おしょりん

著者 :
  • ポプラ社
4.05
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  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591147962

作品紹介・あらすじ

曽祖父母や増永一期生の人々が眼鏡枠作りに取り組む中で抱えていた思いや悩みは、今の私達と共通したものであり、とても励まされました。
                                                         --増永眼鏡株式会社 増永宗大郎

めがねで世界を変えた、兄弟の魂の物語。日本のものづくりの真髄が、ここに。

明治三十八年、福井県麻生津村。増永五左衛門は、この地に農業以外の産業を根づかせるべく苦闘していた。そんな時、大阪へ出稼ぎに出ていた弟の幸八が、
当時はほとんど普及していなかっためがねに着目、村でのめがね製造を提案する。村人たちの猛反対の中、輝く地平を求めて、二人は困難な道を歩み始めるのだった--。「トライアウト」「手のひらの音符」などで注目を集める作家・藤岡陽子の新たなる代表作の誕生!

感想・レビュー・書評

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  • 本の中の世界の空間が広くて清々しい。
    読んでいて、自分のいる場所が大自然へとつながっていて読んでいて気持ちよかった。

    おしょりんというタイトルがピッタリなお話でした。

    まじめに自分に素直に生きていれば大丈夫だよ、きっとうまくいくよって励ましてくれるお話。

  • 今やメガネの一大生産地となった福井、そのきっかけを作った2人の男の物語。農業だけが主な産業で冬になるとおしょりんとなり東京、大阪などが工業化していく中取り残されていた福井にメガネ作りという新たな産業を取り入れようとする増永幸八とその兄五座衞門。幾つもの困難を乗り越えながら東京にも負けない素晴らしいメガネを作っていく過程に心打たれた。
    彼らのおかげで今福井といえばメガネと言えるようになったんだな。
    つねと幸八が実は両思いだったけど、一家でメガネ作りをする覚悟を決めてからは夫と気持ちを揃えるようなる恋模様もよかった、

  • 明治38年、福井県麻生津村。村の庄屋の長男・増永五左衛門は、冬の期間に収入のないこの地に農業以外の産業を根づかせるべく奮闘していました。そんな時、大阪へ出稼ぎに出ていた弟の幸八が帰郷し、村で眼鏡を作らないかと提案してきます。幸八は当時ほとんど普及していなかった眼鏡が、これからの時代に必要とされると考えたのでした。しかし、村人たちから猛反対を受けることになり…。
    なんと日本製の眼鏡は95%が福井県の生産、その始まりとなった兄弟の物語です。

  • 映画が公開され、予告編を見て気になったので読んでみる。いや、いい話やん。こういう成功物語は好きやわ。もちろん、そこに至るまで決して楽な道ではないんやけどね。増永兄弟が素晴らしい。映画も行きます

  • 題材はとても興味深いものだったが、めがねというものを描写する媒体は小説では難しいのではないかと感じた。

    兄弟と、兄嫁の関係性もはっきりと言ってしまえば辛気臭く、夫婦に家族になっていく過程があまり描かれきれていないところが残念ではあった。

    めがね作りと夫婦の物語、どちらもどっちつかずと捉えられかねない。

  • 福井でメガネ産業が盛んなのは先人達の涙ぐましい努力があったからなのだと理解しました。
    淡い恋心も猜疑心も心の中にしまい、それぞれが頑張って前に進んで行くところも良かったです。

  • 福井県の田舎で眼鏡作りを始める兄弟の奮闘記。福井県が眼鏡生産量日本一ってことは知ってたけどその過程が知れて良かった。未知のことに挑戦する兄弟や職人さんの凄さや価値観をアップデートしていく様が大変良い。ものづくりの原点がここにある。

  • 福井といえば眼鏡!
    時代の流れも知ることができる。
    おしょりんとは何か?ぜひ読んでほしい。
    おもしろかった。

  • めがねの生産量日本一の福井。
    なぜ福井が日本一なのか、今まで不思議に思っていたけれど、今作のお陰でその理由が分かった。

    「これから日本に教育が普及し、読者する人口が増える。そうすればめがねはなくてはならぬものになる」
    雪に閉ざされた田舎の農村で、農閑期にできる産業を興して村の生き残りに繋げよう、と奮闘する増永兄弟。見事に兄弟のよみが当たって本当に良かった。
    私も中学生の頃からめがねをかけている。いつもはぼんやりと見ていたものが、めがねをかけるだけでくっきり見えるなんて。初めてめがねを掛けた時の驚きは格別。その人のそれから先の人生も変えてくれるアイテムの一つと言っても過言ではない。

    現代では当たり前のように子供から大人まで掛けているめがねが、どうやって日本に普及したのか分かって面白かった。先人たちの苦労のお陰。
    地域産業ってこうやって生まれるものなんだ、という点も興味深い物語だった。

  • なんとゆーバランス。ニクイです。
    むめ、幸八、五左衛門の距離感がたまらないし、
    脇を固める一人ひとりのストーリーまで繊細にフォローされていて、冷める事なく集中して読めた。
    人間には二通りある。
    あきらめるものとあきらめないもの。
    工場に残っていいのはあきらめないものだけ。
    こんな気持ちで仕事というものに向かえる人生、
    うらやましい。

