- Amazon.co.jp ・マンガ (201ページ)
- / ISBN・EAN: 9784592141907
作品紹介・あらすじ
昭和19年11月24日、本部玉砕──。米軍が上陸を開始して、2か月半後、ペリリュー島における組織的な戦闘は終わりを告げる。しかし、田丸ら生き残った日本兵の多くは、その事実を知る由もなく、水と食糧を求め戦場を彷徨っていた。限界を超えた「空腹」は、兵士を動くことすら面倒にさせ、思考力を容赦なく奪う。そんな中、幕を開ける米軍による「大掃討戦」──。極度の空腹と疲労に苛まれ、意識が朦朧した状態で、田丸が見た日米どちらの兵でもない人間とは──!? 生と死が限りなく近くにある戦場で、日常に抗い生きた若者の「生命」の記録。第46回日本漫画家協会賞優秀賞受賞作!!
2018年2月刊。
感想・レビュー・書評
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田丸(物語の語り手)と吉敷の二人は米軍に追い立てられ絶体絶命の危機に陥るも、なぜか島に残っていた現地島民の子ども二人に救われる。
こんな「マンガみたいな奇跡」は、現実に起こることはほとんどあり得ないでしょうが、この救いのない戦場で人のやさしさに触れると、思わずほっとします。
そして、ついに年が明け、昭和二十年が始まります。
まだまだ続刊があるようですし、連載が続いている作品ではありますが、図書館の蔵書に加えてもいいように思います。
三頭身の、ほのぼのしたイラストで描かれる戦場の地獄絵図は、グロテスクな描写も多くなく、読んでいて胸が悪くなるようなことはありませんが、扱っているテーマの重さも含め、読後にはじっと考えさせられる余韻があります。 -
片倉兵長怖い。
吉敷くん尊い。
少尉殿と泉くん、良い…。
玉砕、初めて人を撃つ主人公、コンクリ攻め。
島に残った子供たち。
お腹が空きすぎてまともな判断ができなくて、人を殺して見せしめにして、敵の飯も味方の飯も奪って、地獄になった楽園だけど、今回は少し幸せな時間もあって、ホッとした。 -
借りたもの。
鳥たちもいなくなった――
指揮本部が全滅したペリリュー島で生き残った田丸達。
もはや目的は無く、撤退も敗走をする術もない。殲滅戦を生き残るために、空爆で禿山になったペリリュー島を残党兵の仲間たちと共に当て所なく彷徨っていた。
…まだ指揮本部が自決したことを彼らは知らないだろう。
殲滅戦となって、アメリカ軍兵士たちの表情が一変する。皆、一様に目の周りが暗い。ヘルメットの影だけでない。極限状態の疲労と殺人が心に及ぼす影響のようだった。
殺るか、殺られるか――
3巻( https://booklog.jp/item/1/459214189X )に出てきたアメリカ兵の遺体の惨状も理由だろう。
巻冒頭には鳥がその死肉を喰っていた……
海岸線で田丸と吉敷が遭遇したアメリカ軍兵士との戦闘。鬼気迫る。
スコールによる視界不良と雨音でお互いに気づけず、近接戦闘になってしまう。否、格闘だった。
「逃げなきゃ」
そう考えながら引き金を引く田丸。
そんな中で偶然出会う、ペリリュー島の避難孤児たち。
彼らの存在が小休止となる。
別れは致し方ないが、田丸の機転とアメリカ兵の察知で孤児たちは救われる。
兵士同士では出会えば殺し合わざるをえないが、アメリカ軍兵士も旧日本軍兵士も、同じ“人間”だった。数少ない互いの(互いに知る由もない)善意と人間らしさの描写に、ほっと一息つく。 -
6刷 帯