    ■傾聴を受けた側のメリット
    ①辛さが軽減してネガティブな認知が変わっていく
     目の前のつらさや悲しみ、苦しさ、怒りなどの様々な感情が安らぐ。
     感情面と思考面の両方がより良い方向に変わっていく。
    ⓶自己理解から自己受容へ、そして他者理解から他者受容へ
     気持ちの整理や状況の整理が行われ自分の気持ちを客観視することができるようになる。これを自己理解という。
     自己の気持ちや状況への理解が深まると自己受容できるようになる。
     自己理解から自己受容へと進むと他者理解につながっていく。
    ③強烈な気付きを得ることで行動変容が生まれる。
     心が揺れることで行動変容が起こる。これが最大のメリット。
     行動変容が起こるのは、
    ・知らなかったことを知ること
    ・その知らなかったことが自分の人生に影響を与える事柄であること
    ・心が揺れること
    の三つが揃ったとき。この三つが揃うと強烈な気づきが得られるがどれか一つが欠けてしまうと行動を変えるまでの気づきには至らない。
    ■傾聴を行う側のメリット
    ①傾聴をしている側にも行動変容が起こる
    ⓶傾聴によって互いの人間関係がよくなる
    ③他者受容ができると自己受容につながる
    ④相手の立場になって傾聴できれば、いじめる側になることはない
    ⑤傾聴できる人は自分自身の言葉も傾聴している

  • 最終章の傾聴については気付きが多く、もっと勉強したいと思えた。
    が、結局は傾聴してもいじめる人は変わらないし、前段では、パワハラ社長には従うしかないとか、多少へりくだる姿勢を見せるとか、著者の言う「「人は、自己実現の願望を持ち、努力をして実現を目指すことができる存在」という人間観を持つこと」との矛盾を感じてしまう。しかし、それが現実というのもまた事実なのでしょう。。

  • 他人をいじめる大人は、
    自分の感情をコントロールできない「感情型」、
    自分中心の「自己愛型」、
    他者が自分にとって使える人間でしか判断する「他者利用型」に分かれる。

    この本では傾聴することが対策の1つとして紹介されているが、転職などその環境から逃げるという選択肢もある。

  • 心理学的分野からのアプローチ本かと思ったのですが、自己啓発本でした。(著者はカウンセラーと名乗っていますが、臨床心理士等の専門家ではありません)ビジネス面での会社でのトラブルの解決法が主な内容。会社での立ち位置のようなものに困っている方には参考になるかもしれません。 

  • 企業のカウンセリング・メンタルヘルス講師としての著者の経験から診てきた患者から聞いた話で構成されている。多少調べてみたが著者は医師免許は持っていないよう。
    企業におけるいじめ問題を著者の視点から答えを提供しているが、エビデンスがあるわけではなく完全に著者の主観的な経験からの書き方になってしまっている箇所が残念。
    また抽象度が低い話が終始続くので読止してしまった。

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著者プロフィール

産業カウンセラー

「2021年 『平気で他人をいじめる大人たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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