  • 福井の田舎を舞台に明治当時まだ珍しい「眼鏡」作りに挑む兄弟の奮闘を描いた作品。
    西洋文化の影響をうけ社会が変わりゆくなか、先見の明で兄・五左衛門に眼鏡作りの可能性を説く弟・幸八。
    後戻りの出来ない状況での試行錯誤。
    五左衛門の妻・むめに対する兄弟が抱く複雑な気持ちからも目が離せない。

    『まだ暗闇にある未来を、手を伸ばせば届くことのように語れる男』

    素敵。夢物語で終わらせないところがまた格好いい…。
    読書を通して「先人の歩み」に触れ、その長い道のりを思うと尊敬の念を抱かずにいられない。
    未来に何の保証もない不安。手探りの日々。一蓮托生の重い責任。出会いと別れ。
    それらを全て乗り越えた結末に胸がいっぱいになった。
    五左衛門の想い。幸八の想い。むめの想い。末吉の想い。一人一人の気持ちを思うと胸に込み上げてくるものがある。
    じわりと染みる良作でした。

  • 鯖江がメガネの日本を代表する産地になったのは増永家の高い志があったからなんだね。
    むめが主人公かと思いきや五左衛門だったり幸八が主人公に入れ替わるストーリー。
    こう言った篤志家が地方を活性化させる。

  • 藤岡さんらしい良い話でした。福井県の人は必読の本ですね。初版本でしたが、238頁の暖簾を手で払い上げて店に入ったのは豊島さんではなくて橋本さんでは?

  • 福井の眼鏡の歴史、とても引き込まれた。想像を遥かに超えた苦労があり、今につながっていること。映画も見てみたい。

  • 福井が日本の眼鏡産地ということは知っていましたが、何故そうなったのかの歴史がわかって勉強になりました。というより、藤岡さん、モデルのある小説も書かれるのだと初めて知りました。明治時代の家同士の結婚の中での夫婦の絆の描写が秀逸でした。
    学生の時、福井出身の増永君という友達がいましたが、増永姓は福井に多いのかな?と、懐かしく思いながら読みました。

  • 藤岡陽子さんの本なので、手にとってみたが本の厚さと明治時代の設定についていけるかな、、と一抹の不安を覚えたものの、読み始めると引き込まれました。

  • 愛する村を救いたい!
    明治38年福井県麻生津村の増永五左衛門、幸八
    兄弟の熱い闘いが始まった‼︎

    小学生の頃からメガネ女子のわたし(O_O)
    メガネといえば福井そして鯖江!

    なぜ福井なのか?不思議でした。
    雪深い福井でメガネ作りに私財を投じて工場を作る
    兄・五左衛門、メガネを作る技術、人、販路を大阪からひたすら村の兄に持ち帰る弟・幸八
    ただただ凄いとしか言えません(*_*)

    おしょりんの中を走る幼い頃の2人に胸が熱くなりました(/ _ ; )

    日本の技術って凄いわ。
    わたしのメガネをよく見たらhand made Japan
    国内シェア95%の鯖江…
    もしや鯖江メガネ(o_o)?

    次は増永眼鏡店でメガネ作ろっと\(//∇//)\


  • 何のことだろうと題名を見たときにはわかりませんでした。 おしょりんとは、福井地方の方言で積雪の表面が凍った状態 明治時代、福井で眼鏡を作ることを決断した増永五佐衛門、彼がいかに苦難の末に築き上げた眼鏡産業、この作品を読んで福井でなぜ眼鏡だったのかと理解しました。五佐衛門の妻むめが結婚相手の弟、幸八と間違えた時の場面は特に印象に残っています 心に残る印象深いセリフがたくさんあります。福井の眼鏡が人々に賞賛されるところまでを想像しながら読み終わりました。 すごくドラマ化してほしい作品だと思いました。

  • 2022.2 うーん ちょっとストーリーと描写があっさりしすぎで薄いかな。

  • ものづくりの原点がこの本にある。今でこそ物が溢れているが、その頃は何も無かった。作ろうと思った頃からの苦悩が想像つかない。どれだけ大変だった事だろう。困難に打ち勝って来たから現在があるのだ。

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著者プロフィール

藤岡 陽子(ふじおか ようこ)
1971年、京都市生まれの小説家。同志社大学文学部卒業後、報知新聞社にスポーツ記者としての勤務を経て、タンザニア・ダルエスサラーム大学に留学。帰国後に塾講師や法律事務所勤務をしつつ、大阪文学学校に通い、小説を書き始める。この時期、慈恵看護専門学校を卒業し、看護師資格も取得している。
2006年「結い言」で第40回北日本文学賞選奨を受賞。2009年『いつまでも白い羽根』でデビュー。看護学校を舞台にした代表作、『いつまでも白い羽根』は2018年にテレビドラマ化された。

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