犬がいた季節 (双葉文庫 い 64-01)

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  • 双葉社
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感想 : 59
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575527179

感想・レビュー・書評

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  • 誰にでも18歳の時はあったんだよなぁ
    自分の周りが世界の全てだと思えるような、狭い等身大な生き方をしていた18歳はもういない
    犬が出てくる時点で最高な本

  • 私の18歳の頃は(優香より一つ上です)こんなに苦しくて、こんなに爽やかで、こんなにキラキラしていなかったな…と、彼らに憧れながら読みました。でも、読後、「この子たちにも、そんなに特別な何かが起きているわけじゃない」「私の18歳も、これといって何もなかったけど、あれでよかった、あれがよかったんだ」と思えました。一見、無為に思える、惰性のように流れたあの日々があったから、今の私がいるということ。そして、今もさほどパッとしないにしろ、このぬるま湯の中でたゆとう感じ、この日常が幸せなんだということなのでしょうね。コーシローも、18歳たちも、18歳だった私も、みんな愛しい。

  • 誰でも読みやすく心温まる作品。
    30代も中盤に差し掛かった今、高校時代のことなんてもうあんまり覚えてなかったりするのだけど、友人関係、恋人とのこと、進路のこと、いろんなことで悩んでたなーと思いだした。
    私は小中高大と全てを通して楽しいと言える学生生活ではなかったし、自分には青春なんて縁遠いものだったなと思ってる。
    しょーもないことに時間割いて悩んで、でも今思い返すとそれも含めて「青春」ということなのかな。

    重めのミステリなどを好んで読むため、少し刺激が足りないなと思ったりもしたけど、たまには純粋に心が温かくなるような作品を読むのも良いなと思った。

  • 新聞広告で見つけた作品を図書館で借りて。2021年本屋大賞3位。とある高校で飼われることになる犬を通した高3生5世代の物語。アオハル。おっさんも高校生に戻りたい。優しい登場人物たちに感化され自分も優しい気持ちになれた。自分が高校生の頃はこんなに大人じゃなかったけど、第一章のユウカやコウシロウと同じ世代なのでその後の章も含めて登場する出来事や芸能人や楽曲などがとても懐かしかった。

  • あたたかいお話。
    高校生って大人になってから振り返るとあっという間だけど、いろんな感情だったり経験が詰まっている3年間。そんな高校生たちをコーシローはどういう気持ちで見守っていたんだろう。

  • ひょんなことから学校で飼われることになった捨て犬のコーシーロー。生徒たちと出会いと別れを繰り返していく十二年の連作短編。
    私はパパ活の女の子の話が好きだったな。
    どの主人公も思春期であり、人生の帰路にあるからこそ思い悩むし、その最中も呑気なコーシーローが密かに彼らのキューピット的役割を果たしていてほっこり。
    その後の話はじんわり良かったとなりました。

  • 中盤からダレるかなと思ったけど
    最後盛り上げてのラスト
    歳を重ねれば重ねるほど、あの頃って儚くて美しい

  •  本作は高校で世話をすることになった犬の「コーシロー」が見つめた昭和から平成の12年間+αの物語だ。時代は移り変わっても変わることのない18歳という特別な一瞬を切り抜いた5つの物語と、「コーシロー」の死後20年後、高校創立百周年でそれぞれが大集合する最終話で構成されている。
     共通一次、アイルトン・セナ、阪神・淡路大震災、スピッツ「スカーレット」、ノストラダムスの大予言。どれか一つでも青春時代にドンピシャな人にはきっと刺さるはず。
     個人的には、目次にある犬の足跡がとても可愛いことと、各タイトルの下に◯◯年度卒業生と書かれているのも高ポイント。

  • ある高校で暮らすことになった犬と、その犬とともに青春時代を過ごした高校生たちの物語を描く短編集。

    恋愛、友情、家族など、各短編で描かれる物語は様々だが、どの物語にも必ず「別れ」がある。しかし、「別れ」がただ寂しいものではなく、新しい扉を開くためのものとして描かれており、どの短編も読後感が爽やかである。

    ラストは高校の百周年記念で登場人物のその後が判明するが、各々が充実した人生を過ごしてきたのだろうと想像できる。もちろん、書かれていないだけで辛い時間もたくさんあるには違いないが、母校に集い、もう二度と会わないと思っていた仲間と再会することで、その辛い時間を忘れられる。目立つ人間、目立たない人間。思春期にはとても気になることであるが、どんな人間にも必ず「仲間」がいるのである。

    展開が少し早いと思う短編もあったが、爽やかな読後感のおかげでそれほど気にならなかった。犬、コーシロー視点での匂いの描写は、犬だからこそリアルであり、人間視点であれば少しクサくなったかもしれない。昭和の終わりから令和までの物語であり、コーシローも最後にはいないが、「動物が死ぬ」という事象で涙を流させるような物語ではないことも、個人的には良かった。

    昭和の終わりに青春時代を過ごした人であれば、「ああ、そんなことあったな」とより物語を楽しめるのではないか。

  • 読み応えがありました!
    年度は違っても、どこかで繋がっていて、時の流れを感じながら読み進めることが出来ました!

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著者プロフィール

1969年三重県生まれ。中央大学法学部卒。出版社勤務を経て、2008年「風待ちのひと」(「夏の終わりのトラヴィアータ」改題)でポプラ社小説大賞・特別賞を受賞してデビュー。第二作『四十九日のレシピ』が大きな話題となり、テレビドラマ・映画化。『ミッドナイト・バス』が第27回山本周五郎賞、第151回直木三十五賞候補になる。このほかの作品に『なでし子物語』『Bar追分』『今はちょっと、ついてないだけ』『カンパニー』など。あたたかな眼差しと、映像がありありと浮かぶような描写力で多くのファンを持つ。

「2020年 『文庫 彼方の友へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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