夜が暗いとはかぎらない

著者 :
  • ポプラ社
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本棚登録 : 2028
感想 : 190
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  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591162743

感想・レビュー・書評

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  • 言葉は魔法だ。

    寺地さんはどうして人の心の細部の細部までを掬い出し、それを言葉にのせて響かせるのが上手いのだろう。

    誰もが悩み苦しみもがきながらも必死に生きている。
    そんな日々の中で時に誰かの言葉に傷ついたり縛り付けられたり。でも言葉によってグンと救われたり背中を押されたり、包んでもらえたり。

    読みながら所々自分に重ね合わせ何度も共感し涙し、肯定され認められた気分にもなった。
    ふわっと優しく自分も包まれたような気分になった。
    ずっと心のどこかで感じていた言葉、欲しかった言葉があふれていた。

    まさに寺地さんの言葉の魔法を感じた。

    • あいさん
      こんにちは(^-^)/

      寺地さんはミナトホテル…のみだなぁ。
      ミナトホテルも悪くなかったけど、心に残るまではなくて。
      これ心に響...
      こんにちは(^-^)/

      寺地さんはミナトホテル…のみだなぁ。
      ミナトホテルも悪くなかったけど、心に残るまではなくて。
      これ心に響きそうだね。
      表紙もいいし、暗い自分に合ってる気がする(*≧艸≦)
      新刊?結構チェックしてるんだけど気がつかなかったなぁ。
      2019/05/31
    • あいさん
      もう図書館にあったわ!予約入れました(*≧∀≦)ゞ
      もう図書館にあったわ!予約入れました(*≧∀≦)ゞ
      2019/05/31
    • くるたんさん
      けいたん♪(●'∇')ハロー♪

      おー、予約完了(⸝⸝⸝˃̵◡˂̵ノノ"☆パチパチパチ

      うん、私もミナトホテル、ハチミツ…大人は泣か...
      けいたん♪(●'∇')ハロー♪

      おー、予約完了(⸝⸝⸝˃̵◡˂̵ノノ"☆パチパチパチ

      うん、私もミナトホテル、ハチミツ…大人は泣かない…を読んできたけどこれが一番かな。

      新刊出るたびにパワーアップしてる気がする♡(って、何様だろ)

      あ、今ごろパフェ、実は私も立ち読みしたことあるよ(*≧∀≦)ゞ
      手にした娘さんの気持ち、すごくわかる(o^^o)
      2019/05/31
  • 登場人物がたくさんなので、全部覚えてないかも…ごめんなさい…

    だけど、最後の方の、同級生が亡くなった自転車屋さんのお孫さんの話は、なんだか切なかったな。

    いろんな人がいろんな生活を送っていて。
    いろんな過去があって、いろんな出会いがあって別れもあって。

    それでも、明るい朝と暗い夜が繰り返してる。
    良いことがあっても悪いことがあっても、それは死ぬまで繰り返されて行く。

    ってことよね。

  • 『一色で塗りつぶせるような単純な人間なんかいない。澄んだ色、濁った色、やさしい色、きっぱりとした色。あらゆる色が、ひとりの人間のなかに存在しているのだ。』

    フォローしている方の書評を見て、読みました。

    あかつきマーケットと呼ばれる商店街のゆるキャラ、「あかつきん」が急にいなくなるところから物語は始まります。

    あかつきんは失踪した後も、再び現れては、人助けをしてまた消える…。そんなことを繰り返しているうちに、「あかつきんのしっぽをひっぱったら幸せになれる」という噂も流れて。

    あかつきんが主人公でもなくて、いや、この本に出てくる誰もが、主人公であり脇役なのです。
    そんな、全員が平等なこの物語を読んでいると、「世の中」って感じがして、ホッとします。

