犬がいた季節 (双葉文庫 い 64-01)

著者 :
  • 双葉社
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感想 : 59
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  • / ISBN・EAN: 9784575527179

感想・レビュー・書評

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  • 2021年本屋大賞第3位受賞作品。青春時代の甘酸っぱさやちょっと切ない想いを描いた、6編の連作短編集。『BAR追分』シリーズ以来の伊吹作品。

    Mr.Childrenの『innocent world』やブルーハーツの『TRAIN−TRAIN』、安室 奈美恵の『SWEET 19 BLUES』等、その当時青春時代を過ごしていた人達には、何とも懐かしいワードが沢山出てきて、ノスタルジックな想いにさせてくれます❗

    タイトルの割に余り犬が活躍しないことに、少し不満に思う方もいるかも知れませんが、個人的には丁度いい塩梅だったかなあと思っています♫

    好きな話しは、F1を観に行く、『第2話 セナと走った日』とノストラダムスの大予言の恐怖の大王の年の淡い恋を描いた、『第5話 永遠にする方法』の2編です❗

  • 前々から気になっていた本

    さすが本屋大賞候補。
    3位だったようですが
    1〜2位は何かと確認したら
    クジラと図書室。

    うーむ。
    確かに他の2冊もいいけど
    自分なら本書が大賞

    短編でどれも良かったが
    第2章が一番良かった。

    マディソン郡の橋の匂わせ回収、
    最後の忘れ物も良かった。

    お薦めの一冊です♪

  • Xのフォロワーさんから、間違いないとおすすめされた作品。
    すごく良かった!もっと早く読みたかった!

    時代背景が私の人生と同じだったので、色々懐かしく思ったり、初恋、青春、結婚、子育て、印象的な出来事...自分の人生を思い返せる作品でもありました。
    学生時代の葛藤ってどの時代も同じなんだなーと。
    コーシロー(犬)目線からの語りと終盤は涙がとまらなかった。あの終わり方は最高!

    大好きなaikoも出てきてテンション上がりました(笑)

    • みーわさん
      1Qさん♪
      私的にはかなり上位に入る作品になりました(*´-`)
      感動させようとか泣かせようとかそんな意図は感じられない作品だったけど、自然...
      1Qさん♪
      私的にはかなり上位に入る作品になりました(*´-`)
      感動させようとか泣かせようとかそんな意図は感じられない作品だったけど、自然と涙が流れました( ´•̥̥̥ω•̥̥̥`)

      読みたいリストから読んだリストへ是非(*´艸`)
      2024/02/10
    • 1Q84O1さん
      読んだリストへ移行しないといけませんね(>ω<)
      図書館の予約状況をみたらまだ数件入ってました_| ̄|○ il||li
      また予約状況を確認し...
      読んだリストへ移行しないといけませんね(>ω<)
      図書館の予約状況をみたらまだ数件入ってました_| ̄|○ il||li
      また予約状況を確認して手に取ってみたいと思います!
      2024/02/10
    • みーわさん
      はーい!ありがとうございます(*´∀`*)
      はーい!ありがとうございます(*´∀`*)
      2024/02/11
  • 背景は昭和の終わりから平成に入り、令和で締めくくる。

