- Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591169001
作品紹介・あらすじ
独身の阿紗は、ひょんなことから、隣に住む謎の老婆・八重の部屋の片づけを手伝うことになる。
過去の経験から得た掃除テクニックを八重に教えながら片づけを進める中で、明らかになる八重の過去。そして阿紗も、母子家庭で荒れ果てた部屋に閉じ込められていた幼少期の記憶が蘇ってきてーー。
人生で背負いこんだ荷物と厄介ごと。一つ一つ片をつける中で、八重と阿紗が選んだ道とは。切なくも心温まる感動傑作。
感想・レビュー・書評
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阿紗は思わぬ出会いから、
隣に住む老婆・八重の部屋の片づけをすることになるのだが…
私の中で「片付け」といってまず頭に浮かぶのは”こんまりさん”。
その他にも「片付け」を仕事として
マスコミで取り上げられる方も多数いらっしゃる。
その方々に共通して持つ私のイメージは
”明るい”・”強い”・”行動的”
などなど、肯定的なイメージだ。
書籍紹介を読んでいると
阿紗にもまたそんなイメージを抱いてしまいそうだが
彼女は全く違う。
この本を読み始めて最初に感じたのは
暗い…、重い…。
ちょっと変わった人と思われている老婆・八重の汚れた部屋。
それを片づける阿紗の雰囲気がまた暗くて。
どちらも望んで始めたわけではない片付けだから
当初、片づけることで得られるはずのスッキリ感が
読んでいる私には感じられず…
なんで片づけるんだ…、と思ってしまう始末。
阿紗と八重の関係が深くなっていき
お互いが心を許し始めたころから
仕方なく始めた片付けは
意味のあることに変わっていった。
八重にとっての片づけは終活でもあったが…
終活のための片づけって
昨今、やたら耳にするけれど…
「終活ってのはさ、身辺整理じゃないんだよ。
身の回りのもんをどんどん仕分けして、
この人生で得たいちばんの収穫をみつけることだ」
(『片をつける』より引用)
終活=片付け(断捨離)のイメージが先行して
ちょっと否定的な気持ちになっていた私だが
”人生の収穫をみつけること”と考えると
捨てたもんじゃないなぁ。
八重の言葉が素直に沁みた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
40歳になろうとする阿紗は、隣に住む老婆・八重が鍵をなくした…と困っていたことがきっかけで
たまたま彼女の部屋のゴミの山を目にしてから片づけを手伝うことに。
ゴミの山以上に気になる彼女のこと。
やがて明らかになる八重の過去。
そして自らの記憶が蘇る。
荒れた部屋からは、その人の生きざまが反映されているかのようで…
たんに片づけというよりも人生の方をつける。
つまりは、人の生き方。
ゴミがあるかどうかというよりも今の生き方に満足していますか?と問いかけられているよう。
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【書評】読むと部屋を片付けたくなる? 終活とは人生の収穫を見つけること ~『片をつける』|教養|婦人公論.jp
https://fujinkoron.jp/articles/amp/4028?display=full
片をつける|一般書|小説・文芸|本を探す|ポプラ社
https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8008323.html -
とんとん拍子に物語は進んでいく。
収納整理を分かりやすく描いたお話。
読みやすかった。 -
他の方も書いているとおり、読みやすくいっきに読了し、主人公の阿紗の心境に同じものを感じた。
隣人の八重さんは最初苦手なタイプだなーと思っていたが、こんな関係いいなーに変わっていった。
最後の手紙は八重さんの素直な本心に触れる場面。とても良かった!
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期せずして、年末に読むのにピッタリの内容。
不要なものを捨てることは、必要なものの価値を再発見すること。
主人公のキャラクターが今ひとつ不鮮明だったことと、脇役で出てきた人たちとの絡みがあっさりし過ぎて肩透かしなところが残念。
八重さんの過去やエピソード、もっと深掘りして欲しかった! -
普段ほとんど小説は読まないけれど。
「片づけ」繋がりで読んでみた。
片をつけるという言葉、最近は聞かないけれど、どんな風に繋がってゆくのかと期待しつつ。
すんなりストーリーに入って読み進める感じ。
場面・場面の光景が見える様だった。
最後は涙がこぼれた。
読んでよかったと思います。 -
八重さんの部屋をかたずけながらも主人公の過去といまだに残る過去の傷が少しずつ癒えていきます。最後の八重さんの手紙には思わず泣きそうになりました。二人が出逢い、それぞれの人生に片をつけられた素敵な作品でした。
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隣人の謎の老婆の家を片付ける。