- Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591108758
感想・レビュー・書評
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#恋文は書かじ文通山伏の清きたくらみ赤きふくらみ
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表紙の可愛らしさとタイトルに騙されてはいけない。
皆よく見ろ!書いてるのは森見登美彦氏だぞ!!!
もちろん自分はこういうのは大好物です!
いいぞもっとやれ! -
森見節全開で大好き
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森見先生の世界観全開の1冊。
笑い要素が、詰まっていて読んでいて愉しくなった。
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全部通してギャグ。小説でこんなに笑えるとは。ラブリーラブリーこりゃラブリー
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阿呆な学生の、阿呆な恋文。
どうしようもない阿呆な主人公、僕は大好きだ! -
能登半島の実験所に滞在することになった守田くんは、恋文代筆業でもはじめようと、恋文の技術を磨くため友達や先輩、家庭教師のときの教え子に片っ端から手紙を書きまくるんだけど、もう阿呆なやりとりしかしない。恋文どこいった?って思いながら笑ってしまう。
でも実はその裏で守田くんはこっそり自分の思い人への恋文を書き続けていたことがわかる。いや、お前が恋文書くための修行だったんかい。恋文代筆業とか言ってたくせに!とつっこんでしまう。
その恋文も失敗だらけで、読みにくかったり気持ち悪かったりする。大丈夫かな、もう恋文は諦めたほうがいいんじゃ…と心配するが、最後の守田くんが書いた恋文と、恋文の技術についての守田くんの結論は思いがけず素敵だった。
森見作品の好きなところは、阿呆さで笑わせにかかってきても、途中でうっとりするような情景が浮かんでくるところだ。この作品で言うと、赤い風船が飛んでいる様子を車窓から見つめている情景にうっとりする。そのギャップが、登場人物を愛すべき人物にして、物語を少しファンタジックに仕上げているのだと思う。 -
拝啓
守田 一郎 様
貴殿の文通の数々を読ませていただきました。
恋文ということで、錦繍のようなロマンチックなストーリーを想像していたのですが、
通勤電車の中で読みながら、何度笑いをこらえようとしたことでしょう。
いや、抵抗も虚しく、ニタニタ一人で笑っていたであろう私のことを、周りの人はちょっとおかしいアラフォー女子、と冷めた目で見ていたことでしょう。
私にとっては懐かしい京都のことも出てきましたので、風景を思い浮かべながら読んでいました。
貴殿と伊吹夏子さんとの恋が成就することをお祈りいたしております。
また、森見登美彦先生におかれましては、直木賞受賞候補にノミネートされたとのこと、受賞されますことを心よりお祈りいたしております。
今年最後に最高の読み物に出会いました。
ありがとうございました。
どうぞ良い年をお迎えください。
敬具
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能登の研究所から大学院生の守田一郎が、友人・鬼のようなゼミの女先輩・家庭教師をしていた小学生、作家の森見登美彦、妹
そして愛しい女性にあてて書いた手紙。
往復書簡でもなく、ただひたすら主人公が書いた手紙だけで話が進んでいく。
なのに登場人物たちが生き生きと描かれ
さすが、こういう文章書いたら森見登美彦は最高だ!(笑)
主人公の守田一郎に会ってみたくなります -
『恋文の技術』は「手紙への恋文」だ!なんといっても手紙への愛情が満ち溢れているのだ。ここまで愛があふれていると書籍になってしまうんだろう、物語なのだ。
主人公は、大学の研究の一環で京都から能登に「飛ばされ」たわけだが、研究以外に何も楽しみがないため、手紙に没頭するのだ。しかし、従来手紙を書いたりすることが好きな人じゃないと、こんなには書かないでしょ。しかも相手が返信してくれることも大事。その意味では、主人公は人好きだし手紙好きなんだろう。文通の相手は親友であったり、元家庭教師の教え子の小学生であったり、ライバル(?)の女性だったり、たまたまつながりのあった女性たちが敬愛する作家(!)である森見登美彦であったりするのだ。
その内容がまた創意工夫に満ち満ちている。相手からの返信は一切載せず、送りつけたほうの文面を掲載しているのだが、それがまた主人公の意思や方向制を際立たせている。なぜか、どの手紙も上から目線なのだが、内容は相手に対する愛に満ちている。相手とは何か?手紙に対する愛なのか、手紙を送る相手への愛なのか?月並みだが、手紙と手紙を送る相手への愛だ!
森見登美彦はやっぱり大正ロマンの香りがする京都の雰囲気が大好きなんだろう。そのころの意思表示が手紙であり、レトロチックな喫茶店であり、サンダーバードである。(それぞれが古いといっているわけではない)。
そしてやっぱり人間好きなのだ。最初は第三者のような人物登場が、たいてい複数の仲間の仲間だったりすることで、出演者(あえて出演者とする)の性格を多方面から立体的に構成し、ああいう姿もあるがこういう姿もあるという人間の裏表といった二面性や、性格がころころ変わるようなところもうまく表現している。
完全懲悪的でもない、実際の人間関係をファンタジックに表現することで、独特のふんわり、つかみどころのない森見ワールドを創り上げている。何度も宵山を繰り返したり、四畳半を繰り返したりするような超不思議ワールドから、いたずら好きが講じ、結果、やりこめてしまうようなそこまではありえないだろう世界までといろいろあるが、『恋文の技術』は内容は普通世界にかなり近い、けど手紙や人間に対しては異常愛ともいえるはまりようという、ある意味これこそが森見ワールドだ!的な作品なのである。