夜が暗いとはかぎらない

著者 :
  • ポプラ社
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本棚登録 : 2028
感想 : 190
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  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591162743

感想・レビュー・書評

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  • オムニバス。
    あかつきマーケットのあかつきん。

    皆日々葛藤しながら、それぞれ一生懸命に生きているんだな。少しでも前を向いて上を向いて生きていくことが大切なんだなと思える小説。

    一人一人の大切な日々を感じられる。

    何かに躓いて思うようにいかないと感じている人にも読んでほしいな。

  • 小さな日々のこと、刻みながら自分は作られていく❗️自分を作っていく❗️
    生きている間にじゅうぶん大事にした。だから、別れは辛くない。そういう生き方がしたい。

  • 閉店の決まった、あかつきマーケットで働く人や、その街で暮らす人々の物語。一話完結のように思えましたが、登場人物が少しずつ関係しあい、「この街って、一つなんだな」と思いました。 いろいろな悩みのある人が出てきます。でも皆んな、ちょっとの勇気を持って、道を切り開いていく。暖かく、生きる力をもらえる作品でした。

  • *大阪市近郊にある暁町。閉店が決まった「あかつきマーケット」のマスコット・あかつきが突然失踪した。かと思いきや、町のあちこちに出没し、人助けをしているという。いったいなぜ―?さまざまな葛藤を抱えながら今日も頑張る人たちに寄りそう、心にやさしい明かりをともす13の物語*

    あかつきんが主役の物語かと思いきや、その周辺で関わりのある人々を様々な角度から描いたお話でした。
    一つの短編の中に、先ほどまで主役だった人たちが複数人登場する仕掛けなので、今の物語を楽しみつつ、前の物語も同時展開していく楽しみを味わえます。少しずつお話の厚さが増していくような、新鮮な感覚。二度読みすると、更に物語が深まります。
    そして・・・朝が明るいとはかぎらない、って、何だかいい言葉だな。余分な力が抜ける感じ。この方の言葉の組み合わせ方、本当に独特な温かさがあるよなあ・・・

  • 間抜けな表紙がほんわか系を想起させますが、作中に通低音のように登場するつぶれる寸前の商店街のゆるキャラ「あかつきんちゃん」が表紙になっているにすぎません。
    あかつき商店街とあかつきんちゃんを中心に、コンパクトな連作が紡がれていますが、どれもこれも結構暗いです。陰惨な暗さではなくで、ずっとこのままだったら悲しいな、と思わせる程度の暗さです。
    日常皆、少しずつ悲しくて、少しずつ死に向かって歩んでいます。それ自体は暗くもなんとも無い事ですが、並べてみると人間の営みの儚さや、心の通じなさのしくしくとした痛みを自覚したりします。
    悲しいの中にしか存在出来ない強さみたいなものがあると思っているのですが、それを一個一個取り出したような連作です。視点の優しさと確かさがあります。

  • 閉店が決まった「あかつきマーケット」のマスコットキャラクター着ぐるみ「あかつきん」を軸に織りなす、いろんな日常生活の暗くて明るい13の物語。
    印象に残った文章
    ⒈ なんでうちの子だけ
    ⒉ お前、なんで生きとると?
    ⒊ 多くの人が見えない着ぐるみを着て生きているのかもしれない。

  • 初めて寺地はるなさんの本を
    読んだ。
    表現とかちょっとした
    セリフが胸にぐっとくる回数が
    多くて、すごいこの作家さんの
    感じが好きだなと思った。
    この人のほかの小説も読もうと思います。
    もう一回この本も読みたい。

  • 夜が堪らなく怖くて泣いていた。そんな時、人はよくこう言った。「明けない夜はない」。
    朝日が、昼間が怖くてカーテンを塞ぎ震えていた。何をしてもしていなくても、日は沈む。
    『朝が明るいとはかぎらない。』『夜が暗いとはかぎらない。』
    だから私は今日もこの本を抱きしめる。
    同じ人間なんていない。誰もが何かを抱え、朝と夜を繰り返している。貴方と私は違うけれど、どうしてだろう、幸せになって欲しいと願わずにいられない。
    明るくたって泣いても構わないよ。暗くたって無理に笑わなくていいんだよ。
    本当は皆、わかっているはず。
    とめどなく流れ落ち止まらない涙を、決して弱いからだと責めたりしないで。
    死が怖いと想像し、眠れなかったまだ幼き心を忘れないで。色々なことを知り、大きくなるだけで生きている自分を恥じたりしないで。
    貴方は貴方、私は私で良いのだから。
    何処へ行き、何に触れれば幸せになれるのか、それは紛れも無く自分自身だけが知っている。

  • すごく好き。
    出てくる人みんなが生きていた。劇的ななにかがあるわけではない。日常での不満や不安や心残り。それでも生きていく。そんな日々の積み重ね。些細なことやふとしたことで、すこしだけ心を軽くして、でも同じような悩みにまだぶつかって。
    読み終えたら、とりあえずやんなきゃな、というすこしだけ前向きな気持ちになれた。
    多分、少しでいいんじゃないかな、て。

    ただそこにある、いる、だけ。
    覚えていても忘れていても、それは変わらない。知らず知らずに、だれかに溶け込んでいる。思い出さなくても。そういう考え方がとても好き。

  • タイトルと、表紙に惹かれて手に取った一冊。
    とても面白かった!
    脇役と思っている一人一人にもそれぞれの物語がある。
    それぞれの物語の中の様々なシーンで、
    これわかる!私が感じてたモヤモヤや思いを、言葉でこうやって表現できるんだ!同じこと思ってる人がいるかもしれない!と沁みるように読みました。

    小さなお話がいくつも入ってて、気軽に隙間時間に読み見やすいし、お話同士で登場人物が絶妙につながったりしてて、そこも凄く面白かったです

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著者プロフィール

1977年佐賀県生まれ。大阪府在住。2014年『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。他の著書に『わたしの良い子』、『大人は泣かないと思っていた』、『正しい愛と理想の息子』、『夜が暗いとはかぎらない』、『架空の犬と嘘をつく猫』などがある。

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