夜が暗いとはかぎらない

著者 :
  • ポプラ社
3.66
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本棚登録 : 2028
感想 : 190
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  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591162743

感想・レビュー・書評

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  • 小説みたいな奇跡や不幸って、生きていても正直そんなに起きない。でも生きていれば、ちょっと気になることとか、モヤっとすること、小さなハッピーは起きたりする。それをこんなに上手に言語化できる人がいたんだと感動した。
    短編になっていて、登場人物が少しずつつながっていく、よくある形式だけど、どの登場人物の気持ちもちょっと分かる気がした。
    「夜が暗いとは限らない」というタイトルは、「夜は当然暗い」という前提が含まれている。毎日前向きに!と無理しなくても良いよと言ってもらえているようで、気持ちが楽になった。

    以下フレーズを抜粋。

    朝、という言葉はたいていは良い意味でつかわれる。たとえば「朝の来ない夜はない」というような。だけど朝が明るいとは限らない。どんなことがあっても、時間がめぐれば朝はかならずやって来てしまう。ままならぬ思いや不安を抱えて迎える朝はたくさんある。生きていれば、いくたびも。

  • 子供、若者、親世代、祖父母世代。暁町の消えゆくマーケットを舞台に、様々な背景をもつ登場人物たちの目に映る世界の物語を通して、生きることの切なさと暖かさを、宝石のような言葉で丁寧に描き出してゆく。

  • p56
    「君を粗末に扱っていい人間はどこにもいない。自分自身にさえそんなこと、許しちゃいけない。一人でいるのは嫌だなんて、つまらない理由でつまらない男の傍にい続けるのはやめてくれ。」

    p264
    「ばあちゃんはもうじいちゃんの一部になっている。ばあちゃんだけではなくて、今までの人生で関わった人ぜんぶが、自分の一部だ。好きな歌を歌っていた歌手、かっこよかった俳優、仕事を教えてくれた上司、通りすがりの人がしてくれた親切。そうゆうもんぜんぶ、自分の中に取り込んで生きとる。」

    関わった人すべてが自分の一部、という言葉は自分を大切にすることに繋がると思った。自分の一部になるのなら、自分の好きな人達と関わろう、居心地が悪い環境は手放そう、と思えた。何かを始めると(バイトや習い事とか)、それをある程度継続していかなければと考えてしまう所があるので無理して居続ける必要ないのだな、と感じた。心を緩ましてくれる暖かい言葉。

  • 星は4.8ぐらい。

    タイトルに惹かれ、また、なんともいえない愛嬌のある表紙のマスコットに心を癒やされる気持ちで読み始めたら、この表紙の「あかつきん」が重要でした。

    登場人物が多い、と書かれている方がいますが、一つ一つ独立した話としても十分で、私にとっては一冊でとても得した気分になれました。
    とはいえ読後、改めて登場人物の相関関係を図にしてしまいましたが。

    最初は子どもを持つ母親の気持ちに深く共感し、その後、父親の立場で書かれたものを読んで少し自分の態度を反省。

    寺地さんの本は2冊目ですが、立場の違う登場人物がとても丁寧に書かれていて、私は好きです。

  • 表紙のキャラは「あかつきん」。あかつきマーケットのゆるキャラ。
    あかつきんとその周りの人々の、何かが変わるような変わらないような連作短編。

  • あかつきマーケットに何らかの関わりがある色々な人が登場する。
    多すぎてちょっと関係がわからなくなった。
    皆、色々抱えて生きている。悪い人が出てこないのは安心できるけどちょっと物足りなかったかな。
    浦上さんの話が私は一番好きだったなあ。
    悪になりきれない恵吾くんも良かった。

  • 通りすがり見えた人も、その人の人生においては主役である、小さなマーケットを取り巻く連作短編集。
    不意に出会う、救いになる言葉の数々に涙が出ることも。

  • 寺地さん、すっきやわ~(笑)。

    あかつきん、を回るいろんな人のお話。
    当たり前のことだけど、人の数ほど、その人の人生がある。
    小説家、ってすごい(語彙力w)職業やねんなー

  • ゆるキャラ「あかつきん」から始まる閉まりゆく商店街に暮らす人々の物語。読み終えてとても心温まるお話でした!

  • たくさんの人の短く続く物語。アカツキマーケットを軸にみんなどこかで繋がっているけど、たまにだれ?な人も。短いからこそサラッと素通りして残らない人もいる。時枝さんとか。
    共通テーマは親子だって、みんな違う。違うことはいけないことじゃない。かな。おばあちゃんの人生すごろくくそくらえ発言は刺さる。

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著者プロフィール

1977年佐賀県生まれ。大阪府在住。2014年『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。他の著書に『わたしの良い子』、『大人は泣かないと思っていた』、『正しい愛と理想の息子』、『夜が暗いとはかぎらない』、『架空の犬と嘘をつく猫』などがある。

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