- Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591112014
感想・レビュー・書評
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平山夢明らしいエグくてグロい世界観を堪能できる作品。エグさ、グロさの描写は、たぶん他の作家じゃ書けないんじゃないかってくらいに強烈なもののオンパレードで、グロ耐性のないひとはめまいがするだろう。だが、グロやエグいのが好きな人にとってはかなり楽しく読めると思う。なんというか、こういう発想が出てくる頭がすごいというか、よくもまあ、こんなこと書けるなあと言う描写ばかりなのだ。
お話自体の出来はどんでん返しとか、大きな衝撃とかはないが、とにかく作品の雰囲気やエグ・グロの描写がすごいので、それだけでも一読の価値有り。
ほんとにこんな世界あるのかというような裏社会のロマン、都市伝説のロマンがつまってる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
グロイのがダメな人はとことんだめらしい・・・と聞いてはいたが、ははは、やはりなかなかのグロさでした。
私は得意でも苦手でもなかったけど、結構いけたww。
いけたどころか、もろにハマった。
もー、いつオオバカナコが殺られちゃうのか、読み始めから読み終わりまできりきり舞いさせられちゃったわよ!
ストーリー的に速攻殺されちゃうことはないだろうと、そんなのは重々承知なんだけど、それでもすんごい緊迫感なの!
ページをめくる手を止められなくなったのは久々でした。
目次もね、ダイナーの〈キャンティーン〉のメニューになってて凝ってるの↓。
食前酒/メルティ・リッチと蜂蜜のスフレ/究極の六倍とベネズエラの濃い闇/デルモニコの掟とスキンの子守唄/ゴーゴンの髪とハムヴィーズ・ロック/ブリキ男の心臓とチンパンジーの小便/歌姫のウォッカ/食後酒
この中の究極の六倍と蜂蜜のスフレ(あ、私は余計なもんは入れなくていいです)に惹かれましたー。
あぁ、ボンベロが作るハンバーガー、食べてみたい~。
(でも殺されたくないからお店にはいけないわ~)
つかボンベロ本人がかっちょいいよ!!
ビジュアルは多分好みじゃない(と思う)けど、実際目の前にこんなの現れたら惚れるっつの!
スキンやキッド、炎眉など、イカれた殺し屋たちにも不思議な愛しさを感じちゃったわ。
(ボンベロの相棒、菊千代も好きなキャラクターだわぁ。「かわいい」とか言ったら喉笛噛み切られそうだけど)
登場人物も文句なし、ストーリーも、独特の世界観も文句なし。
のめりこむようにして読んだ一冊。
人は自分に合った靴を履くべきだと思う。
押しつけられた靴ではなく、自分で探して納得した靴を。
そうすれば驚くほど遠くまで歩くことができる。
カナコが心の中で呟く、このラストの言葉も印象的でした♪ -
あああなんだか悔しいっ!
文字の写植がちょっと好きじゃないなとか、いい意味での安っぽさの中に混じる表現のほつれみたいなものが気になるな~とか感じながらも、だんだん読むスピードに加速がついて1日で一気に読んでしまった。
少し前のダヴィンチの「今月のプラチナ本」になっていたような。
殺し屋だけが集まる会員制のダイナーで、24時間生命の危機に晒されながら働くことになった、無力なウサギのような主人公の悪あがきな日々。
レザボアとかパルプ・フィクションみたいな雰囲気だなあと思って読んでたら
「いくわよ、パンプキン」「OK、ハニーバニー!」などとチンピラカップルの会話がまんまパルプのパロディでしたw
元殺し屋のボンベロがつくる究極のハンバーガーの数々の描写が半端なく美味そう~~~!!で、それがまたろくな食事もとらずに働き続けて目の前で人が殺されて精神的にもへとへと…みたいなタイミングで毎回出てくるため、ふかふかのバンズとたっぷりのチーズと子鹿の背肉やら早生まれの子羊やらを使った柔らかくジューシーなパティの肉汁がじゅわっと口の中に溢れ出す瞬間を想像し、思わず今すぐファーストフード店にかけこんで、大きなハンバーガーにがぶりつきたい衝動に駆られます。こんなの反則だーーー!
