モリのアサガオ 3: 新人刑務官と或る死刑囚の物語 (アクションコミックス)

著者 :
  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575831306

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  • 星山がミニチュアの家を作っている理由に気づき、それをヒントに星山を改心させた直樹。星山の改心をきっかけに仲良くなった先輩刑務官・岡田敦史。被害者の倉持多恵子さんの分まで生きて、死刑までの日まで罪を償い続けると決意した星山。3人の関係は良好だったものの、非常にも星山の死刑の日が決定、岡田は死刑執行に関わることに。この展開が非情すぎて辛かった。新たに登場した青山功の秘密、死刑執行に何度も携わり精神科を病んだ元刑務官の川井順平の存在。直樹は様々な壁にぶつかりながらも、渡瀬満の秘密を暴こうとする。直樹凄いよ……。

  •  死刑囚・星山を改心させようと情熱を傾ける及川。その思いが通じ、自分の罪を自覚した星山は、償いの日々を送り出します。そのとき、予想だにしなかった事態が…

     死刑になるまでの罪を犯すに至るには、他者に対し共感する能力が欠落しているんじゃないか、という及川の考え方はその通りだと思いました。星山が改心した所はちょっとお話的だよなぁ、とは思いましたが。

     ただ、星山を改心させようとする及川を見ていると、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』でイワン・カラマーゾフが「審問」で述べていた話を思い出しました。
     世の中には残酷なことがありふれており、神もへったくれもない、という話の一環で残酷譚を話すイワン。その一つに、幼い頃に羊飼いに拾われ、虐待されながら教育の機会もないまま育った死刑囚の話が出てきます。死刑が決まった途端、彼のもとには宗教家やら慈善家やらが集まり、彼に教育や神の教えを施します。やがて自らの罪を自覚し、深く罪悪感と悔悟の情を抱きながら、死刑執行の日に至ります。宗教家やらは「神の御腕に抱かれて死んでいくが良い」と言い、彼は訳もわからず涙を流しながら死んでいく、という話です。
     本作の及川と星山には必ずしも合致しないのですが、それでも「死刑囚に罪の意識を自覚させる」とはどういうことなのか? ということについても考えさせられました。
     更生の可能性がないから死刑を宣告されたわけですが、皮肉なことに、死刑宣告という贖罪そのものが期待されない状態に置かれたからこそ、はじめて純粋な贖罪の意識が芽生えることもあるわけです。その逆説によって生まれた贖罪の気持ちに意味があるとしたら、「死刑に意味は無い」とする死刑反対派の言うことには疑問を抱かざるをえない、ということになります。が、一方で、更生の可能性が生まれた以上、死刑宣告を支える大きな理由の一つがなくなったわけで、そうなるとこの時点で死刑執行についてもう一度その必要性を検討し直さなければならないことになります。
     だけど、贖罪の気持ちが生まれたら死刑執行を再検討するということを制度化すると、今度は死刑回避の狙いが頭をちらつき、純粋な贖罪の意識形成の契機が失われることにもなりかねないわけで…もう読み進めるとどんどん悩みが大きくなっていきますorz

     そして、遂に渡瀬満に死刑が宣告され、渡瀬が拘置所にやってきます。

  • 図書館の本

    星山との物語。
    悔い改めさせるとはなんと傲慢な!と思ったのですが、若い及川の情熱なのだと納得させつつ読む。
    でもやっぱり、悔い改めさせたのだとは思うけれど。
    渡瀬の憤りの源がまだみえないです。

  • 改心させた囚人の死。
    死刑っていいのか悪いのか分からなくなるようなお話です。でも・・・とも思う。

  • 止まらない……

  • 死刑囚も刑務官も被害者も、迷い、悩み、考える同じ人であるということを前面に出している作品。極刑囚といえど改心する、刑務官も死刑執行には悩まねばという前提にたち、死刑制度に否定的な感じはしないでもないが、死刑制度を真剣に考えた作品であることは間違いない。

  • 死刑囚房に配属された新任刑務官、及川直樹がこの物語の主人公。直樹と同年代で「敵討ち殺人」として世間の注目を浴びた死刑囚、渡瀬満との心の交流を縦軸に、その他死刑囚房の囚人と刑務官たちと主人公との交流を群像ドラマ的に描いている。この3巻では、一家四人を殺害した凶悪犯星山を、直樹が改悛させる事に成功する。だが、罪を悔い遺族への購いを始めようとした矢先に、星山の死刑が執行されるのだ。刑務官の仕事とは?死刑とは?罪と購いとは?

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