    高等学校での青春物語。

    ある日、白い子犬が高校に迷い込む。
    その犬と、三年間過ごす学生が世代交代しつつ思い出を紡いで行く。

    各章、もちろん舞台が同じなので学校の先生や在校生、卒業生が主な登場人物。

    それぞれの章が関連していて最終章「犬がいた季節」に繋がる。

    青春物語なのでちょっと自分には青臭く感じたりしてしまうのかなと思ってたがそんな心配は無用に終わった。

    恋愛はもちろん、家庭事情、金の話や妬み、死について。
    清々しい友情だったり、いきなり援交などの話題があったり。

    なかなか思い通りにはいかないもどかしさやほろ苦さが、自信の学生時代を思い出したりださなかったり。

    ちょうどよいバランス具合にリアルな感じがよかった作品でした。


    久しぶりにこのジャンルを読んで読後感も良かった。☆5にしたいと思います。

  • いや~、いい本でした!
    今年のベスト3に入りそうな予感がするぐらい。

    しみじみ、しみじみ、優しくしみ込んでくるような感じでした。
    この本を読みながら
    私が最初に読んだ伊吹さんの作品『風待ちの人』を思い出していました。
    この本は大人の恋愛小説という感じですが
    激しさよりも凪いだ風が包んでくれるような感じでした。
    『犬がいた季節』では
    18歳で未来への一歩を踏み出すために決断を下す高校3年生たちを通して
    高校3年生って、未来への希望だけでなく、否が応でもどちらかを選ばなければならない季節だったんだ、
    甘酸っぱかったり、苦かったり、そんな気持ちもひっくるめて
    進んでいかなければならない季節だっただとつくづく思いました。
    進んでいく道が前だけではないことも、自分が望む道ではないこともあるけれど
    若さは少しだけ背中を押してくれる。
    そんな気持ちになりました。

    実はこの作品にはモデルとなった高校があります。
    著者の伊吹さんの母校でもある三重県立四日市高校。
    幸四郎と名付けられた犬は
    昭和49年から昭和60年までその高校で暮らしていたそうです。
    小説の中の「コーシロー」が「幸四郎」として
    高校生たちと過ごしていたことを知って驚き、感動が増しました。

    そして、この本の文庫解説をされている書店員さんは
    なんと幸四郎と3年間を過ごされた方でした!
    文庫解説の中で
    「まるでなんだか見ていたようですね、と言われたら、待ってました!
    全世界に書店員多しといえども、リアルに幸四郎と三年間を過ごした人はそんなに多くないはず」
    この文章とともにその”興奮”が伝わってくる勢いを感じました(笑)

    著者伊吹有喜さんのインタビュー動画。

    https://www.youtube.com/watch?v=K8U7ye9dtxc

    この中の伊吹さんの言葉にまたしみじみ、しみじみ。
    「私たちは平成も、世代によっては昭和も
    そして、20世紀の終わりの混乱も
    すべて超えてここまで来ました
    そして、これからも超えていきます。
    この「犬がいた季節」は変わっていく時代の中でも
    変わらないものを描いた作品です。
    それは希望。
    言い換えれば勇気。
    前へ進む勇気の物語です。」
    (双葉社総合チャンネルより引用)

    味わいながらゆっくりゆっくり読むつもりが2日で読了。
    読み終えてしまったときには「終わってしまった…」
    寂しさがひしひし。
    でも、感動がじわじわ、じわじわ。

    『犬がいた季節』は2021年度の本屋大賞第3位。
    えっ⁉ この本が3位⁉ と思ったら
    第1位が町田そのこさんの『52ヘルツのクジラたち』
    第2位が青山美智子さんの『お探し物は図書室まで』
    ちなみに私はどちらも大好きな作品で☆5をつけています。
    この年の本屋大賞ってすごかったんだ、と改めて…

  • コーシローと青春の日々」: 時代を超えた愛と友情の物語

    Audibleで耳にした「コーシローと青春の日々」は、1988年の夏、ある高校に迷い込んだ白い子犬コーシローと、彼を取り巻く人々の青春を描いた物語です。コーシローは、学校生活を通じて生徒たちと共に成長し、昭和から平成、そして令和へと時代が変わる中で、18歳の青春の逡巡や決意を静かに見守り続けます。

    この物語の魅力は、人との出会いと別れをコーシローという犬の視点から描いている点にあります。コーシローは、ただのペットではなく、生徒たちの悲喜こもごもを共有し、彼らの青春時代を一緒に歩む存在として描かれています。

    読者は、さまざまな背景を背負った生徒たちが、それぞれの困難に直面しながらも前向きに進んでいく姿から、勇気と励ましを受けることでしょう。また、コーシローの純粋さと愛くるしさは、青春時代の甘酸っぱい感情を思い起こさせ、心温まる体験を提供します。

    「コーシローと青春の日々」は、人生の特定の瞬間にしか感じられない瑞々しさと切なさを描き出すことに成功しています。この物語を通じて、読者は自らの青春時代を振り返り、過ぎ去った日々の美しさを再認識するでしょう。コーシローとともに過ごした日々は、忘れがたい青春の一ページとして心に残る作品です。