各章のタイトルも洒落ていて、<食前酒><メルティ・リッチと蜂蜜のスフレ><究極の6倍とベネズエラの濃い闇><デルモニコの掟とスキンの子守唄><ゴーゴンの髪とハムヴィーズ・ロック><ブリキ男の心臓とチンパンジーの小便><歌姫のウォッカ><食後酒>と、劇中に登場する強烈な品々がコース料理の名前のように並べられています。
そしてラストは誰もが知っている有名フランス映画○○○の展開そのまんまなんですが、オマージュなのかパクリなのか?!
ほかにもあちこちに元ネタがありそうで気になります。してやられたり。 -
最初のページから残酷な暴力描写があり、一瞬怯んでしまった。リアルに想像すると本当にトラウマになってしまいそうな表現満載なので、耐性ない方は読む時気をつけて下さい!
闇サイトでアルバイトに応募したことがキッカケで、殺し屋達が集う食堂でウェイトレスとして働くことになった主人公のオオバカナコ。毎日が...というより、一瞬一瞬が、生きるか死ぬか?の壮絶な環境におかれてしまい、地獄のような経験をするのですが、やられっぱなしではなく、必死で知恵を絞り生き抜こうとするカナコの姿に、たくましさや生への強い欲望を感じ、カナコどうか生き抜いてくれ!!と応援せずにはいられません。
店長のボンベロや、殺し屋の客の過去も徐々に分かっていくのですが、胸が苦しく、重く、壮絶でした。
そしてカナコにも、思い出したくもないような過去が...。
エグいシーンだけではなく、料理の美味しそうな描写もこの小説の魅力で、読んでいて涎が沸いてくるような、お腹が鳴りそうな...温度や匂いまで伝わってくるようでした!
平山夢明さんの小説を読んだのは私はこれが初めてだったのですが、今後も色々と読んでいきたいと思います!
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徹夜で読みたいと思った本は久しぶりだ。
カナコがどう切り抜けるのか、切り抜けられないのか。誰を信じて、誰を信じないのか、一つ判断を間違えれば、そこには死が待っている。
プロの殺し屋たちと渡り合うには、カナコはあまりにも未熟だったけれど、それでも彼女の本能が彼女を生かしたのだろう。彼女は生きる強さ、あるいは「獰猛さ」を身に付けた。
この世界には闇の部分があり、拷問や殺しを愛する者がいて、あるいはそれを生業とする者がいて、それは私たちの日常生活からは見えない部分だ。人間がなぜそんな残酷な行為を行えるのか、それを疑問に思うような人間には、見えてこないものがある。世界は、人間は、一筋縄ではいかない。 -
生き地獄とはまさにこのこと!?
気になっていた作家さんで初めて読んでみた。殺し屋が集まるダイナーで働くことになったオオバカナコ。そこに集まる連中は一癖も二癖もある奴らばかり。出てくるバーガー(表紙カバーまで!)が食欲をそそるが、その分食欲を減退させる描写も多いこと。。。それでもラストはなかなかの締めくくり方。ちょっとレオンを彷彿とさせるかな? -
どんな内容かも知らずに読み始めたら、まぁ、面白いこと。小劇場の芝居かミニシアターの映画を観て、大当たりを引いた感覚。とりあえず明日の昼はマックじゃないハンバーガーを食べよう。
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これぞエンターテインメント。とにかくグロイ。醜悪、猥雑、暴力的であるにも関わらず一気に読めた。登場人物はほぼ全て人でなし。1ページ目の1行目で既に殴られ殺されかけながら登場する主人公カナコは、自分の命を死守するための成り行きで、プロの殺し屋専用の会員制ダイナーでウェイトレスする羽目になる。そこは最低の人間ばかりが集う場所だが、供される料理は彼らを至福へと誘う極上の品ばかり。奈落の食堂で彼女は時に抗い時に受容する。そんな世界の中でたまに織りなされる愛情(男女間だったり親子だったり子弟だったり)。ノワール小説の醍醐味を味合わせてもらった。
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なかなかハードな内容。
出てくる食べ物が美味しそう。
カナコとボンベロが最後は心を通い合わせて良かった。
ボンベロと菊千代が助かっていてカナコのお店に訪ねて来たらいいな。