犬がいた季節

著者 :
  • 双葉社
4.21
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575243253

感想・レビュー・書評

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  • 青い春と書いて青春…懐かしい(´ー`)
    平成元年といえばわたしが結婚した年で小説の始まりよりは数年後になるけど…
    当時の歌、商品、CM、世情がたくさん出て来て懐かしくてあの頃の自分が色鮮やかに蘇りました♪

    淡い恋、友情、進学、別れ…アオハル‼︎
    あっわたしの青春時代にはアオハルと言う言葉はなかったですが笑
    今40代、50代の人が読んだら感動もひとしおかと

    携帯もなく「写るんです」で写真を撮り笑
    卒業式した後なかなか連絡が取れなくて、自分の元にだけ思い出が残る時代。

    コーシローが生きた時代の彼、彼女達がみずみずしくて眩しい(^ ^)
    コーシロー♪大好きな人の腕の中で旅立てて幸せな犬生だったね…

    ちなみに私は愛知県なんで
    鈴鹿サーキットのセナに興奮しました〜笑

  • 犬のコーシローが高校で生徒と学校生活を共にする。初年度に卒業した少女の面影をずっと胸に秘めながら…。
    まさに青春!高校3年生が抱える悩みや葛藤。夢、恋愛、友情、家庭。厳しい現実を目の前にしながらも、未来の選択肢を自分で選び取っていく。時代背景が色濃く描かれており、年代が合えば懐かしい気持ちになると思う。ほろ苦さも感じながら、読後は温かく清々しい。特に全員集合した最終章はいろんな感情で胸がいっぱいになった。

  • 昭和・平成・令和。県内有数の進学校である八稜高校(通称「ハチコウ」)で飼われている白い犬「コーシロー」は、入学して卒業していく生徒を見守り続ける。

    各世代の高校生たちの青春が描かれているのが面白い。でも、その生徒たちが卒業していくのを見送るコーシローが切ない。
    特に「明日の行方」が良かった。寂しくて切ないけど、だからぐっとくるものがある。この章は1994年度の卒業生が主役なので、1995年の八稜高校が舞台。1995年といえば、阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件と、不安が続いた年でもある。震災で家をなくし飼い犬を亡くした祖母を受け入れるがそこにも苦労はつきまとう。震災後、間を置かずに亡くなった祖母の姿を引きずりながら地下鉄サリン事件の映像を見た章の主人公は、合格した大学を辞めて医学部に入り直すことを決意する。何もできずにいた自分を変えるために。
    とても良いなと思った。
    この主人公がコーシローに挨拶をする場面が切ない。
    「元気でね、という言葉を聞くと、長いお別れが来る。この間もたくさんの卒業生に撫でられながらこの言葉を聞いた」

    最後の章では、今までの卒業生の進路が分かって、これもまた感動的でよかった。


    「手を振ろう、コーシロー。あの子の幸せを祈って。先生方はいつか同窓会で会えるが、私たちはおそらく二度と会えないから」

  • 八稜高校の、平成元年から平成11年にかけた高校生たちと、そこにやってきたコーシローと呼ばれた犬のお話。

    高校で飼われるコーシローの元には、桜の匂いがする頃に子どもたちが去っていき、新しい子どもたちがやってくる。同じ高校生でもそれぞれの時代でみな違い、みな楽しんだり悩んだりする。また懐かしさも感じた。(知らない時代もあるのに笑)

    その一方で、犬のコーシローは子どもから大人、老犬へと人間より早く成長していく事への高校生との対比に、最初は愛らしさを感じるが、徐々に切なさを増す。

    第一章の、人間の光司郎と優花が全体の軸になっており、長い時を超えていく二人をコーシローと共に優しく見守っていきたくなる一冊だった。

    -------
    新入生から漂ったパンの匂いを、ユウカさんのにおい…と感じたコーシローが堪らなく可愛い。

  • 忘れていた淡く儚い記憶とともに本の世界に入れる1冊です。

  • 読み終えた時「この本と出会えてよかった」と思える本でした。
    高校で飼われる事になった犬のコーシローと彼を代々世話してきた生徒たちの連作短編集。
    時代が主に昭和63年から平成11年までが描かれているため、現在30代の自分はまるでコーシローと一緒に成長してきたかのような感覚で読み進めていました。
    どの章のストーリーも甘酸っぱかったりどこか切なかったり、そして優しい物語が多く強く心打たれる。またその時代に流行った物や曲がさりげなく登場するのも懐かしい気持ちになりました。
    ラストの令和を描いた章も素晴らしく、付けられるなら★5つ以上つけたいです!