    誰もが悩んでいるし、悩んでいる自分が嫌いだし、でも、そんな自分を、側から見て羨ましく思っている人もいて。そうして、人間って繋がっていくんだと思います。

    物語の途中に、人に色が見えるという、女の子が登場します。

    子供のうちに、人を見る目が優れていること。ものすごく羨ましく思いました。

    が、冒頭の引用のように、人は単純なんかじゃないんですよね。いろんな色が混じり合ってできていて、見ている僕らは、そんな外側の色だけを見つめて、無意識のうちに色分けしている…。

    だから大切なのは、その人の違う色を探すことだと思います。目に見えるものばかりなんかじゃなくて。

    もしかしたら、色でなくても、あらゆるものに何らかの意味合いを見ようとしているのかもしれません。

    今日とか、明日とかは、特に意味なんかなくて、でも、やってくる明日に意味づけして、明日が不安になる。
    不安になるなら、いっそ考えなければいい。正解なんてないのですから。そうすると心はフッと軽くなると思います。

  • 『夜が暗いとはかぎらない』うーん、深い!『明けない夜はない』とか『やまない雨はない』とかは言いますが、『夜が暗いとはかぎらない』ですよ。

    この物語を読むとそのタイトルの意味することがよくわかります。ここでその解説を述べるのはちょっと違うと思うので、そこはスルーしておきますが。

    さて、私ごとですが、かなり久しぶりに小説を読みました。久しぶりに読むと、この連作短編集にちょっとビックリしたりします。この人がこうで、えっ!?この人はなんの人だっけ?っていう風に頭がこんがらがったりします。
    でも、新しい発見がありました。連作短編集って、今までは当たり前のように読んでましたが、これって、物語のリレーみたいですね。各章でそれぞれ違う登場人物がいて、それぞれの登場人物がその章では主役になって頑張っています。そして、この寺地さんが描く登場人物はみんなが魅力的で、その各章が終わるたびに凄く寂しい気持ちになります。
    いやぁ、本当にどの章も面白かったし、優しかった。寺地さんが描く物語で共通しているのは、優しさでしょうか。嫌な奴だなと思っていた人も、他の章でその人のいい部分が見えたりします。

    どの章も面白かったんですが、最後は誰が主役になるのかなぁ?と思って読んでいくと、やっぱりこの人ですよね!そして、各章で活躍した人たちもみんな出てきて凄い贅沢な最終章。

    『夜が暗いとはかぎらない』。どの章にもその意味が隠されていると思います。久しぶりに読んだ本がこれで良かった。

  • 悪気のない言葉に傷つき、何気ない言葉に優しさを感じて泣きそうになる。
    そう思えた13の物語。

    朝が明るいとは限らない。ままならぬ思いや不安を抱えて迎える朝はたくさんある。
    それでも私たちは…。

    なんとたくさんの登場人物、なんとたくさんの不安や悩み。
    どんな人だって心のバランスを崩す時がある。

    色んな大人がいる、色んな子供がいる、色んな赤ちゃんがいる、色んな好きもある。
    当たり前の事なのにホッとする。

    わが子が、夫が、何を考えているかわからない。それはきっとみんな同じ。
    自分じゃない人の考えていること全てはわからない。でも、でも、そばにいることはできる。
    そっと見守ってあげたり、美味しいものを食べたり、そうやって生きていければいいんじゃないのかな。

    来人の過去が気になる。

    • くるたんさん
      けいたん♪
      もう読了とはうれしい♡

      登場人物多くて…って声もあったけど、私は何気に繋がりを見つけるのが楽しかった♪

      そばにいることはでき...
      けいたん♪
      もう読了とはうれしい♡

      登場人物多くて…って声もあったけど、私は何気に繋がりを見つけるのが楽しかった♪

      そばにいることはできる…そう!私もここに思いっきり反応したよ、一番ジンときたかな♡
      旦那さまに寄り添う奥様も、子育てに一生懸命なママも、声をかけるお姑さんも良かったなぁ…♡
      あと、自転車屋のおじいちゃんも良い言葉言ってた気がする〜(*´ェ`*)
      2019/06/10
    • あいさん
      くるたん♪

