(003)世界の美しさをひとつでも多く見つけたい (ポプラ新書)

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591136324

感想・レビュー・書評

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  • スラム貧困街や被災地など、文明も社会保障もない本能むき出しの人間が生きる場所を取材し、住人たちの声を書き続けるライターの自伝。

    著者の作品を読んだことがある人なら、おそらく持つであろう疑問。なぜ、そんな危険を犯してまで書くのかという点に答えている。

    その答えはズバリ、タイトルにある。貧しく悲惨な場所でも人は生きようとする。未来には絶望しかなく、死んだ方がマシという状況でも、人は妄想で都合の良い「小さな神」を生み出し、それにすがる。そこから生み出される生命力を著者は何よりも美しいと感じる。そして、自分の心を突き動かされたことを人に伝えたいと思う。それが、著者の揺るがない作家精神だ。

  • 静かで温かく、しかし熱い。発信者。

  • 石井光太氏が如何にしてドキュメンタリー作家になったのか、なぜドキュメンタリーを書くのかを綴った本。
    好きな作家さんなのでバックグラウンドを知れたのは良かったのだけど、過去の書籍のプレイバックもあり、興味深く読めた。
    根底にあるのは、人間が極限で見出す「小さな神様」を発見し、それを社会に伝えたい、という願望。救いの根源。小さな物語。宗教的ではなく、神は心の中に存在する。人は優しさを求める。
    バングラデシュのストリートチルドレンのレミジーの話を読んだ時、全身の毛がざわっとなるのを感じました。

  • 小さい神様、がとても印象に残りました。

  • 初めてこの方の作品を読みましたがとても面白いですね!
    引き込まれるようにして一気によんでしまいました。
    伝えたい!という熱い気持ちが伝わってくるようです。
    容赦の無いリアルな描写に、思わず読むのを中断したり、顔をしかめたりもしました。
    ウソみたいな驚きのエピソードがたくさん描かれているのです。
    精神が壊れそうになりながらも、数々の作品を描き続けたというのは本当にすごい。
    過去の作品も遡って読んでみたいと思います。

  • 「本当に必死になってやったことは、人の心に響く。人の心に響けば、たとえどんな困難にぶつかったとしても、それはいつか形になる」(140ページ)

  • 人間がそれでも生きなければならない生き物だから。命を受けた以上、人間はどんな境遇にあっても生存本能で生きていこうとします。しかし絶望だけでは前にすすんではいけない。そのために小さな神様を作り上げる。
     私は人間が時には妄想によって生み出した小さな神様に頼って生きようとする姿に美しさを覚えます

    極限状態で、人間が生きるために生み出すものの象徴としてしいさな神様というキーワードを挙げました

    私は他者を見つめる際に大切なのは、相手がどんな小さな神様を抱いているかを知ることだと思います。その人にとって希望だとか幸せだとか言ったものは、「小さな神様」に集約されます。それを発見することが、その人の価値観に寄り添って物ごとを考えることにつながらう

    小さな神様をみつけるには、
     自分の文脈で勝手な価値観を押し付けるのではなく、相手の文脈で大切にしている物を探す

    ドキュメンタリーの雑誌 月刊現代のあと、g2

  • これまでの作品とは異なり、著者の生い立ちや、現在の活動に至る経緯を語っています。
    石井氏の作品を読んだことのある人は、既読の理解に深みがでると思います。
    初めて読む人は...、きっと惹かれますよ(^^)

  • 読みやすくて、めちゃくちゃおもしろい本でした。
    石井光太さんが好きな方は、絶対に読んだほうがいい一冊。
    著者にとってのルポを書く意味、その使命感が伝わってくる。
    光太さんの現場を見に行くことに懸けた思い、とても共感する。社会の見えにくいところにこそ、ひとの美しさはあると思う。
    自分はまだまだこのひとのように強くはないけれど、いつか、このひとみたいになりたいと思った。少しずつでも、ひとのことを救えたら。

  • 「現場に行くという事は、当事者になるということ。」フィールドワークを得意とする著者の言葉を重く噛みしめました。

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著者プロフィール

1977(昭和52)年、東京生れ。国内外の文化、歴史、医療などをテーマに取材、執筆活動を行っている。ノンフィクション作品に『物乞う仏陀』『神の棄てた裸体』『絶対貧困』『遺体』『浮浪児1945-』『「鬼畜」の家』『43回の殺意』『本当の貧困の話をしよう』『こどもホスピスの奇跡』など多数。また、小説や児童書も手掛けている。

「2022年 『ルポ 自助2020-』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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