おしょりん

著者 :
  • ポプラ社
4.05
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本棚登録 : 233
感想 : 51
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  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591147962

感想・レビュー・書評

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  • 昭和のTVドラマみたいな話なのに、それほど面白くもなく、夢中にもなれないのはなぜだろう、と読み終わってから考えた。特に下手とも思わなかったのだが。
    昭和のTVドラマじゃなくても、こういう筋立ての物語は、人の心をつかみやすいのに。
    まず、夫の弟を密かに思慕する女の苦悩が火事のシーンと重なる始まりは良かった。その後、なぜ彼女が弟を好きになってしまったのかが語られる。ここで、読者は、彼女が主人公であり、彼女を中心に話が進むと思うし、普通の女性読者なら、彼女に同化して読みたくなるだろう。ところがなぜかそうはならず、急に彼女は物語の脇役になり、福井で眼鏡づくりを始める兄弟の話が中心になる。
    それもそこそこ読ませるのだが、弟はまあまあだが、兄があまり魅力的に描かれていないので、読者の思い入れは置いてきぼりになってしまう。弟におとらぬ兄の魅力を読者に伝えることができれば、兄の妻(はじめ主人公だと思われた人物)の決断を読者も納得することができるのである。が、兄が、読者が惚れるほどの魅力がない。大衆小説では、これ、本当に大事。悪役の職人夫婦(こういう人物が昭和のドラマっぽい)も、もっと悪い奴にした方が物語が盛り上がった。
    作者としては福井の眼鏡産業のはじまりとともに、その中心に道ならぬ恋と、それを乗り越える夫婦愛を書こうとしたのだろう。
    こういう作品を読むと、宮尾登美子なんか、本当にうまかったなと改めて思う。こういう話は好きではないが、成功しなかった作品を読むことで、書くことの難しさと、上手い作家の実力を改めて思い知った。

  • めがね枠製造で地元を活性化させるという幸八の考えに、初めは反対していたが経営者として一緒に歩みだす兄の五左衛門。そして、職人として育ち支えていく末吉たち。外部からどんな扱いを受けようとも職人のために踏ん張り、それに報いようと職人たちが努力する、とてもお互いが思いやりあるいい職場だと思う。その末に掴んだ成功だからこそ意味がある。

  • 2017/7/14
    初めて合う作家さんで、どうかと思いきや素晴らしかったです!
    物語は明治 眼鏡で有名な福井県の田舎で新しい産業を興した人達のお話です。
    農業に行き詰まり、再建で眼鏡に目を付けて、ゼロから興していった夫婦と家族の物語

  • なかなか読み始められずにいたが、一旦中に入り込むと一気読み。面白かった。
    福井県にメガネ産業を導入した家族と職人たちの熱い物語。読後感も抜群にいい。
    ところで、238Pに「・・・豊島が店の中に入っていく。」
    とあるけど、話の前後からすると「・・・橋本が・・」でないと変なのではないだろうか?
    その場所に豊島さんいないはずだし。

  • 良かった。
    読み応えがあり、読み切った感がある。

  • 明治38年増永眼鏡創業、兄弟の物語。創業から6年間の話。
    プロジェクトXの中島みゆきさん『地上の星』が頭の中に流れながら読む感じ。
    何もないところから一から作るのは大変だし、勇気がいること。

    増永眼鏡のサイトをみると、高級感いっぱい。

    増永眼鏡株式会社(福井県福井市 眼鏡フレーム製造・販売)
    http://www.masunaga-opt.co.jp/

  • 20160628読了
    #福井県

  • 眼鏡のフレーム工場の物語。

    産業に乏しい寒村で、周囲の反対を説得し、あまたの苦労を一つ一つ真摯な態度で向き合い、解決し発展していった兄弟とその家族。
    感動の1冊です。

  • 曽祖父母や増永一期生の人々が眼鏡枠作りに取り組む中で抱えていた思いや悩みは、今の私達と共通したものであり、とても励まされました。
    --増永眼鏡株式会社 増永宗大郎

    めがねで世界を変えた、兄弟の魂の物語。日本のものづくりの真髄が、ここに。

    明治三十八年、福井県麻生津村。増永五左衛門は、この地に農業以外の産業を根づかせるべく苦闘していた。そんな時、大阪へ出稼ぎに出ていた弟の幸八が、
    当時はほとんど普及していなかっためがねに着目、村でのめがね製造を提案する。村人たちの猛反対の中、輝く地平を求めて、二人は困難な道を歩み始めるのだった--。「トライアウト」「手のひらの音符」などで注目を集める作家・藤岡陽子の新たなる代表作の誕生!

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著者プロフィール

藤岡 陽子(ふじおか ようこ)
1971年、京都市生まれの小説家。同志社大学文学部卒業後、報知新聞社にスポーツ記者としての勤務を経て、タンザニア・ダルエスサラーム大学に留学。帰国後に塾講師や法律事務所勤務をしつつ、大阪文学学校に通い、小説を書き始める。この時期、慈恵看護専門学校を卒業し、看護師資格も取得している。
2006年「結い言」で第40回北日本文学賞選奨を受賞。2009年『いつまでも白い羽根』でデビュー。看護学校を舞台にした代表作、『いつまでも白い羽根』は2018年にテレビドラマ化された。

藤岡陽子の作品

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