      くるたんのおかげで早く予約できたのがよかったよ、ありがとう(⁎˃ᴗ˂⁎)
      登場人物の書き分けができてるから、多くてもそれ...
      くるたん♪

      くるたんのおかげで早く予約できたのがよかったよ、ありがとう(⁎˃ᴗ˂⁎)
      登場人物の書き分けができてるから、多くてもそれが楽しかったよね。
      うん、後から出てきたりとか、その後が知れたりよかった。
      旦那さんが出向の人大変だよね。
      どうしてあげるのがいちばんいいのか…
      おじいちゃん、大好き!
      フレーズに残してあるのでおじいちゃんの言葉一緒だったら嬉しいな♪
      2019/06/10
  • 寺地はるなという作家が好きだな。
    デビュー作であるビオレタを初めて読んだときではなく、今、強くそう思う。

    私は本を読むのが好きだ。それはもういつからとかどうしてとか理由とかはじまりを覚えていないくらい本は私の生活の一部だった。
    (今は活字の日に生を受けたからだと後づけでかっこいい理由をつけている)

    今の私は本を読むことの何に楽しさを見出しているのだろうと考えてみて、寺地作品を読んでいてようやくすっきりする答えを見つけられたように思う。
    私は物語に気味の悪い美しさとか理想は求めていなくて、安心したいのだろう。(自分の捻くれた性根からして間違いない。)
    奇跡も美しさも垣間見られない退屈で窮屈な現実世界と続いているところで物語を読みたい。
    こんな毎日を生きてるのは自分だけでないと安心したい。
    余裕がなくなって簡単に誰かを傷つけてしまったり、周りが見えなくなったり、誰かの理想を押し付けられて息苦しくなったり、家族とうまく話せなくなったり、『夜が暗いとはかぎらない』のそこかしらに「私」がいた。
    そして、ぐさりと胸を抉られるような痛みと同じくらい安堵も覚える。

    そうか、私だけではないのだな、と。


    作中に、多くのお気に入りの表現を見つけたのでいくつかご紹介したい。

    “だけど、朝が明るいとは限らない。どんなことがあっても、時間がめぐれば朝は必ずやってきてしまう。”

    これすごいなぁ。朝がやってきてしまう。確かに私にもそんな後ろ向きな気持ちで迎える朝はある。(たとえば毎週月曜日とか)
    それを小説の中で言ってしまえるその潔さがかっこいい。そうだ、朝がいいものだなんて、誰が決めたの?


    “その人の好きは、その人だけのものです。わたしたちの『好き』はわたしたちのものです。世間にすでに存在するパターンに当てはまらないからって、ほんとうに人を好きになったことがないなんて決めつけられたくない。”


    もうここ太字でマーカー引いて、「はい、ここテストでるからね!」と声高に言いたい。昨今の私たちはどうにもいろんな気持ちを既存のパターンに嵌めたがる。そんなものくそくらえだ!と、首がもげるくらい頷いてしまった。


    “ひとりでも楽しそう、というのが柳田を好きになった理由だ、と言ったら、弟は納得してくれるだろうか。もし明日私が姿を消しても、柳田は平気で私と知り合う前の日常に戻っていくのだろうという気がするから安心してつきあえる。君なしじゃ生きていけない、などと言い出す人はあぶなっかしくてこわい”

    これには本当にノックアウトされた。まさに自分がそうだからだ。わかる。わかるよ、瑛子!弟くんが納得してくれなくても私はわかる。瑛子ちゃんとビール飲みたいよ。そんな危うい男など好きになれないよな!!(うるさい)


    挙げたらキリがないほどに私の琴線に触れる表現に溢れている。どのエピソードにも自分が見え隠れしていて、時に読むのが辛くなる。それもまた、本を読む楽しみではないか。しみじみ。

