([お]5-2)喋々喃々 (ポプラ文庫 お 5-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (431ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591124192

感想・レビュー・書評

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  • 四季折々の生活風景、着物や日本の文化をとても丁寧に描いた作品だった。
    そこへ栞の春一郎に対する純愛模様を重ねているんだけど、実はこの関係は不倫。春一郎は既婚者なのだ・・・

    先ず、小川糸さんが不倫を題材とした作品を扱っていることに驚いた。もし小川さん初読みであれば、避けた方が良い作品だと思う。それ位、好みが分かれそうな作品。

    物語全体を通して、栞の日々の丁寧な生活ぶりと、奥ゆかしさすら感じる春一郎への恋心が、一つ一つ言葉を選び、実に丁寧に綴られている。不倫じゃなければ、物語の世界観とマッチするんだけれど、美しい描写に非道徳的な恋愛模様がそぐわない。無理に美しく描こうとしている様な妙な違和感を感じた。

    ラストは正直な所、あやふや過ぎて私の好みではなかった。春一郎の薬指の変化だけで察するなんて、勝手過ぎるだろうと呆れた。しかも会えなくなって1ヶ月・・・お互いの将来を考えて行動するには、期間が短すぎではないか。
    読後は、2人の未熟さにモヤモヤ感が消化不良となり、沈殿してしまった。

    舞台となる東京の下町風情溢れる谷中は、数年前に谷中銀座界隈を散策したことがあったので、街並みを思い出しながら楽しく読み進められた。根岸に現存する老舗酒場の『鍵屋』には、是非夫婦で行ってみようと思う。

  • アンティーク着物屋さんの女主人がヒロインという小説ということで読んでみた。
    最初は、幸田文の「きもの」くらい業の深いキモノワールドの話かと思いきや、きものはそれほど重要ではなく、谷根千エリアで暮らす女性の歳時記アンドグルメ探訪記のようだった。
    そこに、翳のある、ヒロインの家族歴や恋愛歴が重なり、現在進行形の恋人、春一郎さんとの経緯がおりこまれていく。

    しっとりとした四季の風物や、美味しいものをいただきながら進んでゆく人との出会いなどは楽しく読むことができる。
    でも着物と四季ということならもっといくらでも語ることがあるはず。キモノファンとしたら、着物と女性のセンシュアルな関係について、もっと語って欲しかったと物足りなく感じるだろう。

    また、母の不倫による家庭崩壊という家族歴を持つヒロインがなぜ不倫の恋に突入してしまうのか。
    清潔でキリンのような彼の、清潔でセンスの良い身なりは奥さんが整えていることを思わないのか。彼の娘が彼女と同じ家庭崩壊の憂き目に会うことには思いを致さないのか。

    奥さんと娘は、他所に恋人を作り、せっせと通い詰める夫そして父親を敏感に察知しているだろう。それは清潔で誠実な姿ではないはず。

    2人で月を見たり手を繋いで梅を見たりしているのは結構だが、まさに夢の世界で、お花畑であるが、ほのぼの和のライフを送るヒロインに、浮気調査の探偵や、内容証明や慰謝料請求は思いもよらないのであろう。



  • 生レバーだと思って箸を伸ばして口に運んでみたら、それは姿かたちがレバーに良く似たコンニャクでした。というのが読後の感想。『食堂かたつむり』でも感じた「何か、違うんだよなあ」という印象は今回も拭いきれず。どうにも登場人物が単に書き手の駒という存在にしか思えず、全体が平面的にしか感じられないような気がしました。ただその反面、雰囲気はすごく良いです。この作風を物足りない。と感じるか、穏やかで優しい。と受け止めるかで評価が変わる作家さんと言えるのではないでしょうか。シチュエーションとムードに重きを置いた作品。

  • 星いくつにしようかな・・・と迷った本

    控えめでヤマトナデシコでございますって感じの主人公に
    逆に押しつけがましさを感じた
    少女マンガの「恋愛」設定を「不倫」に置き換えたら
    こんなさらっとした話になるんじゃないかなとオモウ

    女性うけしそうな演出とか小物とかだし
    読みやすい文章なので
    高カロリーより低カロリーが好きな人にはおススメかも

    かたつむりのやつも似たような話だったし
    この作家さんはもう読まなくていいかなーと思ったし
    さらに読むのに時間がかかったので
    星2つにケッテイ

  • 七草粥、平仮名書きの「きもの」、細かい所で心地よく読み始めたが、主人公の自己中にだんだんと気持ち良さが失せていく。
    またいい表現があって低空飛行で持ち直し・・・という残念な感じで読了。食堂かたつむりは面白かったのに。
    主人公の栞は、日常の細々したことを丁寧に自分の良いよう大事に暮らしていて、それはとてもよいのだが、人が絡むと、モノと同じくらいに身勝手。自分の目の前にいる相手の、向こう側の顔に思いを至さない。

    不倫というのは嫌いな言葉だが、二股かけられている(かけている)と実は同義だと思う。出会いは避けられるものではないが、その後のやりようは、相手を大事にしたいなら、きちんとするべきなんじゃないかと思う。

  • 物語の中に出てくる食べ物一つ一つがおいしそうで、食べてみたいなと感じた。
    ゆったりと流れるお話のところどころに、心がどきっとする場面が出てきて思ったより早く読むことができた。

  • 凄く穏やかな文章なのに、主軸は不倫っていうのが、ちょっとチグハグな感じがしてしまいました。

  • 小川糸さんが大好きで、
    彼女の小説を読み漁っている時に手に取った本。

    小川さんの書く風景や食事などの描写が
    本当に大好きで、こころが温かくなる。
    この小説はどんなお話なんだろう・・・
    とページを捲っていくと!

    以外にも恋愛ものである。
    そして不倫があの小川糸節で書かれている。

    季節の移り変わりが美しく書かれている。
    でも、不倫してる・・・・
    おいしいご飯が沢山出てくる。
    でも、不倫してる・・・・
    不倫してなければ好きになれたであろう
    主人公とその男性。

    とにかく、浮気や不倫に抵抗のある私は
    でも、不倫。でも、不倫。
    と頭の中で別の声がして
    せっかくのお話に集中できなかった。

    小川糸さんは好き。
    このお話に出てくる季節や食事や風景も好き。
    でも不倫!

    小川糸さんってこういうお話も書くんだ・・・
    という、やはり作家さんの力も見せつけられた。

    こういうお話と思って割り切って
    読む力も必要なんだなと改めて気づく。

  • 静かで丁寧な語りなのだが、栞と春一郎さんの関係性に最後まで共感することができず、もやもやとした読後感。

  • それなりに楽しんだかな

著者プロフィール

作家。デビュー作『食堂かたつむり』が、大ベストセラーとなる。その他に、『喋々喃々』『にじいろガーデン』『サーカスの夜に』『ツバキ文具店』『キラキラ共和国』『ミ・ト・ン』『ライオンのおやつ』『とわの庭』など著書多数。

「2023年 『昨日のパスタ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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