- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582836417
感想・レビュー・書評
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クラフトさんの久しぶりな展覧会な上に棚卸しとして文学館での開催なんて、情報見た時からずっとずっと楽しみにしていた。
そんな総まとめ展覧会の図録でもあるけれど、印象としては『どこかに〜』や『らくだこぶ〜』あたりのこれぞ【クラフト・エヴィング商會】的商品目録を久しぶりに手にできた事がとても嬉しい。
なのでもちろんこの一冊だけでも充分「これぞクラフトさん」の世界を楽しめる。加えて、装幀一覧はクラフトさんの多彩さを並べて見ることができ、クラフトさん装幀から醸し出される独特の空気は、色合いだとか間の取り方だとか銅版画だったりとかもそうだけれど、フォントをとりまく空気が一番大きいのかなあなんて改めて思えたり。この本の本文をまじまじと眺めながらもまた改めて。誰だかの「声」にもあったかもしれないけれど、これはと思って「装幀 クラフト・エヴィング商會」だった時のにやりとする感覚は、きっとクラフト愛好者は皆わかるはず。
そんな愛好者たちからの「お客様の声」は、クラフトさんの世界に魅せられて抜け出られなくなった各界からの声。いやはや罪な人達だ。
そんなわけでこれ一冊でクラフトさんの歴史をあらためて感じる事もできるのだけど、やっぱり展覧会に行ってから読むとそれは倍増な訳で。
『ホワイトアルバム』は会場では何枚も並べられて、同じようでいてその風合いもそれぞれ違うアルバムが、それぞれが全く違う経緯を経てそこにある事が面白かった。
薄暗い街灯の下のショーウィンドウに不思議な商品が並べられ、ドアの向こうには実際の商會が確かに存在して、吉田さんが仕事をしていた。ラジオの向こうからは朗読が聞こえ、初めてクラフトさんに出会った時のあの高揚感をまさに実際に体感出来たという希有な空間。制作物の展覧会は何度かあったけれど、それとはまた別の貴重な体験でした。
篤弘さんの本はここ数年結構コンスタントに出されていて、心にゆとりが無いとなかなか読めないので、全て読めている訳ではないけれど、気になるものも溜まってきているのでじわじわ攻めたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
展覧会行けなかったので買いました…最高
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初めてその名前を意識したのは岸本佐知子氏の著書でした。なんだか気になるな~と思っていたらやはり!商品目録もさることながら装丁一覧は圧巻です。絶対見たことある本があるはず!!
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ないものがある店
世田谷美術館で開催されていた展覧会の目録、としての著作。
この不思議でユニーク、奇想天外な店に一度足を踏み入れて見るとまた何度でも足を運びたくなる。
このクラフト・エヴィング商會はないものがあるのだ。
過去においてきてしまった空想のかけら、掴み損ねた思い出、そんなものが小さな塊となって、あるいは姿を変えて、そこにあるのだ。
サラマンドルの尻尾。
アゾットの通行手形。
「手乗り象」の絵はがき。
蚊涙丸。
言葉だけでは想像も塚にもの、想像していたものとは違うもの。
だがどれもこれも創造力を刺激して一つ一つのものからたくさんの物語が生まれでてきそう。
見た目は何が不思議なのかわからないものにも、たくさんの不思議が詰まっている。
このものたちに触れてみたい!でも、触れた瞬間に溶けていってしまいそうな危うさも持っている。
実際に想定も手がけているが、その想定で彩られた本たちが私に語りかけてくる。
この本の中にはたくさんの世界が詰まっているよ、早く開けて、と。
本書もあけてあけてと声がする。
しかし、本を開いている自分を見ている私が更に本を開いている、ということを想起させるので、もはや自分がどこにいて、これが現実世界なのか次第にわからなくなってきてしまうのだ...... -
2014.3.29。世田谷文学館にてトークショーを観覧後、クラフト・エヴィング商會の展覧会[星を賣る店]を堪能。最高の図録です!
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展覧会の図録ということで。
なんともわくわくする展覧会でございました。
行けて本当に良かった!
クラフト・エヴィング商會をますます好きになりました。
本人達が一番楽しんでるようなところがとても素敵。
展示は終わってしまったけれど、これを見て思い出し浸りながら、何度もにやにやできそうです。
タルホがルーツとは。納得。 -
まさかの展覧会図録を登録するというw。
展覧会も見させていただいたのですが、実はそれまで「クラフト・エヴィング商會」を知らず。。知らず知らずにその装幀とかは見ていたようですが。
で、すごく面白かった。展覧会で見たものは、そんなものを商品にしちゃうのかとか、それも商品にできちゃうの!?とか。
すぐにこの図録も購入して、余韻にひたった(^^) -
2014 3/27読了。Amazonで購入。
世田谷文学館でやっている、クラフト・エヴィング商會の展示の・・・目録、っていうことになるのかな?
クラフト・エヴィング商會がこれまでに作っていたいろいろ不思議なものの写真とそのキャプションとか、過去の装丁や著書のまとめが入っている、だからまあカタログなんだけど、でもそれ自体もクラフト・エヴィング商會らしい、ないものとかあるものとかないんだかあるんだかわからないものが詰まった本になっている。
明日行こうと思うんだけど、混んでるかなあ・・・でも行きたいし、混んでてもいいから行こう! -
現実の世界と架空の世界を
自由自在に行ったり来たり。
クラフト・エヴィング商會の展覧会「星を賣る店」@世田谷文学館 がとてもとても良かったです。この本はその展覧会の図録。
物語の中に登場する、架空のはずのモノが、実際に目に見える形で展示されている。例えば「肺に咲く睡蓮の標本」…これボリス・ヴィアンの「うたかたの日々」でクロエの肺に咲いた睡蓮の花とリンクしている。
逆に「重箱屋十兵衛奇譚集」なんかは、書物の表紙だけが展示されているわけだけれど、その架空の本が実際に存在しているかのように思わせてくれる。
クラフト・エヴィング商會が作ったものなのか、どこかから拾ってきたものなのか、それすら境界が曖昧。狐に化かされたような、それでいて良い気分にさせてくれる、不思議でユーモアに溢れた展覧会でした。
クラフト・エヴィング商會の創るものが不思議すぎて、どういるルーツを持つ人たちなんだろう・・・と気になっていたけれど、この本の中の作品で赤瀬川原平さんや稲垣足穂さんからの影響も見て取ることができて、ああなるほどな、と思った。
本と展覧会のタイトル「星を賣る店」はイナガキタルホの小説名。「クラフト・エヴィング」という屋号も、イナガキタルホの文章中に出てくる言葉だったそうな。