愛すべき娘たち (Jets comics)

  • 白泉社
4.02
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784592132950

感想・レビュー・書評

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  • 女はいつまでたっても女なんだな、と思いました。

    特に最期の話は胸に刺さりました。
    復讐心やコンプレックスって母親になっても消えない。
    娘への八つ当たり、虐待とまではいかないかもしれないけれど近いような…。

    それにこのおばあちゃんは自分の母親にもダブった気がします。
    たしかに私はいいとこなしだけれど怒ったり叱った分、褒めてくれる人ではありません。

    よしながふみさんってそういう複雑な人間を描くのがうまいですね。

  • よしながふみはほんとうに偉大だ。泣きじゃくっちゃうな。

  • 母と娘の確執。当事者にしかわからない、母側からの視点と娘の苦悩がとても共感できて、母とのことを向き合うのにとても役に立った。たとえば上目遣いのシーンとか、内面を表した表情の描き方が本当に上手だなあと思う。母の母という何世代にも渡っての誤解や理解、苦悩が解けるきっかけになった。

  • 母娘を中心として、女を描いたよしながふみさんの代表作。第1〜最終(5)話を収録、ただし3話は前編後編なので話数は6つ。
    ずっと前から表紙だけは知っていたが、主催の漫画オフ会で紹介されたことをきっかけに購読。″母の存在は子どもの絶対的守護者″としてよく描かれるが、ただの人間で我儘なところもあることを表現したことに納得。当初この作品をどう受け止めるか難しく感じたが、自身の母と重ねてみるとそのことを容易に理解できた。女が皆、良妻賢母だなんてことあり得ないし、むしろそんな存在は数少ないものだと思う。

  • いくら客観的に見て綺麗であっても、自分で綺麗と思っていなければ、綺麗ではない。逆もまたしかり。
    一話めと最終わで母親はいつまでもたっても「女」であるし、親の言うことは子供にとって絶対というセリフが的を得ているな。
    三話めの爽子の好い人が必ずしも好い恋人になれるわけではないのね。それに莢子が気づいだけでも幸せになんだろうなぁ。

    仕事、恋愛、親子関係についてこの本は腑におちる答えを描いています。
    女性は必読です。

  • 私の人生の一冊と言っても過言ではない作品です。"フツーの人間"を包む深い謎と魅力を再確認させられました。よしなが先生はほんとうにすごい!

  • 30歳くらいの娘(まあ一応、主人公か)がいて、市役所に勤めている。独身で実家暮らし。

    50歳くらいの母が居て、大病をしたが無事に退院してきた。

    父(というか夫)は、10年以上前に死別してしまっていて、母娘のふたり暮らし。

    50歳くらいの母が、再婚する。
    再婚相手は、20代の若いイケメンの、まだそんなに売れていない俳優さんだった...。

    ということから話は動き出します。

    #

    母娘モノ、ですね。

    読書会の課題図書。
    「愛すべき娘たち」よしながふみさん。
    2002年から2003年くらいにかけて書かれた、連作短編みたいな漫画です。

    #

    なんのかんの憎まれ口をききあいながらも、とってもお母さんに依存していた娘は、母の再婚が幸せであることと向き合って、親離れして家を出る。
    良い恋人さんがいて、結婚を前提の同棲を始める。

    ...一種、小津安二郎、「秋日和」の現代版、とも言えます。

    #

    という1篇を皮切りに、主人公の友だちや知人、などが次々に1篇の主人公となって短編が続きます。
    ロンド(輪舞)形式。備忘録。

    ●大学講師の男性。教え子女子大生に迫られ、H関係に。だが、相手は「被DV体質」とでも言うべき面倒な娘で…。

    ●バリバリ共産主義学者の父に薫陶を受けて育った30代の働く女性。
    結婚しようと色々試みるが、「誰とも分け隔てなくする」という打ち込まれた意識と矛盾を来たして混乱。結局、良い相手がいたのに、「愛せない」と修道院に入る。