  • スクリーンに静かに流れる映画を観ているかのような、切なくも優しい小説。

    主人公は“あの頃の自分と、モフモフのアイツ”
    ヒロインは“憧れの人”
    キャストは“懐かしい級友と恩師”
    背景は“あのニュース、あの事件”
    サウンドトラックは“懐かしのヒットナンバー”

    桜の季節に、これほど優しい小説に出会えたことに感謝。

    映画化希望!

    *************************************
    ・テーマ/世界観 ★★★★
    ・背景描写    ★★★★★
    ・キャラクター  ★★★★★
    ・インパクト   ★★★
    ・オリジナリティ ★★★★
    ・テンポ/構成  ★★★★★
    ・文章/語彙   ★★★
    ・芸術性     ★★★★
    ・感動/共感   ★★★★
    ・余韻      ★★★★★

  • 読み終えて、泣いて、
    カバーを外して、もう1回泣いた。

    犬のコーシローと、とある学校の長い物語。
    昭和平成令和という時代の流れを、
    学校とコーシローを中心にしながらも、
    大人になっていく登場人物、
    変わらない街並みと変わっていく街並み、
    その時代の出来事や流行りの歌が織り込まれながら描かれていて、とにかくひたすら上手いです。

    犬のコーシローが、
    元気でね、という言葉をきくと、長いお別れがくる。
    と気づいたりするところが、とっても切ない。
    「ずっとあななたたちと、いたいです」
    だなんて、コーシロー会のみんなに聞かせてあげたかった。

    締めまで文句無しによかった。
    三重県が舞台なんですが、そのへんの描写も丁寧でした。田舎と都会の対比もありつつ。
    青春物語であり、友情物語であり、家族の物語でもある。
    等身大の18歳たちがつないでいく物語を、ぜひ読んでもらいたいです。



    確認したら、「注文の多い料理小説集」でも、すてきなお話を書いておられる作家さんでした。気づいていなかった!これは伊吹さんの作品、ほかも読まなければ。

  • 恋をしたことのある人ならば甘酸っぱい青春時代を誰もが思い出す小説じゃないでしょうか。進路に迷い、地元に残るかそれとも、、、恋する相手との卒業後は、、、選択肢がたくさんあったあの頃。
    同世代の著者の本、どこもかしこもウンウン頷きながら読了。
    みなさん、カバーを外した本の表と裏は見て見ましたか?まだの方は是非ご確認を。

    犬の出てくる小説に悪いのなんかないよ。

  • 時代背景が自分とドンピシャで、時間の流れを感じながら
    懐かしく、気持ちよく読むことが出来ました。
    ある高校に迷い込んだ犬を中心に、時代の流れを読み解いていく
    ふんわり、ホンワカする構成です。
    後半ではコーシローが人の言葉を少し理解し、感情を匂いで
    嗅ぎ分けていく面白さもあります。
    最後もホッと出来て良かったです。

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著者プロフィール

1969年三重県生まれ。中央大学法学部卒。出版社勤務を経て、2008年「風待ちのひと」(「夏の終わりのトラヴィアータ」改題)でポプラ社小説大賞・特別賞を受賞してデビュー。第二作『四十九日のレシピ』が大きな話題となり、テレビドラマ・映画化。『ミッドナイト・バス』が第27回山本周五郎賞、第151回直木三十五賞候補になる。このほかの作品に『なでし子物語』『Bar追分』『今はちょっと、ついてないだけ』『カンパニー』など。あたたかな眼差しと、映像がありありと浮かぶような描写力で多くのファンを持つ。

「2020年 『文庫 彼方の友へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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