  • この本を読むと、平成の時代、自分は何をしていたのか、どんな曲がヒットしていたのか、様々な出来事を、懐かしく振り返ることができます。

    昭和63年、昭和最後の年、三重県の高校に捨てられた一匹の子犬。コーシローと名付けられ、高校生たちによって、大事に育てられます。卒業していく生徒に引き続いて、次の生徒が、バトンタッチのように面倒を見ていく。桜の咲く時期は、別れの時期。今まで面倒を見ていた人が、いなくなってしまう。コーシローも、徐々にそのことが、わかってきます。とても切ないです。

    ここに出てくる高校生は、みんなパワフルです。受験勉強はもちろん、将来の事を真剣に考える。好きな事に、全力でのめり込む。でも、好きな人の前では、臆病になってしまう。迷いながら、傷つきながらも、前へ力強く進む姿は、こちらも勇気づけられます。

    精一杯生きることを、改めて教えられ、また、あたたかい気持ちになれる一冊です。

    • マメムさん
      初コメです。
      時代ごとに振り返れば、色んな想い出が浮かんでくる作品ですよね^_^
      いつか振り返った時に「コロナ禍」とかあったねぇ〜と良くも悪...
      初コメです。
      時代ごとに振り返れば、色んな想い出が浮かんでくる作品ですよね^_^
      いつか振り返った時に「コロナ禍」とかあったねぇ〜と良くも悪くも想い出になるのでしょうね♪
      2024/04/22
  • こんなに青春を感じる本は久しぶりだった。
    青春って学生の時は自覚してなかったのに、年を重ねるほどもう戻れないからこそ羨ましくて切なくって、素晴らしい時間だったんだなって感じる。
    卒業生を優しく見送り続けるコーシローにあったかい気持ちになるし、将来への不安や家族の問題に向き合って進んでいく登場人物たちの姿にぐっとくるお話しでした。

  • コーシローと名付けた保護犬とまわりの高校生たちとの青春小説

    12年間を過ごした高校で何人もの生徒を迎え、そして見送る。桜の季節がその季節。
    コーシロー視点と高校生たちとの交流を中心に展開していくが、どの章も切なく苦しいと思えるがどこか前向きになれる。

    今回文庫で読んだが単行本には仕掛けがあるようなので見てみよう。

    青春って儚いなぁと感慨にふける私にもそんな時代はありましたかね。もうだいぶ前のことなので記憶は朧げですが



  • 舞台は三重県四日市市。高校に迷い込んだ子犬は「コーシロー」と名付けられ、生徒達と共に日々を過ごす。
    昭和63年から始まるストーリー、世代が自分と近いこともあり、何もかもが懐かしくて身悶えしながら読んだ。18歳、身も心も自由に羽ばたきたいのに、見えない足枷に囚われてしまい、生き方を悩み迷う年頃。淡い恋模様もまた瑞々しくて、1話目を読み終わったときは思わず「くぅ~ッ」と声が漏れてしまった。
    以降、3年毎に紡がれるストーリーは当時の世相も絡ませながら、その時代の18歳の青春を描く。四日市等、三重県の土地の描写もまた印象的。
    そんな彼ら彼女らを見つめるコーシロー視点もまたよくて、犬目線だからこそ気付いてしまう、心模様。気持ちの動きって、匂いでわかってしまうものなんだなぁ…。
    18歳の見えない足枷は時代により様々で、何だか色々と考えさせられ、そのままならなさが時に苦しくなる。挫けたりしながらも、己の歩むべき道を模索する姿に、幸あれと願わずにいられない。祈るような気持ちでページを繰る、胸が熱くなる作品だ。伏線が次々に回収されるのもまた気持ちよく、何度も読み返してしまう。こういう、時代を跨ぐクロニクルものの連作、本当に大好き。桜の季節、この作品を思い出したい。

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著者プロフィール

1969年三重県生まれ。中央大学法学部卒。出版社勤務を経て、2008年「風待ちのひと」(「夏の終わりのトラヴィアータ」改題)でポプラ社小説大賞・特別賞を受賞してデビュー。第二作『四十九日のレシピ』が大きな話題となり、テレビドラマ・映画化。『ミッドナイト・バス』が第27回山本周五郎賞、第151回直木三十五賞候補になる。このほかの作品に『なでし子物語』『Bar追分』『今はちょっと、ついてないだけ』『カンパニー』など。あたたかな眼差しと、映像がありありと浮かぶような描写力で多くのファンを持つ。

「2020年 『文庫 彼方の友へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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