    ●中学生の頃に、それぞれに社会の中で働く女性としてがんばろう、みたいな誓いをしていた三人娘。
    だが、そのうち一人は、恐らくは家庭の事情で徐々に転落していく。三人も疎遠になっていく。
    30歳を過ぎて再会。

    ●最終話。主人公と母親と、母親の母親つまり、祖母。
    母娘三代の関係。母は、「自分の母から受けた仕打ちを自分の娘にしたくない」一心で暮らしてきた。
    だが、祖母には祖母なりの事情と気持ちがあって...という。

    #

    やはり面白かったのは、読ませたのは、冒頭の1篇と、ラストの1篇。
    一見平和な母娘、親子関係。
    だけれども、互いに依存度が、重要度が高い関係であるがゆえに、
    誤解も歪みもあるし、なにより、お互いに「自分」であることがまず、第一に浮かび上がってしまうので、「母」という役割に収まらない悪意やイライラや、自分のコンプレックスなどがある。
    それでも、「娘」にとって、「母」が、「不完全なひとりの女性なんだ」と腑に落ちるまでには、長い長い旅路があるんですねえ。



    「自分」にとって「自分」は主人公で、「他人」は脇役です。
    だけど、「他人」にとって「自分」は脇役。その「他人」にとってはやっぱりその人が主人公。
    それは、家族であっても変わりません。
    そして、家族は家族であるのだから、何でも許される訳でも無く、はじめから「愛情」というバリアが守ってくれるわけでもなく。
    家族の中だって悪意や競争は、当然のようにあるし、起こり得る。

    それでもとにかく、「家族」というのは「他人」と「自分」の隙間のような、皮膚の下に食らいつくような不思議な「肌」なんですよねえ。

    #

    絵柄、ちょっとしたやりとり。
    この漫画家さんは、どうやらもっと、ベタベタなエンターテイメントも書けそうだし。
    いっぽうで、Hな内容のものとか、もっと変化球でアンダーグラウンドなものも書けてしまう筆力があるんだろうなあ、と思いました。

    よしながふみさん、という漫画家さん、全く知らなかったので、発見の愉しみがありました。

  • また懲りずに母娘の恩讐モノ読んでるんかい!と思われそうな感じのタイトルですが、そしてそのような言葉でまとめることもできる内容ではありましたが、そういう系とくくってしまうにはもったいない、とてもカッコいい女性たちの話で、後味スッキリの読書でした。

    1話、3歳年下の義父ができる話
    2話、悪い男が好きな女の話
    3~4話、聖女な友人の話
    5話、かつての同級生の話
    6話、私と母と母の母の話

    衝撃的だったのは3~4話、好きだったのは5、6話。特に5話では、まだ電子メールというものがない頃の話のようでしたが、手紙、ってのもいいもんだなあと思いました。

  • かなり昔のよしながふみの漫画。家を掃除していたら奥から出てきた。懐かしい。母娘の関係が年をとって変わっていく様子を生々しく描いている。

  • 「恋をするって人を分け隔てるという事じゃない」

    この莢子のエピソードでのセリフが心に突き刺さりました。

    女性特有の繊細な心理描写がうまい。よしながふみだから、なんとなく男性を扱った漫画が多いのかと勝手に思ってました(大奥やきのう何食べた?など)。

    何気なく手に取って買ってみて、大正解でした。

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著者プロフィール

東京都生まれ。代表作の『西洋骨董洋菓子店』は2002年、第26回(平成14年度)講談社漫画賞少女部門受賞。2006年、第5回(2005年度)センス・オブ・ジェンダー賞特別賞、第10回(平成18年度)文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。ほかの作品に、『大奥』『フラワー・オブ・ライフ』『愛がなくても喰ってゆけます』『愛すべき娘たち』『こどもの体温』などがある。


「2022年 『きのう何食べた?(20)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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