『坊っちゃん』の時代 (双葉文庫)

  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575712292

感想・レビュー・書評

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  • 「『坊っちゃん』の時代」関川夏央、谷口ジロー
    ノンフィクション劇画。茶色。
    第2回手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞。
    さいたま読書会第1回課題図書。

    等身大の夏目漱石を描く、リアリズムに溢れた劇画漫画。
    パッと読んで、漱石の顔の印象が自分の中のイメージと違ったんですね。
    でも、その印象が物語で描かれる漱石像とマッチングして、自分の中で新しいイメージが生まれた。
    良くも悪くも、漫画としてのインパクトに富んでいます。

    それにしても漱石のもとに集まってくる人々の、自由奔放さが現代からしたら羨ましい。
    のどけさの中に垣間見えるハイソサエティというか。。
    小説というアウトプットではない、夏目漱石という『文豪』を描いた佳作です。(3)

  • 明治三十八年。現代人たる我々が想像するより明治は、はるかに多忙であった。漱石夏目金之助、数え年三十九歳。見通せぬ未来を見ようと身もだえていた。

  • 会社の先輩…といっても大分上の方ですが…に借りたもの。

    伝記漫画の少し凝ったやつ。くらいに見てしまうのは、多分絵柄が好きでないからだな。

    内容的には好き。
    絵にされて、文豪偉人がだらりと連れだつ感じ、何でもなさが表れるような。
    ただ絵で群像を絵がこうとするとどうしてもうっとうしくなるのが欠点か。

  • 関川夏央さんとの出会いは、『事件屋家業』が最初ですが、おすすめなのは、『坊ちゃんの時代』シリーズでしょうか。この漫画との出会い(『事件屋家業』)は谷口ジローさんとの必然との出会いになります。この二人のコンビは秀逸。どれもを読んでもいいねえ(池波正太郎風に)。

  • -時代は漱石をつつみ、漱石は時代を貫く-

    日本の青春時代「明治」を、漱石と「坊ちゃん」を中心とした視点で描いた漫画。この一冊で明治時代の東京にトリップした気分になるし、明治の文豪、有名人と、同じ空気にふれたような錯覚に陥る。「坊ちゃん」のサブテキストとしても良い。だまされたと思って一読ください!!! 文庫版がでたので、通勤時にもおすすめです。

    ◆2月のお勧め本の理由
    漱石の誕生日が、1867年2月9日なので2月の一冊にしてみました~!
    漱石という人は、妙に"今っぽい"。自我はあるけど、それを主張するのはなんとなく下品だし、喧嘩は嫌いだし、結果として神経性胃炎になっちゃう・・・。バランスをとるために、はけ口として小説を書き散らしちゃう!って ブログる現代人の姿と重なります。ついでに、小説でやってけるなら大学教授なんて名誉職なんていらな~い! ってあたりも、ほら、ちょっと「草食系」で今っぽいでしょ?!
    「明治の文豪だってこんなに悩んで、でも、頑張ったんだ」と勇気がでるにちがいありません!

  • 夏目漱石のことを「漱石先生」と呼ぶのは
    百鬼園先生の影響なのだが、わたしは百鬼園先生の
    作品のなかで漱石のことを「漱石先生」と呼ぶのを
    みつけたことはない。

    この作品は漱石先生が英国留学から帰国して、自身の
    神経衰弱の治療のために書きはじめた「吾輩は猫である」
    あたりから、坊ちゃんを書くあたりまでの先生の伝記を
    まんがにしている。

    こういう作家の生活を垣間見るたびに、作家になりたいと
    おもうのはわたしだけだろうか。

  • 坊っちゃんの成立過程を、夏目漱石自身とその周辺につどう青年たち(そのひとりがモデルとなったらしい)、そして同時代の文士たちのエピソード。
    文庫本サイズはふきだしの字が小さくて苦労した。

  • 「多少の縁あるひとを見捨てるは恥です。」
    「役立とうと思うは義です。」

    舞台は明治(末期)。登場人物は夏目漱石、森鴎外、石川啄木、幸徳秋水、管野須賀子、二葉亭四迷をはじめとした明治の文学者・思想家たち。それぞれの生きる明治の世相が、時に痛快に、時に物悲しく描かれています。

    登場人物の一言一言が重く深く響く、関川夏央・谷口ジローによる劇画的、というか映画的な超名作です。

  • 山科にあり。
    穂村弘対談集『どうして書くの?』より

  • 題名と表紙だけでは分かりませんが、これは漱石が『坊ちゃん』を書きあげる頃を描いた漫画です。そんなもん物語になるんか、と思う方もいるでしょうが、かなりのドラマがあったんですねー。全然知らなかった。本当に、ミステリー小説のように人物が絡み合っていました。明治は今に比べれば人口は格段に少ないし、ちっぽけな東京の、エリートだけの社会を描いたものだから当たり前なのかも知れませんが。続編があるようなので、是非読みたい。読み終わった後、実家に帰ったところ単行本版を発見してしまいました。残念ながら続編はないようだけれど。解説は高橋源一郎。

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著者プロフィール

1949年、新潟県生まれ。上智大学外国語学部中退。
1985年『海峡を越えたホームラン』で講談社ノンフィクション賞、1998年『「坊ちゃん」の時代』(共著)で手塚治虫文化賞、2001年『二葉亭四迷の明治四十一年』など明治以来の日本人の思想と行動原理を掘り下げた業績により司馬遼太郎賞、2003年『昭和が明るかった頃』で講談社エッセイ賞受賞。『ソウルの練習問題』『「ただの人」の人生』『中年シングル生活』『白樺たちの大正』『おじさんはなぜ時代小説が好きか』『汽車旅放浪記』『家族の昭和』『「解説」する文学』など著書多数。

「2015年 『子規、最後の八年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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