翼がなくても

著者 :
  • 双葉社
3.54
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感想 : 131
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575240146

感想・レビュー・書評

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  • ぶっちゃけ、そんなとこかなぁと予想はできてたけど読後感は悪くないから良いってことで。

    最近なんだか良いひと臭の漂ってきた御子柴せんせの、元々の存在を逆手にとってってのが新鮮と言えば新鮮かな。

    ミステリとしてより、なりふり構わず記録を追い求める主人公の姿を追うスポーツものとして読んだほうが良いかもね。

    リセットするのには慣れた
    この言葉に我を重ねてちょっと泣きそうになったりならなかったり。

    本格的に御子柴せんせと犬養刑事ががっつり絡むお話、読みたいなぁ。

  • 犬養刑事や御子柴弁護士が、脇役になっていたのに驚いた。沙良の必死さの理由がわかった時、少しジワリときた。

  • 最初は、どの様な展開になるのか、いつものミステリーなのか、新しく障害者の話なのか、気にしながら読み進めた。すると殺人事件が起こり、馴染みの登場人物も現れ、やっぱりミステリーだと安心する。しかし、メインは障害者の話で、そこにうまいこと謎を絡ませ、驚きと感動を与えてくれる。最後にピークを持ってくるあたりは、さすがと思わされた。

  • 事故で左足を切断した女子の陸上選手。義足でパラリンピックを目指そうと高額な義足を求める。そして事故を起こした幼馴染の加害者は遺体で発見。彼には高額な保険金がかけられていた・・・。
    御子柴弁護士VS犬養刑事という初対決も見ものだったがわりと薄めの味付けと言う感じ。それよりも陸上選手である主人公の情熱、というより執念が印象に残った。ラストはスッキリだが、あのトリックって本当にうまくいくんだろうか。

  • いつもの音楽シリーズの舞台が今回は陸上競技に移ってはいるものの、基本的には主人公の葛藤がジンジン伝わってくる文調がとても心地よい。
    今回の作品は、ミステリーの意味合いよりも、主人公がどん底から這い上がって勝利を得る、言わばど根性スポ根が全面に出て面白かった。犯人探しの興味よりも、主人公と一緒になってトラックを駆け抜ける様な不思議な一体感を持って全体を読みきったような気がする。御子柴、ちょっと影薄かったかな。

    いずれにせよ、読後にいつもとは違った爽快感・疾風感があった。

  • 将来を嘱望された若きアスリート、一ノ瀬沙良の
    未来は、隣人の不良息子の暴走車両によって潰された。失っても潰えない走ることへの渇望。しかし加害者の隣人息子が何者かに殺害されてしまい……。

    ついに犬養vs御子柴!といっても二人の対決シーンより事故にあってパラリンピックを目指す女性の姿がメインだったのでそちらを楽しみにすると物足りないかも。しかし二人のシリーズとは思えないほど爽やかであたたかい読後感。女性が成長して大会を目指していくさまがドビュッシーを思い出したので成功を掴んでいくほど絶望的などんでん返しを掴まされたらどうしようかとハラハラしたけどよかったよかった。どんでん返しはそっちもか!という感じ。アスリートの情熱にはおいてかれそうになるものの全体通してとてもよかった。

  • ミステリーと障がい者スポーツの融合。

    実業団の女子陸上選手が危険運転の自動車事故で選手生命を奪われる。
    絶望の中、海外の義足のスプリンターの姿に希望を見出し、パラリンピック出場を目指すが…

    最近よくある障がい者スポーツの話かと思ったら、事故の加害者が殺害される。
    その加害者の弁護士はあの御子柴だった…

    ってオイオイ、障がい者スポーツにミステリー絡めるのかよ!って思いながら読んだけど、なかなか良いお話でした。

    正直、障がい者のお話はやるせない気持ちになるので苦手なのですが、陸上競技に希望を見出し前向きに努力する話なので、全く悲壮感は無くラストもスッキリした読後感です。

    何より、スキー板の先のような義肢の話とか、スポーツ科学の話とか、なかなか興味深く勉強になりました。

    ★一つ減点の理由は、殺人事件と競技の話を無理矢理くっつけちゃったような違和感があるからかな。

    お話自体はうまく出来てるとは思うけど、ただ中山七里ならもう少し融合させられたのでは?という高望みなのかも。

    とはいえ、エンタメとしてはなかなかの面白さです。
    中山ファンとスポーツに興味がある人にオススメです。

    是非!

  • ‪まるで2つの小説を同時に読んでいるような感覚。ミステリーの謎解きは割とあっさり終わるので障害者アスリートのドラマの方が中心。マイナースポーツ×弱小チームという使い古されてきた題材で、事件の真相も新規性はそこまで無かったかな…でもスポーツ科学の描写はとても丁寧で興味深かった。‬

  • ★2017年3月26日読了『翼がなくても』中山七里著 評価A
    面白い!
    中山七里氏らしいスピード感とストーリー性、社会性を絡めた一流の作品です。今回の作品では、障害者スポーツ、パラリンピックが絡んでくる。事件の謎解きよりもストーリー全体が興味深い。

    市ノ瀬沙良はインターハイ女子200メートルの優勝者。実業団陸上部2年目で日本代表も期待されていたホープ。その彼女が、ある日交通事故に巻き込まれて、大切な左足膝下を切除。

    その交通事故の犯人は、隣家に住む幼馴染の相楽泰輔。彼は既に交通違反のために、無免許状態で事故を起こした。それ故に危険運転致死傷罪(負傷時15年以下、死亡時加重で最高20年の懲役)の対象外となり、過失運転致死傷罪7年以下の懲役と無免許の加重のみとなる可能性が強いという。
    あまりに不条理な処分の可能性に、塞ぎ込む沙良。

    通常3ヶ月かかる入院を沙良の努力で2ヶ月で退院。自宅に帰った沙良は、自室の窓の向こうにいる相楽泰輔へ怒りをぶちまける沙良。
    その2日後、相楽泰輔は自宅の自室で胸を刺されて出血多量で死亡して発見される。
    そして、警察から疑われる沙良。事件の真相は?

    これ以上はネタばれになるので書けませんが、この後の展開がよく練られていて実に面白い!オススメです。

  • 読み進めてもなかなか犯人が読めずで、まさかの結末。オチとしては単純明快ではあるけれど、中坊の泰輔が沙良に抱いた気持ちの最後の到達点がそこに至るのはやや切ない。

    • nori-kokkosanさん
      本書に登場する御子柴弁護士のシリーズ、ぜひ読んでみて~!
      ソナタ、ノクターン、レクイエムの順番でね。(少々受け入れられない場面があるかも知...
      本書に登場する御子柴弁護士のシリーズ、ぜひ読んでみて~!
      ソナタ、ノクターン、レクイエムの順番でね。(少々受け入れられない場面があるかも知れませんが)
      2017/06/04
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著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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