    『夜が暗いとは限らない』に奇跡は起こらない。誰の目にも見えるような大きな変化も、全米を泣かすほどの感動もない。しかしながら、多くではなく少数の人間のハートを深く強く揺さぶる。

    そしてそういう物語は必ず誰かの本棚の10年選手になるだろう。
    BOOKOFFの棚ではなく、私のようなごく一部の人間の本棚の大事な場所にずっとずっと居座ってくれるのだ。
    寺地はるなという作家はきっとそういう作品をずっと書き続けてくれる。そう期待してしまう。


    最後は作中のとあるキャラの台詞でしめようかな。

    『心のバランスが崩れたことがない人なんているの?』

    そんな人なんていないから。誰もがそうだから。
    だから、『私も』、今日を、明日を、生きていく。

  • 本当に、とてもいいお話でした。15個の短編から成っているのですが、それぞれの人達のつながりが、絶妙でした。

    老若男女、みんなそれぞれ、日常で、悩んだり、怒ったり、笑ったり、読んでいる私も、毎日そんな感情を行ったり来たりしているので、感情移入しやすく、本の登場人物と一緒に、怒ったり、笑ったりしながら読みました。

    みんな悩みつつ、それでも前に進んで行かなくてはならない。それを再認識できる本です。とてもおすすめです。

  • しみじみ、ほんわか、ほっこり、そんな物語。

  • -ままならぬ思いや不安を抱えて迎える朝はたくさんある。生きていれば、いくたびも-
    【生まれてきた、それだけでもう君はそう思われるに値する存在なんだから】自分を粗末に扱うことを許してはいけない。と葉山さんに教えてくれた時枝さん。【自分にとってどういうのが素晴らしい人生か、その判断を他人に委ねたらあかんねん】そうみれちゃんに伝えてくれた、千ちゃん。【誰かの涙を拭いてあげられる子は、きっとだいじょうぶ。生きていけます】と亜子さんの背中をそっと押してくれたお義母さん。【生きてるあいだに、じゅうぶん大事にした】だから別れはつらくないと、和樹に教えてくれたじいちゃん。【大切なものはたったひとつあればいい】そう柳田に思いを放つ瑛子ちゃん。そして、【父を喪ってからの年月。俺を産んでからの年月。母の今日までの日々に、花を贈ろうと思った】柊、

    【生きているってたぶん、あわただしいことなのだ。】
    でも、そのあわただしさが『生きる』ってことなんだな。きっとそれがしあわせってことなんだ。もう心をがっしり掴まれたな、寺地さん。あー、最高だ。読書で明日からも続くわたしへ、パワーをもらった。

  • 「あかつきマーケット」という市場が閉店することをきっかけに、マスコットキャラのあかつきんが町の各所に現れるようになる。そんな町で暮らす人々、その家族等の老若男女の悩みや変化を描いた短編が15篇ほど収録されている。

    タイトルがとても素敵だと思った。第一章のタイトルが「朝が明るいとはかぎらない」でプロローグでもそれに触れており、個人にとって明るくない朝もあるし暗くない夜もあるよ、という優しいメッセージを感じた。
    各短編からも様々な感情や人生を肯定してくれるような優しさを感じられ、好みの短編もたくさんあった。
    しかし各短編が20ページ程で、もう少し読みたかったという気持ちに度々なった。
    物語の中で登場人物の繋がりが多数あり、人物名が前に出ていたかを確認したくなることも多かった。それ自体は元々好きなのだけれど、今作では素敵な一つ一つの短い物語に入り込みきれないまま終わってしまうもどかしさがあったように思う。

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著者プロフィール

1977年佐賀県生まれ。大阪府在住。2014年『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。他の著書に『わたしの良い子』、『大人は泣かないと思っていた』、『正しい愛と理想の息子』、『夜が暗いとはかぎらない』、『架空の犬と嘘をつく猫』などがある。

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